conference - Article

学会・イベント - 記事

2026年1月25日、赤坂インターシティーコンファレンスにて、第42回CID Clubセミナーが開催されました。
メインテーマは「The Management integration」
個人商店としての歯科医院が限界を迎え、資本提携やネットワーク化が進む「第6フェーズ」の到来を見据え、臨床の深化と経営のシステム化をいかに両立させるか。2027年の国際歯科大会を見据え、若手からベテランまでが最新の知見を共有した熱狂の1日をレポートします。

第42回 CID Club セミナー 参加レポート

著:Dentwave /

関連タグ:

【オープニングアドレス】個人商店の終焉と「資本力・ネットワーク」の時代

勝山 英明 理事長は冒頭、歯科界の30年を振り返り、現在は「第6フェーズ」にあると定義しました。
かつての技術特化型から、現在は「個人商店では勝てない時代」に突入しており、海外のように大規模資本やネットワークによる競争力が不可欠となっていることを示唆。
勝山先生は、最先端の医療レベルを維持することを前提としつつ、資産構築や組織化といった経営的視点を持つことの重要性を説かれました。

【特別講演】2040年ビジョンに向けたスマートクリニック構想 ~臨床からバックオフィスまでのDX実現へ~

MID-G最高顧問の荒井昌海先生は、AI(AGI/ASI)の進化が2030〜2035年にかけて人間の知能を遥かに凌駕する世界が来ると予測。

バックオフィスのDX: 12医院の電話応対を集約するコールセンター化、滅菌・洗濯の外部センター化など、スタッフを臨床に集中させるための具体的な「人を減らす」戦略を提示しました。

PHR(パーソナルヘルスレコード): カルテは「国や患者が管理するもの」へと移行し、マイナポータルを軸にすべての医療情報が一元化される未来に向け、クリニックのIT基盤をクラウド化・セキュリティ強化(エッジコンピューティング)する必要性を説きました。

【理事発表1】遠隔医療と高度な臨床の融合

松山 文樹 先生:インプラント周囲炎の予防を目的とした歯科遠隔医療におけるデジタルデバイスを用いた 双方向型口腔衛生管理の有効性

デジタルデバイスを用いた「双方向型口腔衛生管理」の有効性について発表。
患者が自宅で撮影した動画をアプリで共有し、歯科衛生士がフィードバックを行うことで、インプラント周囲炎の予防とモチベーション維持に大きな効果があることを示しました。

安斉 昌照 先生:硬軟組織造成による前歯部審美領域へのインプラント治療

前歯部審美領域への連続したインプラント治療において、デジタルワックスアップとCTを重ね合わせた精密な診断を解説。
上顎結節からの結合組織移植(CTG)とGBRを組み合わせた「アイスバーグテクニック」により、安定した硬軟組織のボリュームを獲得した症例を提示しました。

【ランチョンセミナー】精度を “見る” 時代へ ― X-GUIDEが導く次世代インプラント外科

浅賀 勝寛 先生(ノーベル・バイオケア・ジャパン株式会社 協賛)
浅賀先生は「よりミニマルな治療」を追求するため、動的ナビゲーション「X-GUIDE」を活用。
フリーハンドや静的ガイドでは避けられない「誤差」に対し、リアルタイムでドリルの位置を「答え合わせ」しながら進める外科手術の安全性を強調されました。

【新理事就任講演】リスクを伴うフラップレスサージェリーへの提言

新理事に就任した大久保 将哉 先生は、自らの12年の軌跡を「CIDへの恩返し」として語りつつ、高度な専門知見を披露されました。

フラップレスの提言: デジタルガイドを駆使しても、骨質や開口量によって数ミリの誤差は生じうると解説。
大久保先生は「受注エラーが起きていないかを確認するアナログの介入こそが重要」とし、術中CTによって位置を確認し、必要があれば潔くフラップを展開する決断力を求めました。

「1200g」のコンタクト理論: 臨床の盲点となりやすい隣接面コンタクト。
大久保先生は「1リットルのペットボトルに水を入れた程度の重さ(約1200g)」の圧入感覚を基準とすることを提案。
マイクロスコープで覗いた際に発覚する「インプラント周囲のわずかな空隙(ゾッとする瞬間)」を回避するための、フロスを用いた精密な調整法を解説されました。

