
「デジタル化の必要性は感じているものの、何から着手すべきかわからない」——そのような声を耳にする機会は少なくありません。
一方で、歯科医院のデジタル化はすべての医院で同じように進んでいるわけではありません。本調査では、デジタル化の「段階」に着目し、どのような医院が先行しているのか、また次のステップへ進む際にどのような障壁があるのかを分析しました。
是非、自院の現在地を確認しながら、読み進めてみてください。

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一般的に「デジタル化」という言葉は広義に使われますが、歯科医院における実際の導入プロセスは段階的に進む傾向が見られます。
今回の調査データからは、多くの医院が以下のようなステップを踏んでいることが確認できました。
*在庫管理/スタッフ採用/教育に関連する業務
まずレセコンを導入し、次に予約管理システムを整え、さらにサブカルテのデジタル化の後は、バックオフィス業務のDX化へと進む——この傾向は導入率にも明確に表れています。
Dentwave会員224名にアンケート調査を行ったところ、レセコンは92.9%の医院が導入している一方で、予約管理システムは40.6%、サブカルテのデジタルツールは15.6%、バックオフィス業務のデジタルツールは7.6%にとどまっていることがわかりました。段階が進むほど導入率が低下していることからも、デジタル化が段階的に進行している実態がうかがえます。
なお、バックオフィス業務のデジタルツールには、在庫管理、スタッフ採用、スタッフ教育など様々な領域のツールが含まれます。精緻な分析を行うため、本記事ではフェーズ①~フェーズ③に焦点を当て、分析を進めていきます。
▼各ツールの導入状況

さらに各ツール導入医院の前段階の導入状況を見ると、予約管理システム導入医院の97.8%がレセコンを導入済みでした。また、サブカルテデジタルツール導入医院の74.3%がレセコンと予約管理システムの両方を導入しています。
これらの結果から、前段階を経ずにデジタル化を進めるケースは限定的であり、歯科医院のデジタル化には一定の順序が存在すると考えられます。
▼各ツール導入者における「前のフェーズ」の導入率

デジタル化のフェーズ別で医院の分布を見てみると、開業医の約半数(49.6%)がフェーズ①に留まっており、フェーズ③まで進んでいる医院はわずか11.6%という結果になりました。
「順番を飛ばした導入」はわずか4.5%にとどまり、デジタル化には確かな段階的な流れがあることがわかります。

※N=224
では、各フェーズの医院は、どのような特徴を持っているのでしょうか。本調査では院長年代、医院規模、患者数、スタッフ数、経営意識など複数の観点から分析しました。
■ 院長の年代:若手世代ほどデジタル化が進む傾向
年代が下がれば下がるほどフェーズ②(予約管理システム)およびフェーズ③(サブカルテ)の比率が上昇しており、若い世代ほどデジタルツールへの親和性が高い傾向が見られます。

■ 規模の指標:規模拡大とともにデジタル化も進行
患者数、スタッフ数、ユニット台数、年商といったいずれの指標においても、規模が大きい医院ほどフェーズ③(サブカルテ導入)の比率が上昇する傾向が確認されました。医院規模が拡大するにつれて情報管理の複雑さが増し、デジタル化の必要性が高まっている可能性が考えられます。
規模拡大が先か、デジタル化が先かという因果関係までは断定できませんが、デジタル化と医院の成長関連性は示唆される結果となりました。
▼一日患者数別 フェーズ構成

▼ユニット台数別 フェーズ構成

▼スタッフ人数別 フェーズ構成

▼売上規模別 フェーズ構成

■ 経営への意識:本部機能の有無
本部機能がある医院ではフェーズ③が24%に達する一方、本部機能がない医院では9%にとどまります。この結果から、組織的な医院経営を志向する医院ほどデジタル化が進む傾向があると考えられます。デジタル化は単なる業務効率化のための手段ではなく、医院経営の基盤として位置付けられている可能性があります。
▼本部機能の有無別 フェーズ構成

■ 採用力の強化:スタッフの働き方を意識した医院が動いている
採用活動をしている医院では、フェーズ③の割合が21%と、採用活動をしていない医院(8%)の約2.6倍の結果となりました。歯科衛生士の有効求人倍率が20倍以上と言われるなど、慢性的な人材不足が続く歯科業界においては、優秀な人材の確保に向けて、働きやすい労働環境の整備の一環としてデジタル化を推進している医院が多い可能性が考えられます。
▼採用活動の有無別 フェーズ構成

では、各フェーズの間には何が立ちはだかっているのでしょうか。本調査では、フェーズ①→②、そして②→③の差分を分析し、それぞれの「壁」を探りました。
■ フェーズ①→②の壁:年代と医院規模
フェーズ①の医院では60代以上が62%を占め、患者数、スタッフ数、ユニット数、年商のいずれも小規模傾向が見られました。
特に院長年代(30〜40代比率:12% vs 38%)と患者数(31名以上:18% vs 49%)で大きな差が確認されました。
▼フェーズ①とフェーズ②の差:主要指標比較

※フェーズ①:N=111
※フェーズ②:N=63
長年、紙とアナログで回してきた運用が定着している医院では、「今さら変えるのは手間だ」という心理的ハードルが生まれやすい可能性があります。しかし、その間にも予約対応や電話業務などの負担は継続的に発生しているはずです。予約管理システムの導入は、患者の利便性向上と業務効率化の両立を図る手段の一つとして機能していると考えられます。
■ フェーズ②→③の壁:経営・マネジメントへの意識
フェーズ②と③の間には、年代や規模による大きな差は見受けられませんでした。患者数・スタッフ数・ユニット台数は②と③でほぼ同水準であり、医院の基礎的な経営体力は同水準となっています。
その中で顕著な差が見られたのは、本部機能(25%→46%)と採用活動(46%→65%)でした。フェーズ③の医院は、組織として医院を体系的にマネジメントしようとしている意識がより高い傾向が確認されました。スタッフが増加に伴う情報共有が複雑化により、紙管理の限界を感じる場面が増えている可能性があります。
▼フェーズ②とフェーズ③の差:経営・マネジメント指標の比較

※フェーズ②:N=63
※フェーズ③:N=26
今回の調査から、歯科医院のデジタル化は一度に進むものではなく、段階的に進行するものであることが確認されました。
また、先行している医院には以下のような共通点が見られました。
<調査から見えた3つのポイント>
予約管理システムは、集患や受付スタッフの業務負荷軽減につながる一方で、診療そのものへの影響は見えにくい領域です。しかし、院内のコア業務である診療に着目すると、サブカルテのデジタル化は切り離して考えることができない要素といえます。
フェーズ②から③へ移行している医院は、単なる業務効率化にとどまらず、経営に直結するコア業務の改善にまで視野を広げ、デジタル化を推進している医院であるといえるでしょう。
また、全体の約88%の医院がまだフェーズ①・②に位置しています。見方を変えれば、フェーズ③へ進むことで相対的に先行ポジションに立つことができる可能性もあります。
まずは自院の現在のフェーズを確認し、次の段階に必要な要素を整理することが、デジタル化推進の第一歩になるのではないでしょうか。
デジタル化推進の第一歩として、まず情報収集していただくことも重要になるでしょう。
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