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歯科医療DXオールインワンパック メディア向け説明会 参加レポート
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イベント概要
歯のホワイトニングや歯のクリーニングなどのサービスを全国337の加盟歯科医院で展開し、歯科医師向けの経営支援なども行うホワイトエッセンス株式会社は、導入ハードルが高い口腔内スキャナー(IOS)を“月額定額で試せる”新たな選択肢として「歯科医療DXオールインワンパック」を発表した。
これに伴い、2026年3月11日、ホワイトニング製品の製造および研究開発を担う川崎工場にて、メディア関係者向け説明会が開催された。当日は、「歯科医療DXオールインワンパック」の概要説明に加え、工場見学や製品デモ体験が行われたほか、歯科事業の取り組みや歯科業界の動向についての解説も行われた。
イベントプログラム
当日は、歯科DXの現状や課題、今後の方向性をテーマに以下のプログラムが行われた。
| プログラム |
|---|
| 「歯科医療のインフラ改革」歯科DX促進プロジェクト ホワイトエッセンス株式会社 執行役員 松下浩之 氏 |
| 「技工業界から見た、歯科業界 DX 化の現状と課題」 アクウェスト株式会社 代表取締役社長 高崎宏之 氏 |
「倒産過去最多の時代、歯科医院はどう生き残るか?」歯科医療 DX オールインワンパックのご提案 ホワイトエッセンス株式会社 医療 DX 課 早乙女公介 氏 |
「内製歯科技工について」 ホワイトエッセンス株式会社 執行役員 松下浩之 氏 |
質疑応答/製品デモ | 工場見学 |
「歯科医療のインフラ改革」歯科DX促進プロジェクト/ ホワイトエッセンス株式会社 執行役員 松下浩之 氏

本イベントは、松下氏の講演から幕を開けた。
講演では、口腔内スキャナーを起点とした歯科医療のデジタル化の可能性と、その活用を支援する取り組みについて紹介された。
歯科業界では依然としてアナログな診療フローが多く残っている。
その一例が従来の印象採得である。患者の嘔吐反射など身体的負担が生じるほか、模型作製などの工程に多くの手作業が伴うなど、診療現場の効率性の面でも課題がある。
こうした課題の解決策の一つとして、口腔内スキャナーによるデジタル化の可能性が示された。
歯科DXの意義は、単なる診療現場の業務効率化にとどまらず、スタッフ採用における競争力向上が期待できるほか、口腔内データの可視化によって患者とのコミュニケーションや信頼関係の構築にもつながると説明した。
一方で、IOSを導入していても十分に活用できていない医院が少なくないのも現状である。
こうした課題に対し、ホワイトエッセンスではコンシェルジュサービスや技工支援、セミナーなどを通じて医院に伴走しながらDX活用を支援する取り組みを展開していくと紹介し、講演を締めくくった。
「技工業界から見た、歯科業界 DX 化の現状と課題」/ アクウェスト株式会社 代表取締役社長 高崎宏之 氏

続いて登壇した高崎氏は、歯科業界が直面する構造的な課題を示したうえで、その解決策として口腔内スキャナーを起点としたデジタル化と新たなワークフロー構築の重要性について解説した。
まず示されたのは、歯科医院を取り巻く経営環境の厳しさである。
歯科医院数の増加による競争激化に加え、人件費の高騰などの影響により、歯科医院経営は利益を出しにくい構造になっていると指摘した。
同様に、歯科技工業界でも大きな変化が起きている。
国内の技工所の多くは小規模な「1人親方」型であるが、デジタル化への設備投資の負担が増大する中で、大規模ラボとの二極化が進行している。また、若手技工士の減少や離職、女性技工士の増加に伴う働き方の変化など、人材不足が業界全体の深刻な課題となっている現状にも触れた。
さらに高崎氏は、歯科医療のデジタル化が進む一方で、依然としてアナログ作業が残る「デジタルギャップ」の存在にも言及した。CAD/CAM冠や3Dプリンティングといったデジタル技術の保険導入が進んでいるにもかかわらず、歯科医院から石膏模型が送られるなど従来の作業工程が残っており、生産性向上の妨げとなっていると説明した。
こうした課題の解決策として挙げられたのが、口腔内スキャナーの普及である。
IOSは単なる機器ではなく、歯科医院と技工所のワークフローを根本から変革し、新たなビジネスモデルを生み出す可能性を持つツールであると高崎氏は語る。さらに、サブスクリプションモデルやクラウド連携によるフルデジタルワークフローの必要性にも言及し、海外事例を紹介しながら、日本においてもデジタル化を推進する企業が市場を牽引していく可能性を示した。
講演の最後には、IOSの普及が歯科医師と歯科技工士双方の負担軽減につながるだけでなく、日本の歯科医療を次の時代へ導く重要な鍵になると強調した。
「倒産過去最多の時代、歯科医院はどう生き残るか?」歯科医療 DX オールインワンパックのご提案/ ホワイトエッセンス株式会社 医療 DX 課 早乙女公介 氏

