第3回 細胞の種といわれる幹細胞

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  われわれの体を構成する細胞は臓器や組織の種類によって、それぞれの役割が決まっていて、違う組織の細胞に変化することはありません。しかし、その組織の中には未成熟な状態を保ちながら、ある時、別の役割をもつ細胞に変化することができる細胞が存在します。これが幹細胞です。幹細胞は組織を形成するための指令が伝わると機能する細胞に分化し、組織を形成します。一方で、幹細胞は分裂したときに、自己複製することで、幹細胞のまま存在し続けることができます(図1)。  組織の機能をつかさどっている細胞には寿命があります。したがって、組織の形態と機能を維持するには絶えず細胞を供給することが必要です。この細胞の供給源として幹細胞は働いています。たとえば、転んで怪我をすると、表皮の一部が損傷します。損傷した部位を補うために、幹細胞が分裂、増殖しながら、表皮を形成する細胞に分化します。この組織に存在する幹細胞を組織幹細胞と呼びます。少し前に話題になったES細胞も幹細胞ですが、ES細胞はほとんどすべての細胞種に分化する能力を持つ多能性幹細胞であるのに対して、組織幹細胞は、一部の細胞のみ変化できる細胞といえます。組織幹細胞は、それぞれの組織に固有な性質と他の多くの組織に共通した性質を持っているわけです。

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 組織幹細胞の中に間葉系幹細胞といわれる幹細胞がいます。間葉系組織の中に低い頻度で存在し、かつ、骨髄にも存在しています。骨髄というと、血液を産生する組織ですが、脂肪細胞が多く存在することも知られています。脂肪細胞も間葉系細胞ですから、骨髄中には間葉系細胞が存在しています。この間葉系細胞は結合組織や軟骨、骨などをつくる細胞で、幹細胞としての性格を持つ細胞も存在します。この間葉系幹細胞は、骨、脂肪、軟骨、骨格筋、心筋、神経などに分化することができます(図2)。  これらの幹細胞を生体外に取り出して、培養器の中で増殖させたのちに、目的の機能細胞へと分化させて移植治療に用いる試みは、幹細胞の発見によって大きく進歩しています。現在、成体のさまざまな組織から幹細胞が発見され、造血幹細胞や表皮幹細胞はすでに再生医療に応用されています。これまで、再生しないとされていた中枢神経からも幹細胞が発見され、難病疾患への応用も期待されています。

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