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マスクは全員が着ける。グローブも当たり前に着ける。では、目元はどうでしょうか。
診療中に露出している粘膜は、口と目の2か所。にもかかわらず、目元の保護は後回しになりやすいと、感染管理を徹底する佐野喬祐先生は指摘します。さらに日本の歯科医院では、患者さんの目元を「タオル」で覆う対応が今も一般的です。その慣習に、見過ごされてきた課題はないのでしょうか。
連載第2回となる今回、Dentwave取材チームは佐野先生と、ヒューフレディ・ジャパン社の増川健氏に再びインタビューを実施。エアロゾルのリスクが最も高い処置という意外な答えと、米国で患者にもアイウェアを装着する文化が持つ意味に迫りました。

ヒューフレディ・ジャパン社連載シリーズ
第1回外科処置の“勝負マスク”。 米国アワードを複数受賞した「セキュアフィット」を選ぶべき理由とは?”
第2回【今回はこちら】マスクは全員が着ける。では、目元は? タオルで覆うだけでは見過ごされる、歯科診療のアイプロテクション
第3回後日公開予定

マスクだけではNG!? 患者と術者の目元を守る米国発アイウェア「Palmero ProVisionシリーズ」の重要性

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マスクやグローブの次に、意識が向かない「目」

感染管理と聞いて、多くの人がまず思い浮かべるのは器具の洗浄や滅菌かもしれません。しかし佐野先生は、個人防護具(PPE)もまた欠かせない要素だと語ります。

E.Dental&Orthoの院長を務める佐野喬祐先生

「感染管理というと、器具の処理や滅菌などを最初に思い浮かべる方が多いと思います。しかし、PPE、つまり個人防護具も欠かせません。個人防護具ではグローブなどに目が行きやすく、もちろんグローブも大切ですが、自分を守るという意味では粘膜の保護が非常に重要です」

診療中に露出している粘膜は、口と目の2か所。このうち口は、日常生活でもマスクを着ける経験を重ねてきたため装着の意識が高い。問題は、その次に守るべき「目」です。 

 

露出する粘膜は「口」と「目」。PPEは点ではなく面で捉える

「次に守るべき目は、かなりおろそかになりがちです。理由の一つは、目が危ないという危機感があまりないことです。学校でも『目の保護は大事』とは教わりますが、感染リスクや保護方法の具体的な内容まで学ぶ機会は少ないのではないでしょうか」

グローブは患者さんに直接触れるため必要性を想像しやすい一方、目は直接触れないぶん、そこが感染の入口だという意識が持たれにくい。「着けると煩わしい」という先入観も、導入をためらわせているといいます。では、実際のリスクはどれほどのものなのでしょうか。
「診療中にはエアロゾル、つまり処置中に発生する目に見えないスプレーミストのようなものが出ています。私たちは診療時、患者さんから1メートル以上離れることは基本的にありませんから、かなりリスクの高いエリアで処置をしていることになります」

守るべきは術者だけでなく、歯科衛生士や歯科助手、患者さんも含めた全員です。では処置内容によってリスクは変わるのか。意外な答えが返ってきました。
「基本的には、どの処置にもリスクがあると考える必要があります。タービンを使う切削処置はエアロゾルが多いイメージを持たれやすいのですが、それ以上にエアロゾルが出る可能性があるのが、歯科衛生士が行う超音波スケーラーによる処置です」

一人で処置にあたる場面が多い歯科衛生士こそ、目元の保護が欠かせない

理由は、処置体制の違いです。
「歯科衛生士はアシスタントなしで一人で処置をすることが多く、吸引と処置を同時に適切に行うには高い技術が必要です。歯科医師の処置には基本的にアシスタントが付き、飛散量を抑えやすい。そういう意味でも、歯科衛生士自身の目元保護は特に意識しなければなりません」

