第1回 患者さんに支持される保険適用外のコンポジットレジン修復

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 平成18年1月1日より、本学歯学部附属病院では自費診療による料金の見直しを行い、あらたにコンポジットレジンの自費診療の項目が追加された。輸入品、国産品含めて数種の保険適用外のコンポジットレジン製品が厚生労働省で承認され、流通している状況からすれば当然のことかもしれない。しかしながら、通常保険診療として行ってきた日本の歯科医療にとっては非常に大きな変革であり、国産材料として先鞭をつけたGC社のグラディアダイレクトは歴史的な製品といっても過言ではない。  本学附属病院における内容は、保険適用外のコンポジットレジンを特殊レジンと分類し、これらによる修復処置について、単純窩洞の修復を10,500円、複雑窩洞の修復を15,750円(いずれも消費税込み)と設定した。これに初診料の約3,203円(再診料の場合は1,155円)を加えると、単純窩洞で13,703円となり、現行の5−6倍の料金となる。  料金について積算の根拠を示すのは非常に難しいというのが正直なところである。私の場合は一人のアポイントは基本的に30分で行っている。この時間で2級の大型のレジン修復を行うことは十分可能であり、1日8時間、週5日間この治療ばかりを続けるとすれば、年間で約6,000万円程度の総収入ということになる。自らの人件費、病院の技術および事務職員の人件費、材料費、設備備品の減価償却費、等を考えれば、決して高額すぎる料金設定ではないことが理解されるのではないだろうか。  始まって1ヵ月半経過したが、徐々に自費によるレジン修復は増加しており、患者さんには十分満足していただいているようである。  先のGC社の主催のGC友の会50周年記念国際シンポジウムに参加させていただいた折、ADAが子供たちに無料で歯を治療するキャンペーンを行ったという話を、米国からの参加者より聞いた。臼歯にアマルガムを詰めるということであったが、アマルガムはいやだという子供が多かったとのことである。日本ではいまだ臼歯の修復は金パラがほとんどであり、まじめに歯科を受診した人ほど金属だらけの口腔内となっている。私はこれを医原性変色歯と呼んでいるが、よく話を聞いてみると案外気にしている人は多い。当然のことであるが、レジンに置きかえてゆくと非常に喜ばれるものである。  いまやレジン修復は、非侵襲的で、一回の通院で、審美的、しかも耐久性に優れる、きわめて高品質の修復法である。この治療法が提供する歯科医にとって保険点数が低すぎるという理由であるにせよ、国際的に見ても日本での普及が遅れているというのでは、日本の歯科界が社会的な期待に応えることはできない。患者さんにとっても、歯科医にとっても満足度の高い修復法であるので、むしろ自費化することで普及が促進され、社会的な期待に応えることにつながると考えている。

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