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2026年2月8日(日)、東京ポートシティ竹芝ポートホールにて、デンツプライシロナ株式会社主催の「Dentsply Sirona Japan National Event 2026」が開催されました。本イベントのテーマは「コネクテッド・デンティストリーが拓く歯科医療の新時代へ」。デジタルとクラウドが変革する歯科医療の未来について、国内外の著名な演者が登壇し、最新の知見と臨床事例が共有されました。

Dentsply Sirona Japan National Event 2026 参加レポート

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Opening & 新製品発表|代表取締役社長 フアン・ロディギエロ氏(デンツプライシロナ株式会社)

イベントの冒頭では、フアン・ロディギエロ氏よりCEREC Primemill Lite、CEREC Go、Axano Pureの3つの新製品がご紹介され、CEREC Primemill Lite、CEREC Goはクラウドプラットフォーム「DS Core」に直接リンクし、ワイヤレスで繋がる「Connected Dentistry」対応機種に進化した点が強調されました。

歯科医療の発展|草間 幸夫 先生(西新宿歯科クリニック)

草間先生はCERECの歴史と進化について振り返りました。RedcamからBluecam、Omnicam、そしてPrimescanへと至るハードウェアの進化において、精度と速度が向上してきた経緯を語られました。これからのキーワードは「DS Core」で展開するクラウドデジタルソリューションであり、デバイス、AIデザイン、AI診断が全てDS Core上で運用される「Connected Dentistry」の時代が到来したと強調しました。

Connected Dentistry到来!世界の最新Connected Dentistryとは|Dr. Dan Butterman(Butterman Dental PC)

米国コロラド州で開業するDr. Buttermanは、グローバルな視点から「Connected Dentistry」の現在と未来を語りました。医院で収集される膨大なデジタルデータ(レントゲン、CBCT、3Dスキャンなど)が、これまではバラバラに保存されていたのに対し、「DS Core」では一箇所に集約される利便性を強調。「Canvas」機能を用いることで、CBCTやスキャンデータを一つの画面で患者に提示し、書き込みながらコンサルテーションを行う様子も紹介されました。

Connected Dentistry × SureSmile DS Coreの展望|吉木 雄一朗 先生(Y'sデンタルクリニック)

吉木先生は、審美修復治療における矯正治療(SureSmile)の重要性と、包括的歯科治療のデジタル化について語られました。SureSmileを採用した理由として「コストパフォーマンス」、「デジタルセットアップ(診断用)」、「オープンシステム」の3点を挙げました。DS Core上でシミュレーションを作成し、患者に即座に治療後のイメージを提示できる点や、オープンシステムであるため他社のIOSデータでも発注できる利便性を解説。矯正治療はゴールではなく、低侵襲な修復治療のための土台であると結びました。

Axano Pure × デジタルの診査診断|伊藤 直人 先生(伊藤デンタルクリニック)

伊藤先生は、ユニット「Axano Pure」と「Primescan2」を組み合わせた診療環境について解説しました。デンツプライシロナのユニットが「エルゴノミクス(人間工学)」に基づいて設計されており、患者の安楽だけでなく術者の負担軽減や効率化に寄与している点をご説明。また、効率性の観点から、テーブル配置や四角いライトの視認性の良さを挙げ、感染管理においても、清掃性の高いデザインやサクションの吸引力が裏付けられていると語られました。
さらに、ユニットのモニターにDS Coreを表示することで、Primescan 2による撮影からコンサルテーションまでをチェアサイドで完結できる点を紹介。Primescan 2はワイヤレスかつクラウドベースであるため、チェアサイドでの撮影終了後もコンサルテーションを継続しながら、次の患者が待つチェアへ移動して撮影を行うことが可能です。
加えて、う蝕の診断補助機能やディスポーザブルスリーブなど、Primescan 2の特長についても紹介されました。

CEREC Primemill Lite/CEREC GO製品紹介|佐々木 英隆 先生(エスデンタルオフィス)

午後の部は、新製品のミリングマシンに関する発表からスタートしました。佐々木先生は、従来機種「CEREC Primemill」、新機種「CEREC Primemill Lite」、「CEREC GO」の3機種について解説。最大の特長として、これまでのミリングマシンとスキャナーの有線接続(LANケーブル)が不要となり、すべての機器がクラウドプラットフォーム「DS Core」に直接リンクする「Connected Dentistry」対応機種に進化した点が強調されました。また、新機能「スーパーファースト・グラインディング」の実演が行われ、インレーであれば約1分20秒、クラウンでも3分以内で削り出す圧倒的なスピードが披露されました。

