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2013/10/24

第24回 日本歯科基礎医学会 岐阜にて開催 

2011年9月30日から10月2日まで長良川国際会議場にて第53回歯科基礎医学会が開かれた。この学会には10年前から毎年参加しているので,今年も参加した。岐阜は地元愛知の隣県と近いのですが,生まれて初めて長良川の鵜飼を見る経験をした。

乗船の前に30分ほど、鵜飼について、講義を受ける。長良川の鵜飼は、およそ1300年の歴史があり、日本書紀や古事記にも記されているとのこと。鵜を操る人を「鵜匠」と呼んでいるが,知らなかったことの一つ目として,明治23年から宮内省(現在の宮内庁)式部職という位が授けられ、全員国家公務員のようだ。さらに,知らなかったことの二つ目として、鵜匠は世襲制であり、私がどんなに頑張っても、もう鵜匠に成れないのである。現在、6人の鵜匠さんによって,その伝統が受け継がれている。長良川の鵜飼には、海鵜が使われている。海鵜も2−3年ぐらいの訓練を受けて、1人前の鵜になるようである。船に乗っても、先輩の鵜が帰るまでは帰れないようである。長良川の鵜飼は、毎年5月11日に行われる『鵜飼開き』に始まり、10月15日まで毎夜行われているようである。岐阜に訪れた際には一見の価値がある岐阜の夏の風物詩です。

今年の歯科基礎学会では二つのサテライトシンポジウムにて発表する機会を頂いた。サテライトシンポジウムとは,学会が公募して採択された企画によってシンポジウムが運営される興味深い取り組みである。歯科基礎学会は,数年前からこのような企画を取り入れることで,幅広い分野のシンポジウムを作ることができる。今回は「歯の幹細胞を考える」と「歯周組織とは?発生・由来・機能について考える」のサテライトシンポジウムに発表したが,このコラムでは,二つの目のシンポジウムの話をしたい。

歯根膜に関するシンポジウムは東京医科歯科大の馬場先生と筆者で企画し,その目的は「歯周組織は,骨−靭帯で構成される関節の特殊表現形と考えることもできるが,これを一般的な関節構造から特徴付けて区別するのは容易ではなく,系統発生的にも,徐々に獲得されたものであり,現存動物に様々な形態が観察されている。そこで,今回のシンポジウムにおいて,歯学部で活躍する多方面の歯周組織に関する研究者から,歯根膜の特殊性について概説していただき,聴衆を含んだ形式で,歯周組織の発生・由来・機能についての新規知見について考察」することである。我々は,企画者を含めて5人のシンポジストに発表を依頼した。

鶴見大学の大井田先生は「歯周組織とシグナル因子」の演題名で,エムドゲインの歯周組織再生の効果は,エムドゲインに含まれているBMPやTGF-βなどの分化誘導因子の効果も影響していることを発見した。エムドゲインはブタのエナメル質から抽出したものであることから,含有成分はアメロゲニンである。しかし,アメロゲニンの生理活性については,まだ疑問が残されていた。また,歯根膜に対するTGF-βの活性はBMPよりかなり高いようである。

東京医科歯科大学の寺島先生は,「器官培養系における歯周組織の解析」の演題名で,培養皿中でマウスの歯胚の歯根が伸びる実験系の開発に成功し,歯根の形成過程を容易に解析できる。この実験モデルを使って,マウスから歯根形成前の歯胚を取り出し,培養皿内で培養すると歯槽骨が形成される歯胚の時期と形成されない時期を明らかにした。歯槽骨は歯小嚢組織から形成されると考えられているが,本当に歯小嚢が関与していることを疑う知見となる。

明海大学歯学部の須田先生は,「歯根膜における弾性線維の機能を考える」の演題名で,歯根膜組織内に存在するオキシタラン線維に注目し,遺伝子改変マウスを用いてオキシタラン線維の歯根膜における機能解析を行っている。オキシタラン線維とはエラスチン沈着の認められない微細線維であり,フィブリリンによって構成されている。ヒトの歯根膜にはオキシタラン線維が存在しているが,その機能については分かっていないことが多い。また,マルファン症候群はフィブリリン1遺伝子の突然変異によって発症すると言われている。マルファン症候群の患者さんは歯周病に理解しやすいことも示唆されており,この原因としてオキシタラン線維の変異形成によるものと考えられている。

馬場先生は,「歯周組織は歯のユニットなのか?」という演題名で,象牙質に特異的に存在する象牙質基質タンパク(DSPP)に着目し,歯周組織の発生について新しい見解を述べている。ラット臼歯を用いて解析を行うと、DSPの局在が歯根伸長中の周囲歯槽骨に象牙質と同等の発現を観察した。歯根形成期以降では、セメント質と歯根膜においても同様な局在を確認している。さらに,DSPのmRNAの発現も根尖付近のセメント芽細胞,その周囲歯槽骨の骨芽細胞および歯根膜の線維芽細胞においても確認した。このような結果は歯周組織形成においてもDSP(DSPP)が重要な役割を果たしていると考えられ、歯周組織形成細胞の起源が象牙芽細胞と同じである可能性を示唆している。興味深い観察として,歯周組織のDSP陽性領域は,歯槽骨の接合線を介してDSP陽性と陰性領域が存在していることから,DSP発現細胞によって形成された歯槽骨は改造により非発現細胞により置き換えられることが示唆できる。

筆者の発表内容に関しては次回に詳しく述べたい。

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