第4回 レスポンデント療法

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I.系統的脱感作療法 1: この方法はウォルピ(Wolpe,J.)によって開発されたものであり、行動療法の中でも最も使われることの多い技法である。恐怖症や不安反応によく用いられる。これは不安と弛緩状態(リラックスした状態)は両立しないという性質を利用して、恐怖や不安を引き起こしている刺激に、弛緩状態を対提示することによって、過剰な恐怖や不安を低めるという技法である。 2:特  徴 恐怖症にとどまらず、言語障害、喘息発作、不眠症の治療にも使用される。 3:方  法 1)自覚的障害単位の導入 今までに経験した最も強い不安を100とし、全く不安を感じない状態を0として、他の場面での不安の程度をその間の数字として表す。 2)弛緩訓練 顔や首などの筋肉群の緊張状態と弛緩状態を比較しながら、十分リラックスして落ち着いた状態の獲得の訓練をする。 *自律訓練法を用いることもある。 3)不安階層表の作成 恐怖や不安を引き起こす刺激場面をその強さの順番に整理する。(下の表をご覧下さい)繰り返し失敗に終わった試験に対する激しい不安を呈したAさんの不安階層表です。 4)脱感作の手続き 十分リラックスした状態で、不安階層表で一番不安の低い刺激を想像によって提示することからはじめ、少しずつ高い刺激の提示でもリラックスした状態に保てることで不安反応が抑制されたことになる。 4:具体例:恐怖症 1)クライアントの訴える恐怖、不安などの検討 (1)主訴内容が合理的なものか、非合理的なものかを見極め、非合理的なものを対象とする。 (2)単一の恐怖症であるか、複雑な恐怖症であるのか。 (3)恐怖の強さを弱いものから強いものへと並び替える(表を参照) 2)適切な情緒を伴ったネガティブな刺激場面をイメージ化する。 (1)情緒的に中正な親しみのある場面をいくつか想像させて、どの程度明確で現実的にイメージできるかチェックする。 ※イメージできない場合は別の方法を考える (2)恐ろしいと考えられる場面のイメージ化を行い、どのくらい明瞭で、どのくらい不安や恐怖を起こすかを調べる。 3)筋弛緩法の導入(リラックスしてもらう) (1)深い筋弛緩を行い、不安尺度の一番弱い刺激場面をイメージ化させる。 (2)数秒して、不安が覚えられないならば、次に弱い刺激場面をイメージ化させる。 (3)また不安が生じなければ、場面を鮮明にイメージできているかどうか確認し、順次不安尺度が高いものへ移行する。 (4)途中で不安が感じられるような場合はそこで中断し、30秒くらいたってから、また最初の弱い刺激をイメージしてチェックする。 (5)それでも不安を覚えるならば一度セッションを打ち切り、休憩をいれる。 (6)休憩後、前のセッションで使ったよりも弱い刺激から再開する。 (7)このようにして、深い筋弛緩と恐怖喚起場面のイメージとを行っていく。 4)恐怖刺激自体との現実的な接触 (1)筋弛緩セッション後に、現実に接触させる。 ※ただし、1回のセッションで完了することはないので、時期をよく見計らって行うことが大切である。   II.フラッディング療法 筋弛緩のような恐怖と拮抗する反応はいっさい行わず、恐怖を引き起こす最強の場面を利用し、さらす時間はなるべく長い間直面させる。そしてその恐怖から逃避させないようにする。その場面に遭遇しても危険が伴わないという条件付けを行う。   III.条件性逆制止療法 1:不適切な運動的習慣を積極的に反復させる。(短い休憩を挟んで、不適切な反応を積極的に反復させる)意識してやってもらう。だんだんと行動が減ってくる。 2:対象:*チック、どもり、夜尿、同性愛など   IV.嫌悪療法 1:不適切な行動を起こしたときに、嫌悪的出来事を対提示していく(不適切な行動を起こしたときに電気ショックを与えるなど) 2:対象:アルコール、タバコ、同性愛、露出症など 用語解説 *自律訓練法 自律訓練法(autogenic training:AT)は、1932年にドイツの精神科医シュルツによって開発されたセルフコントロールによるリラクゼーション法である。 *チック 器質的に異常があるわけではないのに、「目をぱちぱちする」、「首を振る」、「首を動かす」などの不随的な運動のこと 次回は「オペラント行動①」についてお話しします。 「今日のコラム」 お久しぶりの今日のコラムです。 皆様、ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか? 私は5月2日から5日まで泊まりがけで自己啓発のセミナーに行ってきました。朝9時から遅いときは深夜3時近くまで続きました。風邪を引いていましたが、なんとか持ちこたえました。 いろいろな方とお話しする機会があり、刺激を与えていただき、新たな決意をして帰ってまいりました(笑)。 大きな行動を起こすとき、私の場合、先にリスクを考えてしまう。つまり、安定感がなくなるのが嫌いなのだ。子供のころはどうであっただろうか?「大きくなったら○○になる。」と言っていたと思う。あの時は、リスクや安定感なんてきっと考えていない。大人になるとこういう感覚がなくなってしまう。そんな気持ちが蘇ってきました。 行動パターンを変えるときは、どんな感情が得たいのか?ポジティブな感情が得たい。どんな結果にしろ、それを受け入れる心の広さも必要であるとこのセミナーで学んだ。そんなことを考えながら今回のこの原稿を書き終えた。 歯科衛生士 心理カウンセラー 青木五月
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