さらに「観血処置か否か」という線引きも成り立たないといいます。目に見える出血がなくても、エアロゾルに血液成分が含まれるという報告があるためです。

「特定の処置だけでなく、基本的には歯科医療を行うすべての場面で装着することが大切です」

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「使い続けられること」が第一条件

では、アイウェアは何を基準に選ぶべきなのでしょうか。佐野先生が真っ先に挙げたのは、防護性能ではなく「ストレスのなさ」でした。
「第一に、診療の妨げにならないことです。ストレスになるものは長く使えません。重さやフィット感は非常に重要です。診療中は頭の角度が大きく変わるので、ずれ落ちるようでは使い続けにくい。装着直後は重さが気にならなくても、何時間も着けていると負担になります。目を守っていても、身体にストレスがかかってしまっては本末転倒です」

顔との隙間が小さいほど、飛沫・エアロゾルへの防御力は高まる

続く基準は、視界と隙間です。
「次に視界です。診療を行う上で、視認性を下げないことが選定の大きなポイントになります。さらに、先ほどエアロゾルの話をしましたが、顔との隙間が大きいほど感染リスクは高くなるので、なるべく隙間の少ないものを選ぶ必要があります」

そして最後に、長期的なコストです。
「アイウェアは長く使えるものですが、永久に使えるものではなく、定期的に交換が必要です。長期的な運用コストまで考えながら選定することが大切です」

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なぜ「タオル」では足りないのか

日本の歯科医院では、患者さんの目元を保護する手段としてタオルが広く使われています。導入コストが小さく繰り返し使えること、日常生活に身近で安心感を持つ人がいることが背景にあると佐野先生は見ています。一方、海外では視界がなくなること自体に不安を感じる人も多いといいます。

そのうえで佐野先生は、タオル対応の課題を3つの側面から整理します。

1つめは、衛生面です。
「診療中は感染性のある飛散物が多く、タオルも当然汚染されます。器具の滅菌には高い意識がある一方で、タオルの処理は『洗っていればよい』となりやすい。熱を使った洗濯など、それに見合った処理が必要です」
洗剤の臭いを理由に「かけてほしくない」と言われた経験もあるとのこと。汚れや色の変化も、患者さんに不潔な印象を与えかねません。

2つめは、患者さんの心理面です。
「目を覆われると、患者さんから周囲が見えません。本来は相手の表情や目を見ながら話したいものです。それができなくなると、患者さんは『今どういう状態なのだろう』『先生はここにいるのだろうか』と不安になります」

視界を奪われた人の意識は、音へと向かうといいます。
「視界を遮られると、人は音に集中します。後ろで変な音がした、スタッフが何か話している、自分のことを言われているのではないか、といった不安につながります。視界を遮ることで安心する人もいますが、実は不安になっている人も少なくありません」
SNS上にも「なぜ歯医者ではタオルをかけられるのだろう」という投稿は少なくありません。習慣だから言い出せない方、閉所恐怖症の方、まつげエクステを気にされる方。負担になるケースは想像以上に多いようです。

3つめは、日々の運用効率です。
「タオルは、患者さんを起こすたびに取り、倒すたびにかけるという作業を繰り返します。アイウェアなら最初に装着し、診療が終わるまでそのまま。小さな作業ですが、積み重なると時間や効率に差が出ます」

視界が確保されていれば、装着したまま術者と会話ができる

なお、患者さん用のアイウェアには、術者用とは1点だけ大きく異なる観点があります。診療ライトが当たる患者さんにはまぶしさを軽減できるかが重要になる一方、術者は暗くなると診療精度が下がるため、クリアな視界が求められるという違いです。

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米国発Palmeroシリーズが掲げる、4つの「C」

こうした課題に対し、ヒューフレディ・ジャパンが第2回として提案するのが、Palmero ProVisionシリーズのアイウェアです。

ヒューフレディ・ジャパン合同会社の増川健氏

「以前はアイウェアを取り扱っていませんでしたが、米国でアイウェアの高いシェアを持つPalmeroがグループに加わりました。Palmeroは米国コネチカット州で創業した実績のある会社です。個人防護具からインスツルメントまで総合的に提案できる体制になっています」

Palmeroは、米国の歯科用アイウェアで高いシェアを誇るリーディングブランド。増川氏は日本との文化的な違いにも触れました。
「日本では患者さんにタオルをかける歯科医院が一般的だと思いますが、米国では患者さんにもアイウェアを装着して診療する文化があります。その文化も日本でぜひご紹介したいと考えています」

