東京地検特捜部が日歯連などを強制捜査:日歯に激震 髙木新会長スタートに暗雲

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東京地検特捜部は4月30日、政治資金規正法違反の疑いで東京都千代田区の日歯連の事務所、砂川稔・次期参院議員選挙推薦候補、村田嘉信副理事長(会計担当)などの自宅を捜索、強制捜査に乗り出した。2月4日に朝日新聞が報道した、「政治団体・日本歯科医師連盟(日歯連)が2013年に支出した政治資金のうち、計9500万円が石井みどり参院議員(自民党)の同中央後援会にわたっていたが、その5000万円は、西村まさみ中央後援会を通しての寄付であり迂回寄付の可能性大」とする報道以後、その後の動向が注目されていたが、地検特捜部の強制捜査という形で一気に動き出した。 強制捜査は、午前中から行なわれ夜中まで続いた模様で、ネット上で産経新聞がデジタル版などの報道で知ることとなり衝撃を与えた。日歯会館前には、マスコミ報道各社の記者が脚立・カメラを片手に陣取るなど、かつての臼田事件を思い出させる光景になっていた。議員本人についてコメントとして、産経新聞では次のように報じている。石井参院議員の事務所は「資金の流れなどは関知していない」、西村参院議員は「一切知らなかった。後援会は日歯連内部の団体だと認識している」と説明。一方、日歯連は「各後援会は独立した政治団体。団体間の寄付は独立したもので、迂回献金とは認識していない」。枝野幸男・民主党幹事長は「西村議員には、今回の件について速やかに説明させる」と述べ党としても毅然した対応をしていくこと示唆した。 いずれにしても、今後の捜査がどう展開していくか注目されるが、産経新聞政治部関係者は、この点について、「先日の報道の案件の捜査であるから、業界の中の資金の処理の問題なので、さらに拡大するとは思っていない。報道以後、告発は受けていた特捜部がいつ動くか、いろいろな要素を考慮して、そのタイミングを計っていた中で今日の強制捜査となったのでは。東京地検の人事に絡むケースもあるという。“現在、抱えている案件を処理して、新しい人事でスタートいく”という暗黙の慣習があるという」とコメントしている。この種の事件の捜査の拡大の可能性は、“続報があるかどうか”とマスコミ業界では見なされている。 一方、押収した資料を基に政治資金規正法に抵触するかどうか調べるが、その中に新たに地検が関心を持つような資料があれば、新たな展開も予想される。日歯・日歯連盟は7月にそれぞれ、髙木会長、高橋英登会長体制で新たにスタートする予定であったが、捜査がいつまで続くのか、不起訴となっても、連盟集団脱会、砂川選挙への非協力などその後の会務運営に少なからず支障をきたすことは必至で混沌としてきてきた状況になってきた。 石井・西村両後援会の代表者はいずれも高木幹正日歯連会長で、事務所の所在地や事務担当者も日歯連と同一だったこと、日歯連盟が総務省に確認したとする説明などがポイントとされる。参院予算委員会で金子洋一参院議員(民主党)の迂回献金疑惑に関して質問し、「監督官庁である総務省の立場から後日、高市早苗総務大臣から調査・回答する」と答弁していた。 関係に今回の強制捜査について急遽、聞いたところ以下のようなコメントをいただいた。「厄介なことになったことは事実。こうした背景を持って髙木会長が、公益社団の日歯会長に就けるのか微妙。しかし誰が代わりに就くのか、その選出方法も課題」(元日歯役員)、「砂川選挙もどうなるのか。連盟会計担当補佐していたし、対応に苦慮するのは必至で、悩ましいこと」「例え不起訴になっても、日歯連盟に特捜部が強制捜査に入った事実は事実。これを日歯会員がどう理解するのか問われてくる」(某歯科大学同窓会幹部)、「まだまだ、このような“お金”にまつわる疑惑が出てくるのは残念であり悲しい。日歯会長選挙でも、“お金が流れた”という噂が出ていたが、過去の事件を反省していないことになる。会長選挙のしこりが根底にあると思うが、臼田事件以後と日歯・連盟の体質は変わっていなかったということ」(元日歯連盟幹部)、「これで来年の診療報酬改定は間違いなくマイナス。中医協の議論とは関係ないと思うのは楽観的。厚労省にしても厳しい目で見ているに決まっている。単純な理屈でないのが政治」(某国立大学歯学部同窓会元役員)など今後に懸念する意見が多かった。 今回の強制捜査の報道の内容、起訴・不起訴はともかく、日歯が受けた衝撃は大きく、今後、どのような動きが出てくるのか注目される。
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