“会長逮捕”日本歯科医師会対応に苦慮:平成17年“日歯改革”を一部紹介・再考

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9月30日、東京地検特捜部は、政治資金規正法違反容疑で、高木幹正・日本歯科医師会会長、村田嘉信・日本歯科医師連盟前副理事長、堤直文・元日本歯科医師連盟会長の3名が逮捕された。日歯の対応に注目され、臨時代議員が10月22日に行なわれることで、通常20日間拘留されたあと、東京地検特捜部の処分が決定したあとになる。それを受けて会員の意識・見解も様々な形・情報として飛びかっている時で、全国から参集する代議員からどのような意見が出てくるかも注目される。同時にその責務の重要性もクローズアップされてくる。 こうした日歯の対応には、かつて臼田執行部時代の事件後、日歯は、日歯改革検討委員会を設置しその答申を受けた。今回の逮捕は、容疑、背景などの内容は基本的に違うが、当時、二度と起こさないとして設置された委員会の中から、再考する項目・文言に注目してみた。井堂孝純・日歯会長名で「さらなる改革に向けて」とする文書を出している。委員会答申と日歯の対応をまとめた表も公表しており、それを参考に以下に紹介していく。 『事件の原因』:▲旧来ながらの手法をとり、特定の政党やその派閥への献金、有力政治家に対する直接的な働きかけなどを行なってきたことが、いわゆる迂回献金疑惑を生んだ。⇒対応:日歯連の政治献金凍結、▲これを許す組織体制にも問題があった。まず、臼田前会長は公益法人ある日歯と政治団体である日歯連の会長を兼任し、同一人を会計の責任者に当て、特定の関係者の決済のみで会計処理が出来る仕組みを採り、日歯連の資金を使い工作を行なった。このような執行体制を許したことは問題である。⇒対応:日歯会長の日歯連会長との兼職禁止、会計担当者も別の人物を当てる。▲歯科医師は専門職として診療所の中において強い権限を持ち、自分中心の物事が動く中で、一般社会の考え方が見えにくくなり、社会の常識との乖離を生んでいた。今日、「患者本位」の医療体制への変革が求められる中で、国民の医療に対する要求は従前のごとく受動的なものでなく、能動的・主体的なものとなってきている。このような社会の状況への理解がなかったことが、今回の独善的な主張による非常識な行動の背景なひとつと考える。⇒対応:歯科医療総合対策会議で「倫理規範」の実施要綱を作成。役員会等への講師招聘。部外研修セミナー等の受講。 『当面の改革』:▲国民の信頼回復のためには、一部政治家への働きかけという従来型の政治活動から、国民の理解を得るための日常活動の充実も方向転換することを求めたい。これまでに政治活動に費やした人・物・金を考えると、むしろ会員の研修を充実した方が良質な歯科医療の提供に資したのではないかと考える。⇒対応:平成16年度から実施した新しい生涯研修制度のさらなる充実・発展。▲既に政治団体とお峻別の一環として、会長はじめ日歯役員と日歯連役員を兼務しない体制をとった。それで今回の問題が解決したわけではない。速やかに、一連の不祥事の事件関係者に対する厳正な対処を望む。⇒対応:日歯と日歯連の役員兼務禁止。裁定審議会における審議、理事会声明。▲執行体制の改革のために、情報の開示を徹底し、独立した不正行為の監視機構を設け、今後からに資金の管理の体制の明確化、外部理事・監事の導入などの理事会を中心とする会務執行のあり方等管理執行体制を刷新し、このような事件を二度と起こさないとの決意をしめさなければならない・⇒対応:会議の原則公開、議事録の公開、国民向けのホームページ等を利用した開示方法の検討。外部監査を導入し内部監査と併せ、日歯の法人の業務、財産の運用、会計の処理等の監視を強化充実するとともに、資金管理委員会に外部の専門家を招聘するなどして、内部統制システム確立。執行部への外部委員(歯科医師以外の有識者等)の参画。 以上のような対応を講じ新生歯科医師会がスタートして今日まで来ていた。それだけに、今回の逮捕には、歯科界に大きな痛手になったことは間違い。特捜部の恣意的な働きの云々の議論は依然としてあるが、社会からすれば、「歯科再犯」のイメージがつき一人歩きしていくのは防ぎようがない。法廷にて論争すれば、またこれも苦労が伴うは衆目の一致するところ。22日の日歯臨時代議員会を前に、すでに新しい動きが出てきているという。
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