第4回 コミュニケーション=毎日がトレーニング(1)

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 私は歯科衛生士であり他のライセンスは運転免許証くらいで何もありませんが、自称コミュニケーションを得意分野としています。専門家の人から見れば色々ご指摘はありましょうが、今回は一般人長岐祐子として感じるコミュニケーションから、それを臨床で活かしている歯科衛生士長岐祐子のコミュニケーションをご紹介いたします。    先日あるTV番組でお笑いタレントの次長課長がこんな面白いことを話していました。  「街を歩く時、下を向いて歩くなんてもったいない!街中には笑いのネタが沢山ある!」  「先日も相棒と二人でタクシーに乗り、行き先を告げるとその運転手さんの返事のカツゼツの悪さに二人ビビッ『これはネタに使える!!』と目が合い、もうそこから必要以上に僕は運転手さんに話しかけ、相棒はその話を聴きながらメモを取ってましたよ。」  人気絶頂のこの二人、ハードスケジュールの中なんでこんなに面白いネタが作れるの!? その秘密はやっぱりここにあったのか!!実は私も人間ウオッチングが大好きなのです。それはそこから感じるもの学べるものがた〜くさんあるからです。    今年の連休はセミナー受講と帰省も兼ねて東京に滞在していました。この期間でも使えるネタを沢山体感してきました。その中で臨床現場で活用できる話を紹介していきます。   【行きの新幹線の中で】 〜一般人:長岐祐子〜   *秋田⇔東京までの交通費(新幹線利用)は色々な割引・サービスをつけても3万円はかかりますが「朝割り・こまち 6:02発」という限定切符は往復2万2千円と超お得な切符です。しかし激安だけに発売開始の一ヶ月前から早めに購入しないとすぐに完売してしまう商品であることは言うまでもありません。   また、座席は良い席順に売られていきます。一般的には号車中央窓側席からです(もちろん自販機購入時や窓口でも自分で席を選択することも可能です)という前提をもとに以下の話をしていきます。   **5月4日秋田発 6:02分。   私の席は13号車10番A席(窓側)でした。隣通路側席B・Cがあり、D席(窓側)には50代前半の女性が早々と席に着いていました。もちろんその日のこまちは満席でした。私は席に座り窓の外を眺めていました。窓の外、目の前はキヨスク、発車時刻10分前、やや焦り気味の18〜20歳くらいのカップルが重そうな荷物をそれぞれ抱えキヨスク前で立ち止まりました。   コーヒー牛乳1パックにリポビタンDを2本。その他朝食とはいい難いスナック菓子類を買い求めた彼女(仮名M子)がバックから財布をゴソゴソ捜し始めました。   きっとバックの中は整理整頓されていないか、あるいは買い物をするから財布を出しておくという準備をしていなかったことが伺える動作です。重い荷物に貴重品バック、買い物したビール袋を彼女が持ち歩き始めた二人。その間彼(仮名K男)はM子の側でボーとたっていただけ・・・いえそれが今の二人の幸せの象徴なのでしょう。 ***数十秒後、二人は10番席の通路で立ち止まりました。   そして次に出たM子の行動はD席の女性に「すみません。私たち席が離れてしまって、良かったら席を変わってもらえませんか?」   女性の返事は私には聞こえませんでしたがどうやら返事は「ノー」。何故ならば数秒後M子は同じ言葉を私にかけてきたからです。もちろん私も躊躇なく「ノー」。その答えにM子は渋る様子もなく「ああそうですか、窓の外みたいですよね」でした。その理由は不正解ではありましたが、私は「ええ」と彼女に返事をかえしました。   B席私の隣にM子、幅80センチ前後の通路を挟みC席にK男が座りました。私は心の中で「席が離れたって他かが80センチの距離じゃん!子どもじゃないんだから!いや子供化してるかも!」   秋田駅 6:02発から東京駅 9:51到着まで、その間M子とK男が会話したのはほんの数回でした。   心優しい?私は秋田から東京まで「窓の外みたいですよね」のM子の誤った解釈を忠実に守り、トイレに行くことも我慢してずーと窓の外を眺めていましたから首が痛くてたまらなかった事は言うまでもありません。しかしながらM子・K男にコミュニケーションを教えてる親・大人はいなかったの?!と胸が痛むやら、首が痛むやら、頭まで痛くなった乗車時間3時間49分の体感でした。   【コミュニケーション=毎日がトレーニング(1)】 〜歯科衛生士:長岐祐子〜    さて以上の内容から皆さんは何を感じ取り臨床に活かしていこと思いましたか?  *から感じて欲しいことは、必要最低限の知識・常識が必要だということです。  M子とK男の席が離れた事情を彼女らは知る必要があります。時期が連休であること、超お買い得の朝割り対象の新幹線でること、それを購入するために人々がどのよう事前行動をしていたかをです。  「知らなかった」「聞いていない」ではなく、これからの仕事に必要となる知識の習得は事前に調べておく、聞いておくこと基本ポイントⅠですよね。  **の場面では下準備の必要性ですよね。   仕事(何事も)をスムーズにこなすことは、その下準備がしっかりされていることです。M子は新幹線の中でどう過ごすか?を事前にシュミレーションしていれば、当然焦って買い物をする必要もなく、また買い物を予定していたのであれば財布の準備や小銭の準備を予めしておくことが出来たのです。  事前に今日の処置内容を確認しておく事が基本ポイントⅡです。そうする事で自分の行動シュミレーションが簡単に頭の中で整理されていきます。  ***の場面では、私はM子に我が子のような愛情をもっていますから100歩譲って、コミュニケーションのとり方を考えていきます。   何故ならば臨床では基本Ⅰ・Ⅱが出来てⅢが成り立つからです。ところでM子は席を変わってくれる可能性を何処まで予測していたのでしょうか?   「ノー」の返答に渋る様子もなかったことから、多分50%「イエス」50%「ノー」で答えはその2パターンしかないと思っていたのでしょう。   コミュニケーションには目的があります。つまり50%の「ノー」を「イエス」に変えていく、目的を達成させることがコミュニケーションなのです。そしてそれを達成するためには誰に話をしていくのか?つまりコミュニケーションには相手がいるという事です。そしてその相手に自分の状況を理解してもらうことが基本ポイントⅢなのです。  もし、あの時M子とK男が先ずは一旦席に着いて周りと私の状況を確認していたら、あるいは私やD席の女性に「どちらまで行かれるんですか?」など幾つかの会話からコミュニケーションをとっていれば、私たち方から席を譲る確立も50%あったのです。   私が「ノー」と答えた訳は窓越しから彼女たちの行動を観察した結果、親の目で「世の中そんなに甘くないよ」と伝えたかったのですが意地悪な人と思ったかも知れませんね。

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