注目の基金活用による都道府県別事業問題: 問われる”医師会などの地元行政との関係”

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NPO法人医療制度研究会が過日開催したシンポジウムで鈴木邦彦・日本医師会常任理事(中医協委員)が講演したが、このほどその要旨を同研究会が公表した。「平成26年度診療報酬改定で見える制度改革」をテーマとしたものであるが、医療制度改革の方向性にも言及した。歯科に関連する点を含め要旨紹介する。 冒頭、鈴木常任理事は「国は、高齢化に向けた医療介護の仕組みを、都道府県単位で作成し、必要な事業を行うための基金を作った。それを財源に都道府県別に計画を立て事業を実施する仕組みが、平成26年度内に開始される。以下の文書が厚生労働省から日本医師会に情報提供があった」とした上で、その内容について、「消費税を財源とすること、資金の運用は都道府県単位で行うこと、国が決めた三つの基本方針に沿った計画であること、都道府県における事業の決定には、医療機関の意見が統合されていること、県医師会が意見をまとめる立場にあること、4~5月にかけて都道府県別に項目の話し合いが行われ、6月には方針が決定され、国が要綱を定め11月には実施される予定である」と説明し、都道府県との話し合いが重要になるとした。 新たな財政支援制度の対象事業については、「病床の機能分化・連携のために必要な事業」として、①地域医療構想(ビジョン)の達成に向けた医療機関の施設・設備の整備を推進するための事業等、「在宅医療・介護サービスの充実のために必要な事業」としては、①在宅医療(歯科・薬局を含む)を推進するための事業、②介護サービスの施設・設備の整備を推進するための事業等。 そのための交付条件に関連して、都道府県計画を策定する際には、次の点を交付の条件とするので留意する必要があるとした。 (1)国が定める総合確保方針に従うこと。また、事業内容が新たな財政支援制度の対象事業に合致していること=①病床の機能分化・連携のために必要な事業、②在宅医療(歯科・薬局を含む)を推進するための事業、③医療従事者等の確保・養成のための事業がある。 (2)都道府県計画の公正性・中立性を確保するため、官民を問わない幅広い地域の関係者、市町村長、医療を受ける立場にある者、医療保険者、医療機関、診療又は調剤に関する学識経験者の団体その他の関係団体(医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会、病院団体等)、学識経験を有する者等)から意見を聴取すること。 歯科については、在宅歯科医療の実施に係る拠点・支援体制の整備:○在宅歯科医療連携室と在宅医療連携拠点や地域包括支援センター等との連携の推進、○在宅で療養する疾患を有する者に対する歯科保健医療を実施するための研修の実施、○在宅歯科医療を実施するための設備等の整備が挙げられる。また、医療従事者等の確保・養成:○女性医師や歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、歯科技工士の復職や再就業の支援等。 鈴木常任理事は、基本的な姿勢・考え方として、「医師会などの組織が地元行政との関係が改めて問われてきている。事業内容の説得力や合理性が必要」と強調している。具体的な項目などが6月には方針が決定される模様。その後、国が要綱を定め11月に実施される運びになっており、関連医療関係団体は注目している。
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