カリエスフリー大作戦 その1

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 大学医局に在籍して3〜4年目ごろ、鹿児島市内の某産婦人科病院から母親学級講師の依頼がありました。生後六ヶ月のお子さんを持つ新人ママさんが対象です。この時期なら「感染の窓」に入る前で虫歯を防ぐにはうってつけです。うちの娘二人もこの重要な時期を無事のりこえることができ、少し自信もついていました。母親学級で「感染の窓」の話を毎回続けたところお母さん方の反応は非常によかったです。実際に実行してくださった方も多く、後日感謝されることも多かったです。母親学級での講演内容の要点を紹介します。   「感染の窓」の時期にできること  赤ちゃんが誕生して19ヶ月から31ヶ月(大体1歳半から2歳半)の間に、その子のバイキンの巣(口腔常在細菌叢 normal flora)が決まると言われ、「感染の窓 Window of infectivity 」と呼ばれています。この時期に、ムシバ菌がバイキンの巣の主役(優位菌)になると一生その子は虫歯の危険にさらされる事になります。逆に、この時期をクリアーできれば、これ以後虫歯の発生率がかなり減るということがわかっています。つまり、この時期におけるミュータンス菌の「感染」あるいは「定着」を防げば3歳以降、虫歯で苦労しなくてすむということです。  まず「感染」を防ぐ方法です。子どもの虫歯菌の多くはお母さんからうつされることがわかっています。したがって、無菌状態の赤ちゃんの口腔内にお母さんの虫歯菌が入らなければいいのです。そのためにはお母さんが虫歯菌を極力減らすことが大切です。すなわちお母さんが虫歯の治療を済ませて、ブラッシングを励行することがポイントです。子どもにばかりブラッシングを強要しないで、まずお母さんの自覚を促します。そして「口移ししない」とか「箸を共用しない」とか間違った情報を指摘してあげます。ある程度のミュータンスレベルじゃないと虫歯菌が感染しないこと。すこしぐらいじゃうつらないことも説明します。そして虫歯菌のいないお口でスキンシップしてどんどん「いいバイキン」をうつしてくださいと勧めます。   もうひとつは虫歯菌の「定着」を防ぐこと。糖分のなかでも特にプラーク形成能の高い砂糖をターゲットにして排除しようという方法です。すなわち、3歳までお菓子・ジュースなど砂糖を与えなければ虫歯予防は簡単にできるはずです。もっと簡単に実行しようとすれば3歳までお菓子の存在を知らせなきゃいいんです。赤ちゃんは、自分からお菓子を欲しいとは言いませんから。与えているのは大人であるお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんです。赤ちゃんのうちにお菓子をやらないのがかわいそうでしょうか。むしろお菓子を与えておいてあとから叱るほうがかわいそうだと思いませんか。ご両親がその気になれば「3歳までお菓子を見せない」という努力目標は達成できると思うのです。実際、我が家では大成功しました。 こんな話を母親学級でしました。   我が家のカリエスフリー  次に我が家のカリエスフリー大作戦のおはなしです。これが成功したので自信をもってお母さん方にお話ができるのです。 私も家内も齲蝕の治療跡はいっぱいありますが、うちの娘は3人とも乳歯・永久歯とおして齲蝕になったことはありません。(下写真) 乳歯   3歳までお菓子・ジュースを与えなかっただけで齲蝕予防できました。上2人は就寝前の仕上げ磨きをしてやりましたが、3人目は実験的に(?)それもあまりしませんでした。 今では、チョコだろうがケーキだろうが好き勝手に食べています。それでも齲蝕はできません。ただ、よその子に比べてそれほど甘い物を欲しがらないような気がします。偏食もほとんどありません。それどころか三女はアンコのようなねばっこい甘いものが大嫌いです。『三つ子の魂百まで』と言いますが、3歳までに甘い物与えないというのは、その後の味覚形成にも影響するのかもしれません。お菓子・ジュースなど甘味は「濃い味」ですから味覚形成に重要な「薄味」を隠してしまうのでしょう。このことは「食」に対して考えるきっかけにもなりました。  

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