第2回 ティッシュエンジニアリングとは

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 初回では「再生医学」について説明しました。今回はティッシュエンジニアリングです。  この二つの再生医学とティッシュエンジニアリングの言葉の区別はつけにくく、はっきりとした定義はされていませんので、よく似た意味で使われています。    以前では、再生医学というのは医学の立場からの研究の表現方法であり、工学的な立場から表現するとティッシュエンジニアリング(組織工学)という言葉が使われていました。しかし、現在では、組織工学は再生医学という領域に含まれると考えています。  ティッシュエンジニアリングを和訳すると組織工学という言葉になります。つまり、工学的な技術を用いて組織・臓器を再生する試みが、ティッシュエンジニアリング。     一方で、再生医学というのは組織工学と幹細胞生物医学を含みます。幹細胞生物学を具体的に説明すると、白血病などの血液疾患にて、骨髄細胞移植を行うことです。細胞移植も再生医学です。  いいかえると、細胞の移植によって機能を回復する治療法に対する学問と細胞と人工的な細胞外マトリックス、一般的には生体材料を用いた治療法に対する学問があり、後者を組織工学と考えます。また、組織工学を生体組織工学とか再生医工学と呼ぶこともあります。  ティッシュエンジニアリングを英語で書くとTissue Engineeringになります。再生医学もTissue Engineeringと英訳されています。Regenerative Medicineは最近使われるようになってきました。   つまり、英語でTissue Engineeringの表記は広義で再生医学に相当する言葉と考えます。Tissue Engineeringは1987年に米国のNSF(National Science Foundation;国立科学財団)が最初にこの言葉をterminologyとして出しました。  この分野を最初に指導してきたのは、MIT(マサチューセッツ工科大学)のLangerとハーバード大学医学部のVacanti教授です。  ティッシュエンジニアリング(組織工学)を成功に導く3原則があります。その3原則とは細胞、足場そして環境です。この3原則を適切に働かせることで組織の再生が可能となります。  次回からはこのなかの細胞、特に幹細胞について説明します。

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