次に登壇した早乙女氏は、歯科医院の厳しい経営環境を背景に、口腔内スキャナーを活用したデジタル化の重要性と、その導入障壁を下げるための月額制モデルや伴走型支援による歯科DX推進の取り組み「歯科医療DXオールインワンパック」について、紹介した。
歯科医院の倒産件数は2年連続で過去最多を更新しており、業界全体が大きな転換期を迎えている。
特に問題視されているのが、金銀パラジウム合金の価格高騰による経営への影響である。銀歯治療では逆ザヤが発生し、治療を行うほど赤字になるケースも生じており、金属依存の治療体制からの脱却が求められていると、早乙女氏は講演の冒頭で指摘した。
こうした状況の中で注目されているのが、口腔内スキャナーを中心とした診療のデジタル化である。
しかし、日本におけるIOSの普及率は20%未満にとどまっており、その大きな要因として導入費用の高さが挙げられる。多くの歯科医院にとって初期投資の負担が大きく、デジタル化の必要性を感じながらも導入に踏み切れないケースが少なくない。
こうした課題への解決策として紹介されたのが、「歯科医療DXオールインワンパック」である。
本サービスは、初期費用0円・月額制でIOSを導入できるモデルを採用しており、さらに2か月間の無料トライアルを用意することで導入のハードルを下げている点が特徴だ。
また、導入後の活用を支援する体制として、訪問サポートやWeb相談会、個別コンシェルジュ対応などの伴走型サポートも提供していく。加えて、クラウドを活用したデジタル技工オーダーや決済・書類の電子化など、歯科医院の業務効率化を支える仕組みも整備されている。
早乙女氏は、本サービスが「初期費用」「解約リスク」「サポート不安」という3つの導入障壁を取り除くことで、歯科医院のDX推進を後押しする取り組みであると説明。口腔内スキャナーを起点としたデジタル化が、持続可能な歯科医療の実現につながる可能性について強調し、講演を締めくくった。
「内製歯科技工について」/ ホワイトエッセンス株式会社 執行役員 松下浩之 氏

最後の講演として、生産性向上と歯科技工士の働く環境改善を目指す取り組みについて、松下氏が解説した。
冒頭では、歯科技工士のなり手が減少し、人材不足が深刻化している現状に言及。
粉塵環境での作業や長時間労働、保険診療中心による低い生産性など、歯科技工士を取り巻く厳しい労働環境がその背景にあると指摘した。
こうした課題に対し、ホワイトエッセンスでは自社の歯科技工部門において、口腔内スキャナーを中心としたデジタル技工を推進。生産性向上と歯科技工士の働く環境改善の両立を図る取り組みを進めているという。
また、世界的に審美ニーズが高まり低侵襲治療への関心が高まる中、ホワイトニングを起点にラミネートベニアなどを組み合わせた審美治療の提供を進めている点にも触れた。さらに、技工物の品質を担保するため、日本製ジルコニアなど素材選定にもこだわり、メーカーと連携した高品質な技工体制を構築していることについても説明した。
最後に、IOSを活用したデジタルワークフローを通じて患者・歯科医院・歯科技工士の三者に価値を提供し、歯科技工士の働く環境改善と歯科業界の持続的な発展につなげていくビジョンを示し、今後の方向性についての考えを示した。
質疑応答/製品デモ
本イベントの中心テーマでもある口腔内スキャナーについて、デモンストレーションが行われた。
まず、スキャナー本体のみで直感的に操作できる点に加え、優れたスキャン速度や反応性によりフルアーチのスキャンも3分以内で完了するなど、診療の生産性向上につながる点が説明された。
また、本機器は単なる型取り機器ではなく、口腔内写真の撮影やQRコードを用いた3Dデータ共有、矯正シミュレーションやシェード測定機能などを備えており、患者が自身の口腔内の状態を視覚的に理解できるカウンセリングツールとしても活用できると述べた。
さらに、クラウドシステムを活用することで、技工所とのデータ共有や進捗確認をデジタル上で一元管理できる仕組みについても紹介され、口腔内スキャナーを活用した診療や技工連携の具体的な活用イメージが提示された。
工場見学
ホワイトエッセンス株式会社の工場では、オフィスホワイトニング剤およびホームホワイトニング剤の製造が行われており、その生産体制や品質管理の取り組みについて紹介された。工場では主にオフィス用ホワイトニング剤とホーム用ホワイトニング剤を製造しており、歯科医院向けに供給される製品を中心に生産が行われている。
徹底した衛生管理と品質管理

