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必要な材料が、いつもの棚に見当たらない。担当者へ確認してもすぐには分からず、欠品を避けるため念のため発注する。
ところが後から、別の保管場所に在庫が残っていたことが分かる。こうした「あるはずなのに、見つからない」状態は、過剰在庫や期限切れだけでなく、探す時間、確認の手間、担当者への依存も生み出します。

愛知県で歯科医院と歯科技工所を運営する医療法人正眼堂 疋田歯科医院は、一棟の複数フロアに診療・管理機能を持ち、各フロアに保管場所を設けています。以前は担当者が各保管場所を目視し、経験をもとに発注していました。2024年にクラウド在庫管理システム「zaico」を導入し、写真、棚番、在庫数、発注の目安を共有できる状態へ移行。現在は専門職でない事務スタッフも、物品を探し、発注を進められる体制を構築しています。

今回の取材では、在庫管理を担う鹿嶋様に、一つの保管場所から始めた運用をどのように院内へ広げたのか、現場とどのようにルールを整え、日常業務として定着させたのかを伺いました。

あるはずなのに、見つからない。 誰でも探せる・頼める仕組みへ

著:Dentwave /

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医療法人正眼堂 疋田歯科医院のご紹介

医療法人正眼堂 疋田歯科医院の外観

複数フロアに診療・保管機能を持つ医療法人正眼堂 疋田歯科医院。

医療法人正眼堂 疋田歯科医院 事務長 鹿嶋様

事務長として、院内の在庫管理設計・発注判断・運用改善を担当。日常の入出庫はパートスタッフと連携し、基本2名で運用しています。一つの保管場所から始め、棚番の整備、現場へのヒアリング、技工部への展開まで、実際の業務に合わせて運用を調整してきました。

在庫管理の設計と運用改善を担う事務長 鹿嶋様

在庫管理の設計と運用改善を担う事務長 鹿嶋様。

「あるはずなのに、見つからない」状態が生むムダ

導入前の在庫確認は、基本的に目視でした。在庫が少なくなったと感じた担当者が発注していましたが、確認そのものに手間がかかるため、まとめて多めに注文することもありました。使用頻度や消費ペースが十分に共有されていない状態では、欠品を避けようとする判断が、過剰在庫や使用期限切れによる廃棄につながります。

また、医療機関における期限管理は、廃棄ロスを減らすだけでなく、使用期限を過ぎた物品を誤って使用するリスクを避ける上でも重要です。

複数のフロアに保管場所があるため、目の前の棚に在庫がなくても、別の場所には残っていることがあります。その場で見つからず、欠品だと思って発注した後に、同じ物品が見つかることもありました。

「欠品だと思っていたら、実は別の場所に在庫があったということがありました。その場では見つけられず、発注した結果、過剰在庫になってしまう。正確な在庫数と保管場所を把握できていないことが原因だったと思います。」

商品名と院内で使われる呼び方が異なり、担当者でなければ物品を特定できないこともあります。「何が、どこに、どれだけあるか」が共有されていない状態では、在庫管理は担当者の記憶と経験に依存します。

担当者の頭の中にあった情報を、誰でも見られる状態へ

こうした担当者頼みの状態を変えるため、正眼堂では、在庫に関する情報を誰でも確認できる仕組みづくりを進めました。zaico導入後、正眼堂では、物品の写真、在庫数、保管場所、発注先などを共有できるようにしました。

物品画像、在庫数、保管場所、発注先などを確認できるzaicoの在庫管理画面

物品画像、在庫数、保管場所、発注先などを一覧で確認できるzaicoの在庫管理画面。

正式な商品名が分からなくても、写真から物品を確認できます。画面上の棚番を確認すれば、担当者へ聞かなくても保管場所へたどり着けます。

発注が必要な物品や、目安となる数量も共有することで、鹿嶋様以外のスタッフも発注を進められるようになりました。使用期限を確認できることで、古い物品から使用しやすくなり、期限切れによる廃棄だけでなく、使用期限を過ぎた物品を誤って使用するリスクの低減にもつながっています。

zaicoが変えたのは、在庫数の数え方だけではありません。担当者の頭の中にあった「これは何か」「どこにあるか」「いつ、いくつ頼むか」を、誰でも確認できる業務へ変えたのです。


「商品名や写真、棚番を登録しておけば、専門職でなくても探しに行けます。事務側でも在庫管理ができるようになりました。」

zaicoを操作している様子

zaicoで在庫情報を確認する様子。


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一つの保管場所から始め、運用を育てる

正眼堂では、最初から院内すべての物品を登録したわけではありません。まず診療部の一つの保管場所から開始し、実際に入出庫や発注を行いながら、管理する項目と日常のルールを調整しました。基本の運用が整うまでには、半年から1年ほどかかったといいます。

現在は診療部の日常的な物品管理がおおむね定着し、技工部の物品登録を進めています。今後は訪問部や使用頻度の低い物品へも広げる予定です。

「最初から全部を管理するのではなく、小さいところから始めました。管理しやすさを実感できたので、少しずつ対象を広げています。」

最初からすべての物品を対象にせず、取り組みやすい範囲から始める。そこで得た経験を次の場所へ広げることが、継続しやすい進め方になります。

ケースごとに分類した別の保管場所

診療部で整えた在庫管理を、別の保管場所へ段階的に広げている。

現場が使いやすく、管理側も続けられるルールをつくる

運用を定着させるために鹿嶋様が重視したのは、現場へのヒアリングです。物品が何に使われ、院内では何と呼ばれ、どの並びなら探しやすいのかを確認しました。

管理側の都合だけで分類や配置を決めると、現場にとって使いにくい仕組みになります。一方、現場の要望だけを優先すると、管理作業が複雑になり、継続できません。正眼堂では、現場が使いやすく、管理側も続けられる方法を探しました。

例えば、種類の多い物品は、使用中の分と予備を分けて管理します。予備を開封したタイミングで在庫を更新し、次の発注へつなげます。一つずつの使用を記録するのではなく、現場が続けられる単位に合わせています。日常の出庫では、使い切った物品の空箱を専用ボックスへ入れ、担当スタッフが毎朝まとめてスマホスキャンにて出庫を登録します。

「管理側だけで決めるのではなく、現場が使いやすく、こちらも続けられるところを探しています。システムと現場の間を取り持つような感覚です。」

在庫管理が変わると、日常業務はどう変わるか

在庫数と保管場所が共有され、発注の目安も整ったことで、通常の運用が続いている限り、欠品や過剰在庫はほとんど発生しなくなりました。使用期限を確認できるようになり、期限切れによる廃棄ロスの削減にもつながっています。

棚卸も、以前は診療を止め、10数名で約2時間かけていました。現在は2名を中心に、診療を続けながら約3~4時間で実施しています。重要なのは、単純な経過時間ではなく、診療スタッフを一斉に集める必要がなくなったことです。日常的に写真、棚番、在庫数を整えているため、棚卸のためだけに情報を集め直す必要もありません。

まずは現場の声を聞き、一つの棚から始める

正眼堂の取り組みから分かるのは、最初から完璧な運用を用意する必要はないということです。

「まず現場のスタッフに徹底的に話を聞くことが大切です。現場が何を必要としていて、どのような並びなら使いやすいのかを理解する。その上で、管理側も続けられる方法を一緒に探すことが、定着につながります。」

一つの棚から始め、実際に使いながらルールを調整する。そこで得た手応えを次の保管場所へ広げる。在庫管理改善とは、単にシステムを入れることではなく、現場と管理側の間に「誰でも探せる・頼める業務」をつくることだといえます。


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Introduction

著者紹介

Dentwave

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