どこでもMYカルテ研究会:在宅医療推進の柏プロジェクト(歯科等多職種連携)を紹介

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生活者視点で地域包括ケアを支えるICT」を掲げた、第8回どこでもMyカルテ研究会が、テーマ「生活者視点で地域包括ケアを支えるICT」の下、6月7日に都内で行われた。特に、社会から注目を集めている、千葉県柏市の取り組みを平野清・柏市医師会理事が報告。要旨は以下の通り。 柏市の在宅医療における多職種連携(柏プロジェクト)を実践する事例として議論・実施してきた。既存の開業医などのプレーヤーをどう巻き込んでいくか。今後は大都市圏で高齢化が進行する。 都市部では入院患者が増え続ける。柏市では豊四季台団地の建て替えに合わせて研究会を発足させた。いつまでも在宅で安心して生活できるまち。いつまでも元気で活躍できるまち。 在宅医療を推進するための取組みは5つ。バックアップシステムの構築や、多職種連携の推進など。柏市を3地域に分けて、かかりつけ医のグループ形成によるバックアップを、まずは南地域で実施した。コーディネート症例が37症例。システム症例が22症例。患者の属性。疾患内訳ではがんが多い。認知症も増えてきた。 参加職種は主治医・副主治医・訪問看護・歯科・薬局・ケアマネジャから始まり、現在は全ての職種がシステムを利用して連携している。病院のバックアップ体制を確保するために、取り決めを行った。在宅医療多職種研修も実施している。現在はプログラムを簡易化して提供している。在宅医療の現場を見に行く。主治医数や在宅療養支援診療所が増加。看取り数も増加。訪問看護の充実、医療職と介護職の連携強化。WGの中でシステムへのフィードバックを行い、構築していった。顔の見える関係会議も開催。職種の壁を越えたフラットな議論ができる場を提供した。顔の見える関係性があってこそのICTだと思っている。柏地域医療連携センターの設置もした。 柏モデルは作ってみたら非常に上手くいった、というのが実際。スタート時点で実質3人の在宅医師しかいない中で研修を拡大していき、顔が見える中で仲間意識を持った多職種ネットワークを構築できた。在宅医がなんの対応もせずに救急車を呼べと指示するは趣旨に反している。その思いが反映されたルールである。熱意を持って語りかけて、病院にも理解してもらった。平野理事自身が副主治医として往診を行ったのは3回。主治医が深夜3時に起きることができなかった、主治医が午前中病院で検査業務を実施しており対応できなかった、病院から在宅に帰った直後で、まだ契約をしていなくて主治医の連絡先が分からなかった場合。現在は主治医も頑張っているが、副主治医としての在宅療養支援の報酬加算は無く、通常の往診料のみ。 なお、野口聡・経済産業省関東経済産業局地域経済部長からも報告が行なわれた。"超高齢化社会における地域のケアサービスと食を通じた地域活性化"を中心に説明した。 経済産業省商務情報政策局情報政策課企画官(電子政府担当)・情報プロジェクト室長や内閣官房情報通信技術(IT)担当室内閣参事官などとして医療情報化政策に携わったことがきっかけで第一回からこの研究会に関わっている。医療側と介護側とも情報の共有が必要であるにもかかわらず、当時は医療と介護の間に高い壁があり、共通言語もなく連携対象の情報も決められなかったためなかなか医療連携ネットワークがつながらなかった。 この課題を解消するため、医療機関等から個人が自らの医療・健康情報を受け取り、それを自らが電子的に管路・活用することを可能にする「どこでもMY病院構想」を提案した。いまもその精神はこの研究会で生きている。 関東地方において、今後、高齢者単身世帯又は老老介護世帯や認知症高齢者の増加等が見込まれる中で、現状では、都市部においては特別養護老人ホームの建設等がコストや用地確保等の観点で難しく、個々の地域だけでは十分なサービスを提供できない可能性がある一方、一部の地域においては、高齢者と併せて医療・介護関係事業者を地域に受け入れることによって地域活性化(消費増加)、地域コミュニティの維持等を目指したいとの要望がある。地域を超えて連携し、高齢者が集まるケアタウンを構築することで、高齢者のケア、雇用、地域活性化を達成できないかと考えている。地域を越えた連携による介護福祉サービスの充実は、高齢者のQOL、QODの向上につながるであろう。
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