第4回 おそうじ月間予定表

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経営関連コラム 第4回 おそうじ月間予定表 田上めぐみ 歯科衛生士

1年で最も寒い季節になりました。皆様はいかがお過ごしでしょうか。私ごとですが、この時期の出張の場合は、まだ夜が明けぬ暗いうちから出かけることになります。早起きするのには辛い季節ですが、いったん目を覚ませば飛び起き、バタバタと出発します。大阪駅に着くころ、やっと空が白みだし、きりっとした空気に包まれます。気持ちはシャキッ、体じゅうはピンとする、冬ならではの大好きな感覚です。

多くの医院さんでは、年末の大掃除のあと早くも月日がたち、そろそろ汚れが目立ってきたところではないでしょうか?大掃除の直後は、とてもすっきりとした気分を感じたと思います。それは、窓を開けほこりをはらうことで医院中の空気が綺麗になり、院内すべてがピカピカになり、きりっとした感覚を感じたからだと思います。

というわけで、今年からは「お掃除月間予定表」を作成し、このすっきりした感覚を持続させてはいかがでしょうか?簡単なことです。今の綺麗さを継続させれば良いのです。掃除も仕事なのですから…。きれいになったお手本の記憶が残っているこの時期に、日々の清掃レベルを上げる仕組みを作りましょう。そして、医院スタッフには、掃除も仕事という認識を持ってもらい、ほんの少しの時間で丁寧な掃除の習慣をつけさせる、ということも大切です。日ごろから清潔な環境を持続させることができれば、大掃除の時間を確保する必要なくなることでしょう。そもそも、大掃除しなければならない不潔な環境の医院であってはいけないと考えます。

では、「綺麗な医院を維持するための掃除マニュアル」の作成方法をお話しましょう。オリジナルの掃除マニュアルが完成するまでは、カレンダーへ掃除の予定を記入したものを、テストマニュアルとして使用します。日付欄の空白が広いカレンダーを選ばれると、上手くできると思います。

まず、「掃除ミーティング」を開きます。ミーティングのスタッフ構成は、日々の清掃業務を見直さなければならないので、全員集合が望ましいです。そして以下のことをリストアップしていきます。

A1・・・日々行っている医院すべての、清掃項目 A2・・・今まで、気付いた方だけ行っていた掃除や、見落としがちな清掃箇所 A3・・・長期休診前に行っている大掃除箇所 次に、A1で挙がった項目を、以下のように分類します。

1. 毎日必ず行う掃除 2. 2日に、一度必要な掃除 3. 1週間に、一度必要な掃除 4. 定期的(1月に一度)と決まっている掃除

A2の項目は、「気がついた時」に、「気がついた方だけが掃除していた」ということなので、今回の計画からもれて清掃し忘れることが無いように、A1に組み込みます。

そして、A3の項目は、エアコンフィルターや、手間のかかる石膏トラップ掃除などですが、4「定期的(1月に一度)と決まっている掃除」へ組み込みます。

ポイントは、基本業務の仕事量の分割です。毎日行う業務は、一旦カレンダーに全て記入し、清掃するときにかかる人員や時間を平均して割り当てます。最初は「日々の清掃業務が多いな」と感じても、慣れてくれば出来ることでしょう。スタッフの意識改革も必要です。毎日の基本の掃除は、同じ作業の繰り返しであっても手を抜かず、清掃のレベルを維持しようという気構えが大切です。また、担当場所はスタッフを固定せず、全員で交代しましょう。担当を固定しないほうが、掃除レベルも均等になります。なぜなら、故意に手抜きする場合もあるかもしれませんが、苦手な場所や掃除がある場合、特定の箇所だけ掃除が不十分になってしまう可能性があるからです。

1〜2か月間は、書き出した全ての項目を試験的に稼働させます。カレンダーへ記入した作業は、決められた項目が終わればチェックします。これで、試験的な『おそうじ月間予定表』が完成です。

掃除の基本とはなんでしょう?「床にゴミがひとつ落ちたら、それをすぐに取って捨てる」「あとで、やります」ではなく、仕事というものは今の一瞬を逃せば、全てマイナス方向へ向かいます。私は汚れたらすぐに拭く、落ちたらすぐに拾う、気づいたらすぐやるが一番だと考えます。

ひとつの「点」の汚れを無視すれば、「点」の集合で「線」になり、「線」が集まれば「面」になります。例えば、「面」の汚れは、ガラス窓のサッシや、空調のフィルターなど…汚れすぎてしまったら綺麗に清掃できるまで多くの時間が必要となり、汚れは拡大し、元へ戻すには大変です。だから、一瞬のひと手間が大切なのです。ですから日常業務中、「点」の汚れの時に清掃すれば短時間で済みます。「面」の汚れを落とす時間の数分の一で終われるでしょう。

「たかが掃除、されど掃除」……清掃とは、全ての業務に通じると考えます。仕事は溜めると後が面倒なだけです。時間と労力の無駄です。医院経営という一面からみれば、「いつ行っても不潔で、ホコリっぽい医院だから、通院する気にもならなくなった」と患者さんが離れてゆき、収入減にもつながりかねません。

そう考えると、掃除をおろそかにする医院さんは、メリットはひとつもないということになります。是非スタッフの方とご一緒に、カレンダー記入方法で、新しい清掃システムを始めてみませんか。問題なく清掃業務が行えれば、マニュアルとして表作成すれば良いでしょう。

清掃のレベルを高めれば、夏休みや冬休みに入る前の大掃除はおのずと必要が無くなります。大掃除に費やしていた時間を見直し、その時間を診療に振り当てれば、長期休暇前の患者さんに喜ばれるのではないでしょうか。

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