日常臨床の“あるある”を見直す 補綴再製ゼロプロジェクト チェアサイド編 (1) 補綴の再製や調整に関わるアルジネート印象材の“あるある”

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話の内容:補綴に関わるチェアサイドとラボサイドのやりとり、日常臨床の“あるある”を検証していきます。難しい話はありません。どちらかというと当たり前のことも多いです。でも、先生は知っていても、スタッフは知らないかもしれません。その中に技工物の再製作や調整過多の原因があるかもしれません。気楽な気持ちで読んでください♪

1. 補綴の再製や調整に関わるアルジネート印象材の“あるある”

日常臨床でおなじみのアルジネート印象材。歯科技工物を製作するだけでなく、研究用模型や咬合診断模型の製作など、お口の型どりには欠かせない材料ですね。シリコーン印象材に比べて安価ですし、シリコーンと違って産業廃棄物にもならないからエコです(*’▽’)

気軽な材料ですし、先生だけでなく、歯科医院のスタッフも扱うことが多いのではないでしょうか?そう、このスタッフも多く扱う、というところがポイントなんですね。

おそらく、多くのスタッフはマニュアル的に扱い方を覚えて、理工学的根拠はなく、ルーティンワークで使用していると思います。これで機能しているときはいいんですけどね。でも、どこかで使い方を誤ると大変なことになります。

02 図説:簡易実験。3つのキャップをアルジネートで印象しました。

佐野はD-Techications(ディーテクニケーションズ)という勉強会を主宰しています。テクニケーションというのは、技術のテクニックとコミュニケーションを合わせた造語で、良質な歯科技工を提供するために、必要不可欠なもの、という意味を込めて作りました。この勉強会の仲間がこんな実験をしましたよ。ペットボトルのキャップをトレーに見立てて、アルジネートでサインペンのキャップを印象したんです。

03
図説:左から湿箱、水中、空気中と保管条件を変えて1時間後にチェックしました。
04 図説:水中のキャップは戻りませんでしたが、空気中のキャップは戻っても隙間が空いているのがわかります。

そして、保管方法を、湿箱、水中、空気中と条件を変えて、1時間後にチェックしました。それがこの結果です。

湿箱に保管していたものは特に大きな変化はありませんが、水中に入れたものは元に戻りませんでした。空気中に保管(放置?)したものは、よくみるとほら、アルジネート印象材とキャップの間に隙間があるのが確認できます。

水中も空気中も、アルジネート印象材が寸法変化を起こした、ということですね。なぜ、こうしたことが起きるのでしょう?

先生方にとっては当たり前の知識でも、これを日常的に扱っている歯科衛生士さんや歯科助手さんは知らない方が多いんじゃないかな…

そうすると、例えばこうしたことが起きてきたりします。

患者さんがいっぱいで忙しいから、とった印象は後でまとめて石膏を注ごう!しかもそのほうが効率的♪

なにかおかしなことになってきましたね(^-^;

次回はアルジネート印象材の寸法変化について、できるだけわかりやすく解説してみますね。

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