そのPalmeroが設計思想として掲げるのが、頭文字にCを持つ4つのキーワードです。

Palmeroが掲げる4つの「C」

「第一がCertifiedで、規格や認証に適合していること。第二がClarityで、クリアにきれいに見える視認性。第三がComfortで、かけ心地が良く快適であること。最後がComplianceで、必要な人が必要な場面で継続して着用できることです」

米国は日本より個人防護具の基準が厳しく、Palmeroもそれを満たす製品として設計されています。目と顔の保護規格ANSI Z87.1に準拠し、防曇加工・防傷加工を施用。製品によって最大95%〜99.9%の紫外線をカットします。

「第一がCertifiedで、規格や認証に適合していること。第二がClarityで、クリアにきれいに見える視認性。第三がComfortで、かけ心地が良く快適であること。最後がComplianceで、必要な人が必要な場面で継続して着用できることです」

米国は日本より個人防護具の基準が厳しく、Palmeroもそれを満たす製品として設計されています。目と顔の保護規格ANSI Z87.1に準拠し、防曇加工・防傷加工を施用。製品によって最大95%〜99.9%の紫外線をカットします。
※ANSI Z87.1:米国の国家規格協会(ANSI/American National Standards Institute)が制定する“American National Standard For Occupational And Educational Personal Eye And Face Protection Devices”。就業者や学生など、作業者の目や顔面を保護するために用いる器具における国家基準。

ラインナップは、術者用・患者用の双方をカバーします。
「患者さん用は、診療ライトなどのまぶしさを受けるため、サングラスのように光を抑えるタイプがあります。術者は診療部位をクリアに見る必要があるので、透明なタイプを装着します。術者用は長時間装着し、十分な性能や耐久性が必要になります」
「顔の形は人によって違うため、それぞれに合うよう複数の種類があります。サイズ面では小児患者さんに合うものもありますし、視認性を重視したタイプや、広い視野を確保できるタイプなどもあります」

術者用・患者用・小児用まで揃うProVisionシリーズ

さらに、使い捨てではない点も特徴です。
「基本的に使い捨てではありません。消耗品ではあるため、ある程度の期間で交換することが前提ですが、中性洗剤で洗浄し、繰り返し使用できる耐久性があります。また、アイウェア用のケア製品もあります。」

価格面についても、増川氏は導入のしやすさを強調します。
「佐野先生からも価格の話がありましたが、比較的手頃な価格設定にしています。認証要件を満たし、品質にはしっかりこだわりながら、歯科医院が現実的に導入しやすい価格でご提案しています」

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患者が「全然気にならなかった」と言う理由

実際に使用している佐野先生は、率直な使用感をこう語ります。

佐野先生が愛用する「プロビジョン シック」

「私はプロビジョン シックというタイプを好んで使っています。テンプルの耳に当たる部分はフィット感がありながら、先端がゴム素材なので圧迫感が強くありません。長時間着けた後に外しても、痛みや違和感が残らない点が良いと思います」

鼻に当たる部分も跡が付きにくく、視界も非常にクリア。院内では、患者さんにもアイウェアを装着してもらう運用を定着させています。
「導入当初は率直な感想を伺っていました。長時間の装着では『痛くなった』『着け心地が悪い』という声が出ることもあります。ProVisionに替えてからは、『全然気にならなかった』と言われることがほとんどです」

視界が確保されるため、装着したまま術者と会話ができる

「守られている感覚」が強く、注意を払ってくれるクリニックだと感じてもらえる点もプラスに働くといいます。特に効果が大きかったのは、小児への対応でした。
「子どもは歯科医院そのものを怖がることがあります。タオルで見えなくするより、サングラスのようなアイウェアを見せると、『何これ、着けてみたい』と興味を持ち、楽しいものになります」

小児用は6色展開。「今日は何色にする?」が来院の楽しみになる

「装着していても視界があるため、こちらを見ながら会話できます。保護者の方も姿が見えて安心できる。子どもは光に敏感で、診療ライトが少しまぶしいだけでも動いてしまい、処置上の危険につながります。まぶしさを抑えることは別の意味での安全性も高めます」
日々のケアは一日の終わりに洗浄・乾燥させる運用。血液が付着した場合は専用ワイプでその都度拭き取っているそうです。

