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2013/10/24

あすなろ歯科の院内コミュニケーション 第3回コラム

 前回お話したように、まず院長である私がスタッフに接する時の態度を改めました。そこからさらに医院のシステムを変えるため、スタッフにも課題を与えるようになりました。
 そうした課題の一つとして、読書感想文にも取り組んでもらいました。読書感想文を実施すると、スタッフの中からは「読書感想文は止めてもらえないか」、「本を読むのは良いけれども、感想文を書くことはやめてもらいたい」などの声が上がってきました。ほかの課題に対しても、「何で持ち帰りの仕事があって、何で医院の改革について企画書まで書かなければいけないのか」などの声もありました。改革を進めていく中で、それを受け入れてくれるスタッフと、変わることに抵抗を示すスタッフがいることに気づきました。それでも、ついてきてくれるスタッフを信じ、また自分自身を信じて、月1回はスタッフとの個別面談と続け、さらに問題があると思われた場合はすぐに改善策を講じる姿勢も変えませんでした。
 今にして思えば、そこまで焦らなくても医院の活性化はゆっくりと進めることができたかもしれません。結果として、「変えたい」という私の思いが強すぎて、改革に戸惑いを感じているスタッフを追い込んでしまうことになりました。

 2005年5月に出席したセミナーで、マスローの5段階欲求の話を聞き、これをネタに「新人スタッフに求めること」と題した1000字程度の文書を作成しました。(実は後日、学生時代の一般教養の教科書を読み返したところ、マスローの5段階欲求が見事にそのまま載っていました。)書いた目的は、新しく雇う人に私が求めるスタッフ像について知ってもらうことでしたが、すでに働いているスタッフにも読んでもらいました。人の欲求をテーマにして、現代人の多くが社会的愛情を求めているが、その欲求を満たすためには自己努力、自己改革が必要であることを伝えていきました。
 このように人間の欲求について説明していると、目を輝かせるスタッフとうつむきかげんになるスタッフがいることに、すぐ気がつきました。それから1ヶ月も経たないうちに「6月いっぱいで辞めさせてください」という申し出がありました。この時の私はまだまだ改革に燃えていましたし、赤本の中でも「マイナススタッフ」の話がありましたから、正直なところ「やっと辞めてくれた」という気持ちの方が強かったと思います。
 ところが予想外にもう1人辞めることになってしまいました。素直でよいスタッフでしたが、あまり「自分の芯」というものが感じられないスタッフでした。今にして思えば、マイナスの方向に引きずられたというか、ただプライベートでもいろいろあったそうなので、やはり芯の強さのようなものがないと、周囲の状況や環境に左右されてしまうのかもしれません。

 さて、残ったのは、ほぼ開業当初の5人になってしまいました・・・。私と妻と歯科衛生士が3人。前年(2004年)の12月に衛生士が辞め、6月までに立て続けに歯科助手2人が辞め、求人を出しても応募はなく、仕事量は半端ではありませんでした。ものすごい勢いで診療に追われ、忙しく、誰もかたづけなどに手が回らず、洗い物が山のようになって、下げてきたトレーを置く場所もないほどで、ひどい状態になっていました。それでも残ってくれたスタッフは一生懸命にやってくれました。「雨降って地固まる」ではないですが、苦しい局面を乗り越えたことで一体感が生まれ、チームとしてまとまってきたと感じました。その間は新しい取り組みは一休みしました。スタッフからの要望もありましたが、私自身も一時休止する必要性を感じていました。赤本にもそんな出来事が出てきていましたので、少しペースを落とすことには抵抗は感じませんでした。

 2005年7月の初旬、ヘルスケア歯科研究会主催の「スタッフミーティング」に常勤衛生士2人と私で参加しました。参加の目的は
1) モデルとなる医院を探して見学し、あすなろ歯科の改革に取り入れる。
2) 学術的な面以外で外へ向かって活動している別の医院のスタッフと交流し、自分の医院のスタッフに刺激を与える。
の2つでした。
 ヘルスケア歯科研究会には予防で成功されている先生方、医院さんが数多くおられますし、自分の医院の中だけではなく、外に向けて活動をされている歯科衛生士さんもたくさんいます。それゆえ私の掲げた目標は、それほど難しいものではありませんでした。
 その日のうちに、ヘルスケアで活躍されている先生に見学を申し込み、快諾をいただきました。お願いしたのは東京の町田市にある宇藤先生の医院です。約1ヵ月後、妻と2人で宇藤先生のところを見学させていただきました。スタッフの皆さんが活き活き仕事をし、楽しそうで、笑顔があふれている医院でした。何とかこれを取り入れたい、どうしたらこのようにスタッフが輝けるのか?などと考えました。朝のミーティングから始まって、午前中で見学は終わりましたが、妻は「もっと見学の時間をとっておくべきだった。とても快適な時間だった。」と帰りの道中で話をしていました。

 一方、当院の衛生士Sは、先ほどのヘルスケアのミーティングで、埼玉県深谷市の丸山歯科の衛生士浜端さんとお知り合いになっていました。
 ヘルスケアの正会員で、それにスタッフミーティングなどでも活躍されている方ですが、なんとこの浜端さんを釣り上げることができ(言い方が適切ではないですが)、彼女があすなろ歯科を見学に来てくださいました。しかも浜端さんだけではなく、丸山先生と春日部の渡辺先生を連れてです。これは驚きでしたが、とても刺激になりました。外部の方に見ていただけるだけでも嬉しいことですが、今度はこちらのスタッフが「丸山歯科に見学に行きたい」と言い出したことで、丸山歯科医院への見学が実現し、さらに後日、今度はスタッフ全員で宇藤歯科を再度見学させていただくきっかけにもなりました。
 浜端さんによれば、スタッフミーティングの時、あすなろ歯科の衛生士Sが輝いていたから、これは何かあると思い、あすなろ歯科見学を思い立ったそうです。しかしこちらとしてはかえって外からの刺激を与えていただき、スタッフの活性化につながったと思います。

 自分の医院に閉じこもり、狭い世界の中で過ごしていたのでは、いつしか周りが見えなくなります。周りが見えなくなるだけではなく、自分が何をやっているのかわからなくなって、自分を正当化するようになり、周囲とのギャップが生じ、周囲との温度差を感じられなくなることが多くなってしまうのではないでしょうか?
 2005年8月。私としては、スタッフとの一体感、チームワークは強くなっていたと思っていました・・・。

  あすなろ歯科 野村 英孝

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