製造エリアは高い衛生基準で管理されたクリーンルームとなっており、空気中の塵や埃を排除するためのフィルターを通した空気が常に循環する構造となっている。作業にあたるスタッフも専用のクリーンウェアを着用し、外部からの異物混入を防ぐ体制が整えられている。一般的には包装エリアに近い環境で製造されるケースもある中、同社ではより高い安全性を確保するため、製造工程全体を高水準のクリーン環境で管理している点が特徴とされている。
製造工程の出発点となるのはホワイトニングジェルの攪拌工程である。専用のステンレス容器を使用し、複数の原材料を均一に混ぜ合わせることでジェルが作られる。配合比率や混合状態を厳密に管理することで、品質の安定化が図られているという。

攪拌されたジェルは、すぐに次工程へ進むのではなく、必ず品質検査を受ける仕組みとなっている。ここでは専門の検査担当者が粘度やpHなどの数値を測定し、あらかじめ設定された基準を満たしているかを確認する。これらの数値は製品の使いやすさや安定性に直結するため、基準を満たしたものだけが「合格品」として次の工程に進められる。こうした工程を通じて、品質のばらつきを抑えた製品供給が実現されている。
自動化設備と手作業による「効率」と「品質」を両立する仕組み

品質検査を通過したジェルは、シリンジへの充填工程へ移る。シリンジは1回分ずつ押し出して使用できる構造になっており、実際の臨床現場での使いやすさを考慮した設計となっている。ラベル貼り工程では自動化設備が活用されており、1日に数千本規模の処理が可能となっている。

最終工程では、完成したシリンジをトレイや箱に詰め、外装を整えたうえでシュリンク包装が施される。この段階では自動化された設備だけでなく、スタッフによる手作業での確認も行われ、製品の状態を一つひとつチェックしながら出荷準備が進められる。
このように、クリーンな製造環境、厳格な品質検査、自動化設備と手作業による確認工程を組み合わせることで、ホワイトニング剤の品質と安全性を担保する生産体制が構築されていることが紹介された。
ホームホワイトニングの品質を支えるカスタムトレイ製作の現場

技工所見学では、ホームホワイトニング用のカスタムトレイを製作する現場についても紹介された。
特に注目したのは、国内の歯科分野では導入事例が極めて少ない、約1億円規模の3Dプリンターが導入されている点である。一般的な歯科技工所では費用面のハードルが高く導入が難しい設備とされるが、同社ではこうした最新機器を活用することで、高精度な歯列模型の製作を可能にしているという。
ホームホワイトニングでは、カスタムトレイの精度が治療効果を左右する重要な要素とされる。そのため、模型精度の高さはホワイトニングジェルの均一な保持や装着時の快適性にも直結する。同社ではこうした点を重視し、積極的な設備投資を行うことで、より高品質なホームホワイトニングの提供体制を整えていることが紹介された。
新設された歯科技工部門を公開

昨年4月に設立された歯科技工部門も紹介された。
同部門では、患者ニーズの高いラミネートベニアの製作体制が整えられているほか、保険適用のCAD/CAM技工にも対応する最新のミリングマシンが導入されている。特にジルコニアの削り出しにおいて高い精度を実現している点が紹介された。
最新のデジタル設備と厳格な検証プロセスのもとで高精度な技工物の製作が行われており、航空機や戦艦の部品製造にも用いられる高性能ミリングマシンを使用することで、0.1〜0.2mmという極めて薄い精度での削り出しを実現している。特にジルコニアの加工精度は高く、安定した品質の技工物を提供できる体制が整えられているという。同技工部門は昨年4月に設立されたばかりの新しい組織だが、すでにフル稼働しており、今後はさらなる施設拡張も計画されている。
編集部まとめ
保険医療制度のひっ迫や物価・人件費の高騰などを背景に、歯科医院を取り巻く環境は大きく変化している。
こうした背景から、歯科医療は従来の保険中心の診療モデルだけでなく、新たな価値提供が求められる段階に入りつつある。
さらに、近年は生活者の審美ニーズも高まり、「白い歯」への関心は年々高まっている。
今回発表された口腔内スキャナーの新プランや歯科技工部門の取り組みも、こうした時代の変化を背景としたものといえるだろう。
人々に健康的な歯と自信の持てる笑顔を届け、コミュニケーションをより豊かにする生活を提案するという理念のもと、ホワイトエッセンスでは積極的な設備投資や徹底した品質管理を通じて、その実現に向けた体制づくりを進めている。
歯科医療の新たな価値創出につながる取り組みとして、今後の展開が注目される。