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まずは「一人一個」から。院内に定着させる運用設計

院内に定着させるには設計が必要です。佐野先生がまず挙げたのはスタッフの意識。マニュアルで「やりなさい」と言われる場合と、自分から「やらなければ」と思う場合では取り組みのレベルが違います。その具体策が、全員での「着け比べ」です。
「院長が一方的に決めるより、サンプルを取り寄せ、スタッフ全員で着け比べて感想を言い合うことが大切です。皆で話すと自分事になり、重要性も理解しやすくなる。試した上で導入すれば、患者さんへの説明もうまくなります」

すぐ取り出せる保管場所を決めることが、定着の第一歩

タオル文化に慣れたスタッフには、患者役の体験を勧めているとのこと。洗濯の工程が減る点も納得感につながります。運用面の要点は「数」と「保管」。ぎりぎりでは回らないため余裕を持った導入を勧めます。そして特に強調したのが、術者用は「一人一個」で持たせる方針でした。
「共有では管理がおろそかになり、使用期間や劣化の程度も分かりにくくなります。スタッフに一人一個用意すれば、『医院が自分のことを考えてくれている』と感じてもらえ、満足度を高めることにもつながります」

まずはスタッフ全員で着け比べ、感想を言い合うことから

一方、患者さんへの導入は押しつけないことが前提。タオルでないと不安な方には選択肢を残してよいといいます。ただ、丁寧に一声かければ抵抗を示す方はほとんどおらず、固定観念をほぐすことが大切だと語ります。

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院内の感染管理を進める第一歩

明日からできる第一歩として、佐野先生が挙げたのはシンプルな行動でした。
「まず、使ってみることです。アイウェアは非常に高価なものではなく、診療全体のコストから見れば無視できる程度だと思います。皆さん、メガネを買うときには自分に合うものを時間をかけて選ぶのに、診療用アイウェアは試さずに選んでしまうことがあります。選択肢の一つとしてPalmeroのProVisionを一度使えば、米国で広く支持されている理由を実体験で理解できると思います。明日からできることは、まず取り寄せてみることです」

増川氏も、同じ入口を示します。
「ぜひ良さを試していただきたいと思います。術者用はイメージできる方も多いと思いますが、患者さん用のタイプを知らなかった方もいらっしゃると思います。ぜひ院内への導入を検討していただければと思います」

目元を守るという選択が、医院の価値をつくる

最後に、読者へのメッセージを伺いました。
「感染対策の製品が直接売上を上げるわけではありませんが、間接的には医院の価値向上につながると考えています。導入コストを気にする気持ちは分かりますが、目に見えにくい価値にも目を向け、ぜひ導入していただきたいと思います」(佐野先生)

「先生だけでなく、今は歯科医院がスタッフを採用し、定着してもらうことのハードルも高くなっています。スタッフに安全な個人防護具を提供し、教育の機会を与えることは、魅力的な歯科医院をつくる一つの手段です。Palmeroの製品を、ぜひそのような目的にも活用していただければと思います」(増川氏)

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編集後記

今回の取材で最も印象に残ったのは、佐野先生が「目元保護」を感染対策の問題としてだけでなく、患者さんとのコミュニケーションの問題として語られたことでした。
タオルで視界を塞ぐという慣習は、衛生面だけでなく、患者さんが感じる不安や、術者自身が置かれる立場にまで影響している—「見えること」がこれほど多くの意味を持つとは、取材前には想像していませんでした。
そして、その解決策が「まずスタッフ全員で着け比べてみる」という、極めて具体的な一歩から始まるという点は、第1回の「まず1回いいものを使ってみる」にも通じます。目元を守るという選択は、医院が誰を大切にしているかを、患者さんとスタッフの双方に伝える手段なのかもしれません。

その他連載シリーズはこちらから!

ヒューフレディ・ジャパン社連載シリーズ
第1回 外科処置の“勝負マスク”。 米国アワードを複数受賞した「セキュアフィット」を選ぶべき理由とは?”
第2回 【今回はこちら】マスクだけではNG!? 患者と術者の目元を守る米国発アイウェア「Palmero ProVisionシリーズ」の重要性
第3回 後日公開予定
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