第6回 心の地図を描きましよう

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経営関連コラム 第6回 心の地図を描きましよう 田上めぐみ 歯科衛生士

ようやく春めいてきた今日この頃、木々の芽吹き、光の和らぎが心地いい季節となりました。今では、仕事以外の時間を作り難い生活になりましたが、以前私は、17年間ほど華道教室に通っていたことがあります。四季のお花とふれあい、季節の移ろいを敏感に感じていたのが、懐かしく思い出されます。寒い季節、地中で春を待ち、発芽する草木。地上の暑さをじっとこらえ、秋に地上に芽吹く草木には、自然の摂理として芽吹く方向(回転方向)がきっちりと決まっています。自然の法則が、その後の成長に必ず反映し、一寸違わず決まった方向で発芽するといいます。

同じく弊社も、この春、新しいスタートを切る医院さんのお手伝いがはじまります。開業といった人生最大のライフイベントのお手伝いが始まるのですが、芽吹きの方向を間違わずにサポートしなければならないと心引き締まる思いでいっぱいです。

さて、先日、ある医院さんで経験年数が浅い歯科衛生士さんより、こんな相談を受けました。

「私は歯科衛生士に向いてないと思います。アシスタントをするだけの仕事が楽しいです」 「歯科衛生士の業務を行うのがとても不安です」 「歯科衛生士業務をしたくない」

といった内容でした。私は、その方の言葉に一瞬戸惑いながらも、「なぜ?」を一緒に考えてみようと思いました。

・歯科衛生士に向いていない理由とは? → 「自信がないです」 ・歯科衛生士業務に対する不安とは? → 「知識がないです」

彼女と共に自問自答しながら、どうすれば良いのかな?と心の地図を書きました。では、

・どうすれば良いと思う? → 「努力する、勉強する」

でした。彼女自身が出した答えは、その通りだと思います。分かっていることだけど、こんな悩みを打ち明けられず、歯科衛生士という素晴らしい職業を諦める衛生士さんも多いのが現状です。上司となる院長先生に、悩みを相談するのも難しい職場環境も少なくないでしょう。また、相談されてもどのように対応を取れば良いのかと悩む経営者の先生方もいらっしゃることでしょう。そして、チームメイト全員が、心のサインを敏感に察知してくれる環境では無いと思います。しかし、この心の悩みを無視しながら毎日を過ごすことは、衛生士としての成長にマイナスな日々を過ごすだけです。

新人であれ、ベテランであれ、医療人であるからこそ、自分自身に厳しく、プロフェッショナルとして最大に力を発揮し仕事を行うのが、私達なのだと考えます。未熟だから、知識が無いからと業務することは、患者さんにとって大迷惑なことだと思います。そうならないためにも、医院スタッフ全員が、日々研鑽を重ね、努力しなければならない現実を受け止め、解決しながら進まなければならない職業です。

もし、先生や先輩たちが、心のモヤモヤを打ち明けられた時は、「なぜ?どうすれば良いと思う?」と、心の進路を示し導いて頂ければと切に願います。行先を知っているのは、医院経営者や先輩歯科衛生士さんだからです。

そして、四月、新しいスタートを切る新人歯科衛生士さん達には、ひとつお願いがあります。歯科衛生士という職業は、一年目、二年目と年数を重ねると共に自身が成長しなければならないと意識し、人間力を高めて欲しいのです。医院に歯科衛生士として就職したということは、歯科衛生士としての対価を医院経営者が支払うことです。歯科衛生士として業務を行うのが当然であり、歯科衛生士としての自覚を持って業務を行わなければなりません。甘えや、いい加減な気持ちは、今後、自分が得られる「やりがいや、楽しさ」をつかめなくさせます。そのポイントとなるのは「素直な気持ち」を常に持ち、心の壁を作らないことです。素直じゃないという壁こそ、プロへの道を阻む大きな要因となります。

進む方向に迷ったら、何度でも心の地図を書いて下さい。目標は?悩みは?解決策は?問題は?と白紙に埋めればきっと現在の進路が見つかることでしょう。

そう言葉にした私自身も、多くの分かれ道を模索しながら進んでいるように感じます。歯科業界に何が必要なのか?衛生士という仕事の素晴らしさを、どう伝えるべきか?地位向上、人材不足・・・と「なぜ?」を解決するまでには至らない闇に、自問自答しながら心の地図を描き続けています。確信出来ることは、歩みを止めず前進あるのみが答えです。悩みを打ち明けてくれた新人の歯科衛生士さんのような方が、10年、20年とキャリアを重ねる事が出来るようにナビゲート出来れば、歯科衛生士のコンサルタント冥利につきます。

今月は、月刊「歯科衛生士2009年4月号」(クインテッセンス出版)‘新人歯科衛生士応援企画’「歯科衛生士の品格〜30の大人&医療人のルールをマスターしよう〜」と題して、特集記事を執筆しております。 ご高覧のほどよろしくお願いいたします。

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