第23回 歯科領域にもiPS研究が拡大。

カテゴリー
記事提供

© Dentwave.com

 前回のコラムでお話しした本年4月(2011年)に訪れたニューヨーク(NY)は,私にとって,2000年のボストン留学時依頼でした。ボストン滞在中に2回NYを訪問,移動手段は特急で,片道4時間ぐらいです。終着駅はニューヨークのセントラル駅。したがって,JFK国際空港からマンハッタンに入るのは初めてでした。NYセントラル駅での一番の思い出は,出発の10分前までホームが決まっていないことです(2000年時の話です)。発車10分前になると電光掲示板にトラック(ホーム)の番号が映し出され,乗客はホームに急いで向かうわけです。  今回JFKからマンハッタンまでは地下鉄です。タクシーは便利で楽なのですが,少しでも仕事を忘れて旅の気分を味わうために,公共機関を使います。公共機関に乗ると,その街の雰囲気も分かります。 我々はホテルの近くまでA列車で行くことにしました。Jazz好きの人は,デュークエリントの「A列車で行こう」を想い出しませんか。「A列車」の歌詞は、「ジャズを楽むためにハーレムに行くなら,地下鉄急行のA列車に乗りましょう」というものです。NYはジャズの本場でもあり,Jazz気分で,ホームにてA列車を待っていると,ANA(全日空)から突然電話がかかってきました。お荷物のお忘れがあるとのこと,「あれ,ポスターが無い」なんと,ポスターを空港に忘れてきました。なんてことでしょう。  今回は,このNYの学会における,私が注目したもう一つの研究のお話です。ボストン大学のGeorge Huang先生からIPS細胞に関する研究報告がありました。乳歯歯髄細胞からiPS細胞の樹立に成功したという内容です。George Huang先生はボストン大学の歯内治療学講座の教授で,最近,歯に関する間葉系幹細胞や再生医学の研究報告を精力的にされています。今,最も活発な歯科の研究者の一人ではないでしょうか。この報告は我々にとって,ちょっと頭が痛いお話しなんです。ポスター発表としては,iPS細胞から神経堤細胞への誘導方法,iPSm細胞の新しい培養方法と間葉系細胞への誘導方法,線維芽細胞への誘導方法など52のポスター発表の中でiPSに関する演題が3題もありました。iPS細胞を作ることがわかってから,5年が経過します。そろそろ,iPS研究が世界中の歯学部で行われる時期かもしれませんね。

私は歯学部の解剖学教室という基礎の講座に属し,教育と研究が主な仕事です。したがって,このコラムでは私の研究が中心となっていましたが,これからは,ホットな話題も取り上げて,再生医療の現状をお伝えできればと思っています。2年間のブランクがありますので,少し昔の話題も出てくることもありますがご容赦ください。

iPS細胞 写真1. iPS細胞

真ん中の丸い形をしているのが,iPS細胞です。多数の小さな細胞が集まって,このような形をしています。細胞が増殖するとこの丸が徐々に大きくなります。周りの細胞は線維芽細胞です。

 日本はIPS細胞のお膝元ですから,日本の歯科大学においてもiPS細胞を扱う研究室も年々増えてきています。その研究は大きく二つに分かれます。  一つ目は,iPS細胞から歯の細胞に分化させて歯の組織を再生させる手法を開発する研究です。将来,歯周組織,骨,歯がiPS細胞からできるようになる日も近いでしょう。  二つ目は,口腔内の細胞からiPS細胞を作製(樹立)する研究です。iPS細胞は,なかなかできないのです。したがって,簡単に多くのiPS細胞ができる細胞源を探しています。山中先生は,皮膚の線維芽細胞からiPS細胞を作りましたが,歯髄細胞は,線維芽細胞よりも,iPS細胞の作製効率が高いことが報告されています。今までに,独立行政法人産業技術総合研究所と岐阜大学からは永久歯歯髄細胞,徳島大学と大阪大学からは歯肉線維芽細胞からiPS細胞の作製に成功しています。また,海外の研究施設では歯根膜細胞からもiPS細胞が作製されています。我々の口腔領域には多くの異なる細胞が存在しています。それらの細胞から作製したiPS細胞は同じなのでしょうか?確かめてみるのも面白いと思っています。

 日本はIPS細胞のお膝元ですから,日本の歯科大学においてもiPS細胞を扱う研究室も年々増えてきています。その研究は大きく二つに分かれます。 一つ目は,iPS細胞から歯の細胞に分化させて歯の組織を再生させる手法を開発する研究です。将来,歯周組織,骨,歯がiPS細胞からできるようになる日も近いでしょう。 二つ目は,口腔内の細胞からiPS細胞を作製(樹立)する研究です。iPS細胞は,なかなかできないのです。したがって,簡単に多くのiPS細胞ができる細胞源を探しています。山中先生は,皮膚の線維芽細胞からiPS細胞を作りましたが,歯髄細胞は,線維芽細胞よりも,iPS細胞の作製効率が高いことが報告されています。今までに,独立行政法人産業技術総合研究所と岐阜大学からは永久歯歯髄細胞,徳島大学と大阪大学からは歯肉線維芽細胞からiPS細胞の作製に成功しています。また,海外の研究施設では歯根膜細胞からもiPS細胞が作製されています。我々の口腔領域には多くの異なる細胞が存在しています。それらの細胞から作製したiPS細胞は同じなのでしょうか?確かめてみるのも面白いと思っています。

 iPS細胞とは,京都大学の山中伸弥 教授らによって開発された細胞で,未分化維持因子として胚性幹細胞(ES細胞)に発現している,OCT3/4、 SOX2、 KLF4、 c-MYCの4遺伝子を皮膚の線維芽細胞に導入することで作製できるというものです。2006年にマウスの線維芽細胞からiPS細胞が樹立され,2007年にはヒトの線維芽細胞からもiPS細胞の樹立に成功しました。たったこの4つの遺伝子を細胞に導入することで,ES細胞と同等の細胞を作ることができるのです。ES細胞は体を構成するすべての細胞に分化できることから,IPS細胞があれば,理論的には,体の細胞のすべてに分化できる能力を持っていることになります。アメリカのウィスコンシン大学のJames Thomson先生らは、山中因子と異なる4遺伝子(OCT3/4、 SOX2、 NANOG、 LIN28)でヒトiPS細胞の樹立に成功しています。受精卵を破壊して作製するES細胞に比べ、倫理的な問題も少なく,世界中で脚光を浴びています。

 2007年に京都大学の山中伸弥教授らによって報告されたヒトiPS細胞の樹立は,幹細胞を利用した再生医療の実現化に向けて大きな飛躍をもたらすと考えられています。例えば,原因不明の難病やさまざまな疾患の患者さんの細胞からiPS細胞を作製し,疾患の原因となる細胞に分化させて,その細胞に異常が起きればiPS細胞から分化した細胞までの分化経路の機構を解明することで,その病気の詳細が解析できることになります。通常,患者さんを直接対象とした解析は困難ですから,このiPS細胞の解析結果は新しい薬の開発に役立つことでしょう。

 最後に,またNYの話ですが,今回は会場に近いNew York Marriott Downtownに泊まりました。グランドゼロのすぐ横です。その近くのインド料理のカレーが気にいり,3回も行ってしまいました。おいしかった。

インド料理屋

私のお気に入りのインド料理屋の店内の様子です。 ガイドブックには載っていません。 名前の記録を忘れました。 このお店はアルコールを置いていませんでした。

インド料理屋

私が気にいったインド料理屋のカレーです。ナンもおいしかったです。

記事提供

© Dentwave.com

新着ピックアップ


閉じる