第1回 ~幸せを広げる歯科衛生士~「幸せを味わっていますか?」

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 子育て中の私には「幸せの味」がよく分かりませんでした。 授乳時間は子どものペースでやってきたし、離乳食が始まれば食材の味やもぐもぐごっくんなど噛みかたを教えながら、その合間にさっと自分の食事を済ませました。子どもはいつも機嫌よく何でも食べるわけではなく、いたずらも動きも激しいし、本当に手間がかかります。スプーンや箸を使って一人で食べられるようになると、味噌汁をこぼしたりコップを落としたり楽しい食事で火傷や怪我があってはならないと、親の目は看視カメラの役割を怠る暇も無かったのです。   そして、子どもの成長と共に親の役割は看視カメラからセキュリティーシステムに変わっていくものです。私は起床すると自分の身支度などは後回しに家族分のお弁当作りとあり合わせの朝食を食卓に並べます。食事を家族全員で食べることはほとんどなくなったけれど、彼らが一人でも食事が出来るように食材を冷蔵庫に準備をしながら家族の健康を考えます。私の朝食は出勤途中の車の中。昼食は診療時間やミーティングなどで昼休みの時間が削られてしまえば空腹を満たすための食事となります。夜は彼らの習い事や塾の送り迎えをするためほとんどまともにテーブルに座ってゆっくり食事することなどないけれど今は、子どもたちがたくましく成長していく姿と歯科衛生士として働けることに幸せを味わっています。   子育て奮闘期の慌しい食生活や日常生活だけを後輩に話すと、「大変だね」「結婚しても子どもはいらない」なんて言われてしまいますが、激しい子育てバトルの中にはそれに打ち勝つだけの『エナジー』や『ハピネス』を子どもが親にたくさんたくさん与えてくれるのです。それは一品一品の食材や料理の薀蓄を聞きながら食事を味わう楽しい時間のように、シチューの中に隠された星型の人参に喜ぶ子どもの笑顔だったり「おいしい!」と言いながら食べる姿だったり、子どもとの他愛もないおしゃべりだったりします。こんなに幸せを感じる楽しい食事を、親として歯科衛生士として子どもたちや人々に味わってもらいたいのです。   当然虫歯で歯が痛んだり大きな穴が開いていたりしたら食事の楽しさも美味しさも半減してしまいます。ところが転んで怪我をしたかのように、ある日突然虫歯ができたった今激しい痛みが出できたかのように我が子を歯科医院に連れてくる親がいます。虫歯と歯周病は感染症ですが健康的な生活習慣を身につけていけば、疾病を未然に防ぎ予防していくことができます。虫歯はある日突然出来るものではないし、痛みの前には必ず何らかの症状やサインがあります。もしもあなたのお子さんから、食事を美味しくする姿・楽しくおしゃべりする姿が見られない、あなたを見て微笑むことが見られなかったら、あなたの子育て中の看視カメラが監視カメラであったか、子育てセキュリテーに問題があったりしたのかも知れません。そして何よりもあなた自身が幸せを味わうこと、他愛もないおしゃべりを楽しむこと、愛する人の笑顔が浮かばず微笑むことができないとしたら、あなたの歯も心も、もう自分では剥がせないバイオフィルムに覆われ始めているのかもしれません。今すぐ受診してください。私たち歯科衛生士がそのバイオフィルムを除去いたします。

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