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全学校種においてむし歯を持つ子どもの割合が過去最小を更新。特に幼稚園児では、調査開始以来初めて2割を切るという歴史的な転換点を迎えています。
子どものむし歯が過去最小を更新!文科省「令和7年度学校保健統計」に見る歯科保健の現在地
■ 驚異的な減少:幼稚園児の「むし歯なし」が8割以上に
今回の調査で最も注目すべきは、幼稚園児のむし歯被患率が19.44%(前年20.74%)まで低下したことです。昭和の時代には9割以上の子どもにむし歯があったことを考えると、日本の公衆衛生史上、特筆すべき成功と言えます。
また、他の校種においても着実な減少が見られました。
・小学生:30.83%(前年比2.06ポイント減)
・中学生:25.23%(前年比1.27ポイント減)
・高校生:32.77%(前年比1.93ポイント減)
12歳児(中学1年生)の一人平均むし歯本数(DMFT指数)も減少傾向にあり、日本の歯科予防対策が全世代で機能していることが示されています。
■ 「劇的減少」を支えた3つの立役者
なぜ、ここまで日本の「歯」は守られるようになったのでしょうか。専門家は以下の3点を挙げています。
1.フッ化物洗口の「インフラ化」
全国の自治体や学校でのフッ化物洗口の実施が定着。家庭でのフッ素配合歯磨き粉の使用率も9割を超え、歯質そのものを強化する習慣が根付きました。
2.保護者の意識改革と「仕上げ磨き」の定着
「乳歯はどうせ抜けるから」という考えは過去のものとなり、幼少期からのメンテナンスが全身の健康に繋がるという認識が一般化しました。
3.「治療」から「管理」へ。歯科医院の役割変化
「痛くなったら行く」場所から「悪くならないために行く」場所へと、歯科医院が健康管理のパートナーとして機能し始めた成果と言えます。
■ 明るいニュースの裏に潜む「格差」と「新課題」
一方で、手放しでは喜べない課題も浮き彫りになっています。
統計を詳細に見ると、むし歯が全くない子が増える一方で、一部の「多発傾向にある子」にむし歯が集中する「二極化」が進んでいます。家庭環境や経済状況による健康格差が、口の中に現れている形です。
また、歯科が改善する一方で、「視力1.0未満」の割合は過去最多水準(中学生で約6割、高校生で約7割)となっており、タブレット学習やスマホ利用時間の増加による「現代病」との対比が鮮明になっています。
■ まとめ:これからの歯科保健に求められるもの
むし歯が減った今、歯科保健の焦点は「治療する」ことから「機能を育てる」ことへと移っています。これからは歯の数だけでなく、正しく噛む、飲み込む、そして美しい歯並びを維持するといった「口腔機能」へのアプローチが、令和の歯科保健の主戦場となるでしょう。
今回の統計結果は、日本の歯科保健教育の勝利を告げるものであると同時に、格差是正や機能育成という「次なるステップ」への号砲とも言えそうです。



