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石巻市で長年にわたり小児歯科・矯正歯科として地域医療を支えてきましたが、今回の破産手続き開始の決定により、業界内では地域医療の継続性や歯科経営の厳しさを示す事例として注目されています。
東京商工リサーチ東北支社によると、負債額は約1000万円(2024年7月期末時点)。
【激震】宮城の老舗歯科医院が破産。なぜ今「地域の名門」でも破産するのか?
概要
医療法人社団佐々木小児歯科医院(宮城県石巻市)は26日までに、仙台地裁石巻支部から破産手続き開始決定を受けました。
石巻市で長年にわたり小児歯科・矯正歯科として地域医療を支えてきましたが、今回の破産手続き開始の決定により、業界内では地域医療の継続性や歯科経営の厳しさを示す事例として注目されています。
東京商工リサーチ東北支社によると、負債額は約1000万円(2024年7月期末時点)。
倒産・廃業数は「過去最多」を更新中
帝国データバンクなどの調査によると、2024年〜2025年にかけて、歯科医院を含む医療機関の倒産・休廃業は統計開始以来、過去最多を記録しています。
倒産: 年間25〜30件前後(負債1,000万円以上の法的整理)
休廃業・解散: 年間150件前後(倒産には至らないが、経営を断念して閉院)
※数字だけ見ると少なく感じるかもしれませんが、以前は「倒産」自体が極めて珍しい業界でした。
なぜ「地域の名門」でも破産するのか?
今回話題になったような、長年地域に根ざした医院が破産する背景には、主に3つの「三重苦」があります。
1.人手不足と人件費の高騰
歯科衛生士の採用難が深刻で、給与を上げないとスタッフが確保できず、診療が回らなくなります。「求人を出しても誰も来ない」ことが経営破綻の引き金になるケースが増えています。
2.物価高と設備投資の負担
歯科材料(金銀パラジウム合金など)の値上がりや、光熱費の上昇が利益を圧迫しています。また、デジタル化(口腔内スキャナやCTなど)に伴う数千万単位の設備投資が重くのしかかります。
3.院長の高齢化と後継者不在
廃業する歯科医師の平均年齢は70歳に迫っています。子供が継がない、あるいは若手が「リスクの高い地方の古い医院」を引き継ぎたがらないため、体力が尽きたところで破産・廃業を選択せざるを得ない状況です。
今年(2026年)の展望
先日話題になった診療報酬改定(プラス0.31%)は、こうした「物価高・賃上げ」への対策という側面が強いです。
しかし、評価がデジタル技術などに偏っているため、「新しい投資ができる大規模な医院」と「投資が難しい小規模な古い医院」との二極化がさらに進むと予想されています。
老舗の歯科医院が生き残るためには、これまでの「待ち」の姿勢から、「戦略的な攻め」への転換が不可欠になることでしょう。
まとめ
今回の佐々木小児歯科医院のニュースは、決して他人事ではありません。
長年、子供たちの笑顔を守り、地域に根ざしてきた場所がなくなってしまうのは、私たち歯科界にとっても、何より地域の皆さんにとっても、言葉にできないほど寂しいことです。
「当たり前」だった地域の景色が消えゆく今、歯科医院は今まさに、その在り方を根底から問われる大きな転換期を迎えています。
時代の変化を柔軟に受け入れ、未来へと繋ぐための新たな決断が、今すべての歯科医院に求められていくこととなるでしょう。



