わが意を得たり。
予想以上に母親学級での評判はよかったです。開業したら新米ママさんにこの話しをしてあげようと意気込みました。
ところが開業して気がついてみると、診療所に来るのは3歳ぐらいからの子ばかりです。
「感染の窓」を過ぎた子どもたちばかりなのです。虫歯予防の一番大事な時期に必要な情報を与えられない。困りました。
最初に思いついたのが本を出すこととでした。そして母親学級や講演会の開催です。まずは本作りです。
家族みんなで絵本作り
文章の内容は母親学級で何度も話しているから問題ありません。
ただし活字離れしているお母さんに読んでもらうには絵本の方がいいと思いました。
さいわいうちの家族はみんな絵本好きです。とくに就学前の三女のえりは擦れていないイイ絵を描きます。漫画に毒されていない素朴な絵です。この時期をのがしたらショーもない「上手な絵」になってしまいます。膳は急げ。
さっそく絵本の台本を私が書き、漫画の上手な次女がいろんな場面を想像して描きます。その中から使えそうな絵をピックアップして、三女のえりにマネをさせます。構図は次女、絵のタッチは三女です。三女は大きい絵やら小さい絵やらランダムに描き散らかします。
その中で使えそうな絵柄を私と家内が画用紙の真ん中に移動し拡大します。この作業を夏休み中の一週間、一室に缶詰状態で成し遂げました。悪戦苦闘。そうこうしてできあがったのが、「どーしてわたしにはムシバがないの」です。
「美味しい食事」って
本の中にでてくる面白いエピソードをひとつ紹介します。
3歳までお菓子・ジュースを「見せない、やらない、知らせない(非甘味三原則)」という我が家の家訓は長女・次女までは比較的容易に実行できました。
ところが年の離れた三女の時にはお姉ちゃんらはすでにお菓子食べ放題です。三女に見つからないように気をつけるのですが、ある日かき氷食べてるのをみられました。
見られた以上食べさせないわけにはいきません。なんとかごまかすため、ただのカキ氷に食紅で色だけつけて出しました。まずそうな顔するか、不思議な顔するかと様子見ていると、意外や意外「おいしい」と言うのです。そして色をつけただけのプレーンなカキ氷を全部食べてしまったのです。
甘いものを知らないえりにとって、みんなと一緒に食べることが「おいし」かったのです。私も家内もこの反応には目からウロコでした。「美味しい食事」って料理の出来うんぬんより、みんなで楽しく食べることかもしれません。
絵本完成の余波
そうこうしてるうちに絵本の原稿が完成しました。自画自賛の自信作でしたが本にならなければ意味がありません。
「感染の窓」以前に若いお母さんに読んでもらうのが当初の目的ですから。いろんな出版社に原稿を送り続けました。なかなかよい返事はもらえませんでしたが、長野県のT社が企画出版してくださることになりました。
出版されると同時にテレビやラジオ、新聞、雑誌などいろんなメディアにも取り上げてもらえました。講演依頼もだんだん増えてきました。
本を出したおかげでもうひとつの目的も達成できました。保健所、保育所、衛生士学校、歯科医師会など主催で多くの皆さんにお話させていただく機会ができうれしいかぎりです。
替え歌つき講演(公演?)
ところで最近の私の講演ではかならず替え歌タイムがあります。
生粋の(?)70年フォーク世代ですからギター弾いて唄えます。拓郎、揚水、かぐや姫の時代です。最初、講演中の眠気覚ましのつもりでした。
しかし、これが結構うけたのです。調子に乗ってカツラかぶり帽子サングラスで「70年フォークおじさん」に変身して唄います。こんな調子です。ワルノリしすぎですかねえ。
虫歯の君は歯垢がいっぱい おまけに歯茎は真っ赤っか
ああ歯周病だなんて 今さら悔やんでも遅すぎるみたい 「旅の宿」
前歯が抜けて うどんを噛み切れないのはどういうわけだ「東へ西へ」
食べることもままならず 笑うときは手で隠し
入れ歯ないと空気漏れて いったい何を話しているのか 「夢の中へ」
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