第2回 診療室にアロマを!(2)

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 歯科医院の扉を開けると、そこには、その医院のカラーが目に飛び込んできます。 シックな感じだったり、あたたかな感じだったり、殺伐としていたり。 そこに訪れる患者層によっても医院のイメージも変わってくると思います。 それと同時に、消毒臭い、歯科独特の臭いに襲われます。 臭いと一緒に脳裏にインプットされている歯科治療の嫌なイメージが、患者さんの気持ちを少しネガティブにさせてしまうように思います。 正直な子供は、「くせ〜!!」とか「うわぁ〜歯医者の臭いだ〜」と 扉を開けるやいなや叫びます。 耳から入ってくる音も、いきなりタービン音ですと恐怖心は、ますます大きくなってしまいます。 扉を開けた瞬間、五感のうち舌以外の4つ(目、耳、鼻、皮膚)が働いています。快適な温度を診療室で保つことも大切ですよね。 

 私の医院のメインカラーは「オレンジ」です。私の大好きな色です。 診察券、待合室のソファー、スタッフのエプロン、患者さんのひざ掛けなど目に飛び込んでくるところにあります。  もちろん、香りを拡散させるデュフューザーのアロマランプもオレンジです。 色にもキーワードが秘められています。オレンジのポジティブポイントは、 「至福、達成、社交的」とあり、カラーエナジー(心への期待効果)は、リフレッシュで、効果の期待できる症状は、労働意欲喪失、気分転換とありました。 好きな色のパワーももらって、気持ちいい空間を作っていきたいと思います。 アロマの診療室への取り入れ方ですが、 毎日、受付でアロマランプを焚いています。午前と午後、診療前の準備時間中(約30分)に使用しています。 アロマランプは、ヨーロッパでは、古くから空気の浄化や消臭、癒しのために、 病院などで日常的に利用されています。 火を消してから香りが出るため安全であり、香りが長時間持続することが大きな特徴です。 香りは、「ユーカリ」「シトロネル」「グリーンティ」「オーシャン」などを選んでいます。 オイルは、植物性のアルコールにエッセンシャルオイルをブレンドしたものです。 体にしみこむような心地よい香りで、クリーンで快適な空間を演出します。

☆ユーカリ☆

 清潔感のあるシャープな香りでリフレッシュさせてくれます。湿度の高い森林にいるようなオゾンたっぷりの香りに甘いラストノートが印象的です。不安や怒りといったマイナスの感情を沈め落ち着きを取り戻したい時にお薦めです。強い消毒作用をもち、風邪の予防や粘膜系の不調によく活用されています。 風邪が流行っている季節や、花粉症の季節によく焚いていました。

☆シトロネル☆

 柑橘系をイメージさせる軽い甘さと透明感ある香りが広がります。気持ちを前向きにしたい時、頭痛がするほどの疲れを癒したい時など、頭をはっきりさせたいときにお薦めです。 レモンを思わせる香りです。

☆グリーンティ☆

 すっきりとした気持ちの落ち着く香りです。日本人になじみの深い上品なお茶の香りです。私は、この香りに癒されます。

☆オーシャン☆

 ベルガモットの香りを中心に、やさしい甘さがパッと広がり、静かだけど力強い海を感じさせます。 ベルガモット、ローズマリー、ミント、ラベンダーとリラックス、リフレッシュ効果の高い相性の良い香りのブレンドです。心のすみずみまで曇りなくリフレッシュしたい時にお薦めです。ハワイの一流ホテルでも使用しており、一言で南国の香りです。 心とからだが心地よいと感じる香りを見つけましょう!  好きだと感じる心地よい香りを選ぶことが大切です。 心とからだが受けつけない、嫌いな香りを選んでも良い効果は期待できません。アロマテラピーを楽しんでください。 ブラッシングコーナーには、センサータイプのアロマブリーズという火を使わない電池式のものを利用しています。 ブラッシングに患者さんが立つと、ベルガモットとか、グレープフルーツなど柑橘系の香りがするようになっています。 ベルガモットは、紅茶のアールグレイの香りづけに使われていることで有名です。 ベルガモットの心への作用として、抑うつ状態などの沈んだ心を高揚させます。同時に、不安や緊張、それにともなう不眠などを優しく包み込むように、ゆったりと落ち着かせるリラックス効果があります。 禁煙に役立つという説も出ています。

芳香成分(精油の成分)がどのようにして、人に影響を与えるのでしょう?

芳香成分は、鼻と皮膚を経由して体内に取り入れられます。 鼻からは、香りを嗅ぐことにより、芳香成分を取り入れることができます。 鼻腔に入った成分は、ふたつの経路をたどります。  ひとつは、脳の一部である大脳辺縁系に届く経路です。そこから自律神経や 内分泌系、免疫系を調節している視床下部へと伝わります。香りを嗅ぐと気分が高揚したり、落ち着いたりするのみでなく、全身の生理作用のバランスがとれたりするのは、こうしたメカニズムがあるからです。  もうひとつは、肺に届く経路です。そこから血管を通り、全身に成分が運ばれます。  皮膚からは、植物油などで薄めた精油を肌に塗ることで、芳香成分を取り入れることができます。表皮から吸収された成分は、真皮にある血管やリンパ管に入ります。そして体内をめぐり、からだのあらゆる組織に影響を与えます。 精油を使ったオイルや化粧水を使うと、こりが楽になったり、肌がきれいになるのは、こうしたメカニズムがあるからです。 からだの中に取り込まれた芳香成分は、最終的には汗や尿、呼吸として排泄さ れます。 香りを上手く取り入れて、素敵な時間が作れるといいですね。

(参考文献)   アロマテラピー検定テキスト1級・2級     日本アロマ環境協会   はじめてのアロマテラピー     池田書店   心と体をケアするアロマテラピー     日本文芸社

歯科衛生士 村田尚子

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