地域医療構想WG:“配布資料の文言は問題”“最後は在宅医療、歯科にも期待”等

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第4回地域医療構想ワーキンググループ(以下WG、歯科医師不在)が5月10日、厚労省で開催され、高度急性期・急性期・回復期・慢性期の4機能ごとの病棟数・病床数を示していた。厚労省は「地域医療構想は都道府県医療計画の一部として策定されるが、都道府県計画は2018年度に始まるので、地域医療構想の策定期限は法律上では2017年度末(2018年3月末)とされる。厚生労働省は2016年度半ばまでに策定することが望ましい」としていたが、平成29年(1~3月)に、最終8地区(新潟県・富山・長野・三重・京都・福岡・熊本・沖縄)の策定が完了し、47都道府県で計画は完了したとされている。 WGでは、今後の議論において整理が必要な項目を各構成員から求めたが、今までの議論を踏まえながらも活発な意見が出され、事務局としてもその対応に苦労した場面があった。今回は、早々に中川俊男構成員(日本医師会副会長)が、構想地域ごとの2015年度病床報告と2025年における病床必要量を比較するものとして今村知明構成員(奈良県立医科大学医学部教授)から提示された資料内容への問題指摘があった。 「病床の必要量が正しく反映されていない数字を挙げて“多くの構想区域において急性期機能が多く、回復期機能が不足という結果になっている”と明記されているが本当ですか。こうして活字になり、公的会議で参考でも資料になると、そこから回復期病床が不足云々と推察されてしまう。急性期病床にはその経緯を鑑みて入院している患者がいることをどうみるかが大きな問題です。臨床では適切な対応を実施しているということで、“不足”と思わせる表現はウソであり間違い。“不足”と決めつける表記は、“厚労省が移行を促す”とも受け取られてしまう。慎重にした方がいいというより取り消した方がいい」と強い口調で事務局に詰問する場面もあった。そこで、「病院機能を規定・報告することで、当該病院が規定に沿った対応をせざるを得ず、患者を送り出すことが出きたらどうするのか。柔軟性を有することが必要ではないか」と懸念内容を明らかにし、「そもそも、病院の機能区分ではなく病棟。結果として病床機能報告をし、それを基にして対応していくもの。だから重要なのだが、そういう認識で記したとは思えない文言になっている。どうなのか説明がほしい」とも続けた。 また、地域医療構想調整会議検討内容の事例として、青森県、岐阜県、北海道、沖縄県を例示されたが、この件についても「大変失礼だが、こうした事例の具体的な病院名を出してしまうと、これを参考にしなくてはならないと思う地区・病院が出て来る懸念がある。青森県などは珍しい事例。これが基本的内容とされたら成立しない。この点も匿名や“珍しい事例”などと前置きを付記して置くなどの配慮・慎重な対応が必要」と重ねて意見があった。 一方、公立病院改革の推進状況に関しての資料も配布・報告された。特に「新公立病院改革ガイドライン(平成27年3月)に基づいた改革プランの作成・推進」「医療提供体制の改革と連携に公立病院のさらなる経営効率化・再編・ネットワーク化等の推進」が求められていた。邉見公雄構成員(全国自治体病院協議会会長)から、「地域医療構想の検討及びこれに基づく取組は整合的に行われる必要があること、地域医療構想を達成推進するために行う関係者との協議の場で合意事項と齟齬が生じた場合には、速やかに新改革プランを修正する」と簡潔に現状認識を示した。 さらに「地域医療構想は急性期、回復期、慢性期と相互連携の中で過不足なく対応していくことが基本としての連携作業であり、最終的には“在宅医療”が受け皿になるのだが、その受け皿が十分ではない。在宅医療では、患者は口から食事をして栄養を摂食し運動するので、在宅栄養士、在宅薬剤師などが重要な役目を担っていくようになる」と指摘・主張していた。 WGを終えた後、オクネットとして在宅医療への現状認識を改めて確認すると、次のように不満と課題をコメントしていた。「内科医師の総合診断は必要だが、対応が遅れている。とにかく在宅はチーム医療であり、看護、栄養、薬剤師、歯科などが必要。敢えて言えば、最近は変わりつつあるが、まだまだ“医師は口を診ない”“歯科医師は口以外は診ない”。私自身、身内や懇意にしている元県歯会長を含めて歯科医師がいるし、中医協委員だった歯科医師などとも意見交換はしてきた。繰り返すが、地域医療構想の最後は“在宅医療”だ」と改めて在宅医療への関心・評価の必要性を強調していた。同伴していた松本良人・全国自治体病院協議会企画部主任も「医科歯科連携が指摘されているのですが、最近になり動き初めてきていますので、まさにこれから相互の意見交換・交流が今まで以上に必要になる時期にきていると理解しています」と今後への期待を寄せる発言もしていた。 【域医療構想WG構成員】座長=尾形裕也・東大政策ビジョン研究センター特任教授、相澤孝夫・日本病院会副会長、伊藤伸一・日本医療法人協会会長代行、今村知明・奈良県立医科大学医学部教授、織田正道・全日本病院協会副会長、中川俊男・日本医師会副会長、野原勝・岩手県保健福祉部副部長、邉見公雄・全国自治体病院協議会会長、本多伸行・健康保険組合連合会理事。
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