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小児患者が来院するなら必ず知っておきたい カリエスリスクを減らすおやつと食事について

う蝕のメカニズムを保護者に伝えるために、Newbrunの4つの輪を引用する
う蝕のメカニズムの説明として、Newbrunの4つの輪を取り入れましょう。
Newbrunの4つの輪は、う蝕の発生に関与する主要な要因を示すモデルです。
このモデルは、各要因が相互に影響を与え合い、う蝕の進行に寄与することを視覚的に示しています。
以下にてNewbrunの4つの輪を分かりやすくご説明します。
歯の質
この要因は、歯のエナメル質や象牙質の状態や質を指します。エナメル質が強いほど、う蝕になりにくくなります。歯の質を強化する手段として、フッ化物入り歯磨き粉の使用や適切な歯みがき習慣が大切だということを保護者に伝えましょう。
食事
糖分の多い食品や飲料がう蝕の原因となります。また、食事の頻度や内容が虫歯のリスクに大きく影響します。糖分は口腔内の細菌によって酸に変えられ、これが歯のエナメル質を溶かしてう蝕を引き起こします。
細菌
口腔内の特定の細菌(主にミュータンス菌)が糖分を分解して酸を生成し、これがエナメル質を侵食します。プラークが蓄積することで細菌の活動が活発になり、う蝕が進行します。
時間
これらの要因が長時間にわたって作用することで、う蝕のリスクが高まります。例えば、糖分を頻繁に摂取したり、歯垢が長期間除去されない状態が続いたりすると、う蝕が発生しやすくなります。
このように私たちがNewbrunの4つの輪を正しく理解し、わかりやすく保護者に伝え、虫歯の発生要因を理解してもらうことが大切です。
WHOが定める糖類摂取ガイドラインは?
世界保健機関(WHO)は、成人および児童の1日あたりの※遊離糖類摂取量をエネルギー総摂取量の10%未満に減らすことを推奨しています。さらに、摂取量を5%未満、すなわち1日あたり25g(ティースプーン約6杯分)程度まで減らすと、より大きな健康効果が期待できるとされています。
※ WHOが摂取量の制限を推奨するのは、単糖類および二糖類のショ糖(砂糖)に限られます。これは、加工食品や清涼飲料に添加される砂糖のほか、蜂蜜や果汁飲料に含まれる糖分が含まれます。
う蝕リスクを高める食べ物とおやつ
保護者にNewbrunの4つの輪と1日に摂取していい砂糖の量を理解していただいた後は、虫歯のリスクを高める原因になる食べ物とおやつを知っていただかなくてはなりません。
以下ではう蝕になりやすい食べ物とおやつをご説明します。
高糖分の食べ物
特にチョコレート、キャンディ、クッキーなどの子どもが好きなおやつには砂糖が多く含まれているため頻繁に摂取するとう蝕のリスクが高くなります。
粘着性のある食べ物
キャラメルやガムなどの粘着性の高い食品は、長時間歯に残るため、う蝕のリスクを増加させます。
③炭酸飲料
炭酸飲料は砂糖が40〜60g、角砂糖にすると15〜20個も入っています。
特に「炭酸水であればう蝕にならない」と思っている保護者の方もいるので、pH表などをお見せし一緒に確認しましょう。
う蝕リスクを減らすための食べ物とおやつ
フルーツや野菜
りんご、にんじんなどのフルーツや野菜は、噛みごたえもあり、食べるときに唾液の分泌を促進し、口腔内の酸を中和する助けとなります。
乳製品
特にチーズに含まれるカゼインというタンパク質は、歯のエナメル質に吸着し、う蝕菌の付着を防ぐ効果もあります。
う蝕を予防するための食習慣の指導を行いましょう
う蝕にならないためには、食習慣を見直すことが大切です。以下の3つは必ず保護者に伝え、心がけていただきましょう。
①食後の歯磨きを徹底してもらう
食事やおやつを食べた後は、”歯を磨く”というお約束を子どもとしてもらいましょう。
特に夜寝る前の歯磨きとフロスの使用を習慣づけてもらいましょう。
②水を飲む習慣とうがいを心がけてもらう
特に歯磨きができない状況であれば、食事の後やおやつの後に水を飲んでもらったり、うがいをしてもらったりしましょう。
③おやつの時間を決めてもらう
頻繁におやつを食べる習慣は、口内の酸の生成を促進します。おやつの時間は1日に1回か2回に制限し、食べる時間を短くしてもらいましょう。
まとめ
小児のう蝕予防には、適切なおやつと食事の選び方が非常に重要です。私たちが親への適切なアドバイスを行い、子どもたちの歯の健康を守っていきましょう!
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