新生“日本歯科医師会”の直近の課題:執行部人事と髙木前会長ほかの法廷証言

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12月24日、日歯代議員・選挙人による郵送投票の結果、新しく日歯会長に堀憲郎・前日歯常務理事(新潟県歯科医師会)が選出された。3月での定期代議員会の理事承認を得ることになるが、代表理事としてどのような理事者を抜擢するのか注目される。もし、山科透日歯会長が当選していたら、役員人事は基本的には現在と同じ顔ぶれになると予想されていたが、この予想通りになった時に、日歯会員の評価と社会的に説得力を持つものなのか新たに議論が再燃する懸念も出てきたはずである。 今回は、堀氏が新会長として就任することで、執行部は一新される見通しのようだ。人選は本人一人で考えるには限度があり、信頼できる同窓人脈を通じて行なうはず。議論が常にあることだが“論功行賞”は付き物で、今回も、日歯大、九歯大、国立大学、大歯大(非髙木派)、岩手医大、神歯大などの校友会(同窓会)は既に水面下で人事交渉を年越しから一気に動き出すとされている。堀陣営としても、対内外的にも、“日歯は一新”“旧来の発想から脱却”のイメージがほしいところで、大胆な人事が行なええるか注目。周囲関係者も暫く見守っていくしかないが、ポストを条件に支援要請云々の話も洩れ始めているが、会員に対して、一人ひとり抜擢した理由・説明ができる人事が期待される。敗れた山科陣営・執行部は3月まで執行するが、正式には数ヶ月の役員であったが、まさに時代が生んだ執行部ともいえる。 また、懸念されることが“法廷での証言”である。まだ日程は発表されていないが、来年には、政治資金規正法違反容疑で逮捕・起訴された、高木幹正・元日歯会長、村田嘉信・元理事長、堤直文・元日歯連盟会長の3名の公判がある。3人とも違反容疑を否定しているとされており、検察側・弁護側からの尋問が被告証人にされ、どのような証言していくのか注目される。予期しない事態を招く可能性がなくはないのが、裁判での証言である。 2004年に日歯連盟による診療報酬を巡る汚職事件があったが、事件に関連して日歯会長選挙に絡む横領と政界に絡む選挙買収や闇献金も発覚し、永田町にも波及し贈収賄・政治資金違反容疑で刑事事件となった。 裁判が始まると法廷での被告の証言が逐次明らかになり、その反響が予想以上になることもある。事例を2件次に紹介する。検察から「2000万の所有が示されているが、この時期にこのような多額な金銭を入手できるのか」と尋問された吉田幸弘・元衆院議員は、逡巡しながら「愛知学院大歯学部の入学斡旋料の対価としていただいた」と証言。もう一つは、別件の贈収賄事件の法廷。「料亭では、誰が同席して、どのような話をしたか教えて下さい」と贈賄行為になった料亭内での言動・出来事を問われ、被告・日歯役員(当時)は、中医協個人名を挙げ、「中医協委員に歯科の抱えている課題を説明し理解を求めた。帰宅に際して、土産袋を渡した」と証言した。 臼田事件を取材した元司法クラブ所属記者は「隠蔽しておきたいことが明らかになることが、検察側の尋問に対して証言として明らかになってしまう可能性が意外とある。こうした証言内容がその後に影響を与えることもあるということ。これが証言の怖さ」と述べている。法律的には問題ないとしても「同席した」「話を聞いていた」「概略説明している」等々証言されることで、一瞬にして名前を出された人物のイメージ・評価が作られてしまう。期待と不安を抱えながらスタートする日本歯科医師会は、医療界の孤立感を回避すべく、対内外に慎重かつ謙虚な姿勢の中で、対応していくことが最善の選択になるようだ。
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