CEREC Primemill Lite臨床での活用|安藤 壮吾 先生(なみき通り歯科・矯正歯科)

安藤先生は、インプラント治療を中心としたデジタルワークフローの有用性について講演されました。外傷で前歯を失った患者に対し、初診時にCT、口腔内スキャン、フェイススキャンを行い、そのデータをもとに即日でサージカルガイドやプロビジョナルレストレーションを設計・製作するフローをご紹介。デジタルを活用することで、遠方からの来院患者に対しても通院回数や治療時間を大幅に短縮できるメリットを強調しました。新製品「CEREC Primemill Lite」については、上位機種に迫る機能を持ちながらコストを抑えたモデルとして、自由診療・保険診療問わず活躍する可能性があると評価されていました。

Single Visit Treatmentのメリット|風間 龍之輔 先生(カザマデンタルクリニック)

CERECシステムを27年間使用している風間先生は、「Infection Control(感染管理)」と「ChairTime Control(時間の管理)」の2点を成功の鍵として挙げました。最新の「Primescan2」と「DS Core」を活用することで、事前に取得したデータとマッチングさせ、ラバーダム防湿をしたまま形成歯のみをスキャンする手法をご紹介。また、ジルコニアの「スーパーファースト・ミリング」の実演を行い、大臼歯クラウンを約5分で削り出すデモンストレーションを実施し、即日ジルコニア修復の現実性を示されました。

Single Visit Treatment長期保存症例|中村 昇司 先生(八重洲歯科診療所)

30年にわたりCEREC臨床に携わる中村先生は、「長期保存」をテーマに講演しました。20年、30年経過したCEREC修復の症例を提示し、適切な接着操作と象牙質封鎖を行えば、デジタルで作製した修復物も長期的に機能することを解説されました。中村先生は「CERECは歯を守るための道具であり、接着はその手段である」と述べ、歯質の保存を最優先するSingle Visit Treatmentの意義を訴えました。

座談会:Connected Dentistryが拓く歯科医療の新時代 モデレーター:荒井 昌海 先生(エムズ歯科クリニック) パネリスト:岡田 信輔 先生(プロソデンタルクリニック)、駒形 裕也 先生(氷川台たんぽぽ歯科クリニック)、藤本 智也 先生(サークル歯科クリニック)、山本 英樹 先生(三国丘歯科クリニック)

イベントの締めくくりとして、4名のパネリストによる座談会が行われました。

  • 荒井先生:「これからはクラウドへの移行が必須であり、理由は後からわかる。まずはデータをクラウドに上げることがAI時代への備えとなる」と強力なメッセージを発信しました。また、将来的にAIが患者にクリニックを推奨する時代が来ると予測しました。
  • 駒形先生:デジタルネイティブ世代の若手歯科医師やスタッフにとって、クラウドやデジタル機器が整備されていることが就職先選びの重要な基準になっていると指摘しました。紙ベースの管理は「レトロ感」を与え、採用において不利になると語られました。
  • 藤本先生:都内で展開する大規模法人として、完全ペーパーレス化を実現した自院の事例をご紹介。カルテ棚を撤廃し、全てのユニットからDS Coreへ常時接続する環境を構築していることを共有しました。
  • 岡田先生:開業当初からDS Coreを導入し、iPadを活用したスムーズなオペレーションを確立。若いスタッフはタイピングよりフリップ入力が得意であり、iPadとの親和性が高いことや、セキュリティ面でもUSBメモリなどでのデータ移動よりクラウドの方が安全であるとの見解を示しました。
  • 山本先生:自動車業界(テスラやベンツ)の例を挙げ、クラウドに集まったビッグデータが将来的にAIによる治療精度の向上やトラブル予測などのブレイクスルーを生むことへの期待を語りました。現在はデータ蓄積の準備段階であると述べました。

編集部まとめ

本イベントを通じて、単なるデジタル化ではなく、それぞれがシームレスに結合する「Connected Dentistry」こそが新時代を切り拓くコンセプトであることを実感いたしました。 臨床・経営・教育・AI活用──すべてにおいて、デジタル技術は“導入する”段階から“クラウドでどう繋ぎ、活かすか”が問われる時代に突入しました。 情報をシームレスに共有し、最適なソリューションを導き出すことで、患者体験と医療の質はこれからも進化し続けるはずです。 デジタルと人が融合する新時代への架け橋として、本イベントがその未来を鮮烈に印象付ける場となったのではないでしょうか。

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