【AMM/理事発表2】最先端ワークフローと難症例への対応

白鳥 香理 先生(AMM選抜):Smile Cloud®を用いた顔貌情報統合型デジタルワークフローによるインプラント全顎治療の一例

「Smile Cloud」を用いた顔貌情報統合型デジタルワークフローを報告 。AIによるシミュレーション動画(YES機能)で患者の同意を得つつ、顎骨・私列・顔貌を3Dで統合した「ブループリント」から、アンカーピンを用いたスタッカブルガイドで手術を簡略化する手法を紹介しました。

甘利 佳之 先生:外部吸収かつ歯列不正を伴った上顎中切歯にVISTAテクニックを併用し抜歯即時埋入により審美回復を行なった一症例

外部吸収を伴う上顎中切歯に対し、VISTAテクニックを用いた低侵襲な軟組織造成と、リグロス・ベリプラスト・バイオスを混合した「ノンメンブレンテクニック」による骨再生を併用し、1回のオペで審美回復を達成した症例を提示しました。

新村 昌弘 先生:先欠歯の最新のプロトコル

先天性欠如歯に対する最新プロトコルを解説。
乳歯を抜歯すると5mm以内の歯槽骨ボリュームが急激に失われるため、意図的な歯の移動によって骨量を確保するなど、長期的な視点でのインターディシプリナリーな治療戦略の重要性を述べました。

【理事発表3】インプラント体の選択

上浦 庸司 先生:TLXインプラント~immediacyを含めたインプラント体の選択

「TLXインプラント」を中心に、インプラント体選択の基準を再考しました。ボーンレベル(BLX)の「初期固定の良さ」と、ティッシュレベル(TL)の「軟組織の安定性」を融合したTLXインプラントを用い、抜歯即時埋入において高い初期固定と予後の安定を両立させた症例を紹介。特に臼歯部や全顎症例(Pro Arch)において、マルチユニットアバットメント(SRA)を使用せずに補綴を単純化できる点や、長期予後の良さを高く評価しました。

【特別インタビュー】CIDでの12年、そして新理事としての覚悟

レポートの締めくくりとして、新理事に就任された大久保 将哉 先生に、CIDでの歩みと今後の展望を伺いました。

——CID Clubに入会されたきっかけは何だったのでしょうか?

大久保先生:もともと勝山 英明 先生のITIマスターコースを受講したのがきっかけです。勝山先生の圧倒的な臨床レベルを以前から存じ上げており、その背中を追いかけてこの門を叩きました。入会して約12年になります。

——この12年で、ご自身の臨床にどのような変化がありましたか?

大久保先生:最大の違いは『視点』です。以前は日本国内の治療水準しか見ていませんでしたが、CIDという環境に身を置くことで、インプラントの本場であるヨーロッパの最新情報に即座に触れられるようになりました。海外で活躍する先生方の姿を間近に見ることで、『今のままではまずい』という危機感を常に持ち、向上心を維持し続けられたことが一番の財産です。

——新理事として、今後どのような組織にしていきたいとお考えですか?

大久保先生: 現在の学術的な強みを踏襲しつつ、そこから派生して教育や経営、DXといった分野も並行して広げていきたいと考えています。今日の荒井先生のお話にもあったように、歯科の業務形態は激変しています。臨床の質を決して落とさず、かつ時代の変化に即応できる組織にすることで、CID Clubをさらなる高みへ引き上げたいと思います。

——最後に、Dentwave会員や若手の先生方へメッセージをお願いします。

大久保先生:CIDはインプラントに特化していると思われがちですが、実際にはインプラントを軸に、歯周、補綴、外科などあらゆる分野のトップレベルを学べる場所です。現状に満足できず、一歩前に出たいという意志のある先生方は、ぜひセミナーを覗いてみてください。私たちと一緒に、日本の歯科医療をより良いものにしていきましょう。

まとめ

2027年の国際歯科大会に向け、CID Clubは「若手の輩出」と「世界基準の臨床」を加速させています。
臨床技術の追求と、AI・DXを駆使した経営の統合。
本セミナーで提示された「Management integration」こそが、これからの激動の時代を生き抜く歯科医師にとっての道しるべになるかもしれません。

Introduction

著者紹介

Dentwave

会員制総合情報サイト

登録無料!歯科医療従事者のための会員制総合情報サイトDentwave。日々の歯科関連ニュースや最新の歯科器材、薬剤に関する情報や学会・セミナー情報の検索など、歯科医療従事者必見の会員制サイト。

Popular Article

よく読まれている記事