第4回 再生医学:歯の再生-1

カテゴリー
記事提供

© Dentwave.com

前回までに再生医学、ティッシュエンジニアリング、幹細胞について解説し、再生医学の初歩を学んできました。今月からは、私の研究室で取り組んでいる歯の再生について、お話させていただきます。   まず、はじめにどうして歯の再生の技術を確立する必要があるのでしょうか。われわれは歯を失ったときや歯を治療されたときに、その不便さから歯の大切さに気付きます。乳歯は抜けても、永久歯が萌えてきますが、永久歯を失うと2度と歯は萌えてきません。 したがって、歯を失った後は、そのまま放置するか、補綴物によって歯の代替をすることになります。しかし、これらの方法では、多くの患者さんは満足していないのではないでしょうか。現在では、人工歯根(インプラント)が普及し、ほぼ確立された治療法となりつつありますが、もう一度、歯を取り戻すことができれば、理想的ではないでしょうか。   われわれが目指す、歯の再生とは、細胞からもう一度永久歯と同じ歯を作るということです。前回までに解説したティッシュエンジニアリングの手法を用います。すでに、お分かりになっていると思いますが、細胞と担体と成長因子などを用いて歯を再生させるということです。  今までの人工材料を使った治療法に替わる細胞を用いて歯を作ることは、夢ではなく徐々に現実的になってきています。しかし、歯周組織や骨などの歯の中の部分的な再生医療は、臨床応用されているものの、歯全体の再生となると、どの方法が最もよいのかという議論の中です。  現在までに、歯を作る研究には2つの流れがあります。ひとつは、われわれが取り組む細胞と担体を用いる方法です。もうひとつは、歯の発生から考えられた方法です。歯は、多種にわたる遺伝子によって緻密に制御されながら発生し、徐々に分化・増殖し最終的には硬組織となります(図1)。この工程を複製することができれば、簡単に歯を作ることができます。次回は、われわれの実際の研究についてご紹介します。

図(1)

図の説明

 マウスの歯の発生過程   A:口腔上皮が歯原性上皮に分化して歯堤をつくる(初期)   B:上皮組織と間葉組織の相互作用によって、徐々に分化・増殖し、帽状期となる   C:鐘状期になると、咬頭の位置がきまる   D:歯冠形成期では、上皮組織と間葉組織が接触している位置から硬組織が形成する

記事提供

© Dentwave.com

新着ピックアップ


閉じる