第2回 「行動と学習」、「行動療法」

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これからも心理学の内容を中心に皆様に伝えていけたらと思います。前回の内容で大切なところは行動:反応=環境(刺激)×有機体(人や動物)で行動を変えるには人を変えるか(物の見方、捉え方を変えるか)、または環境(刺激)を変えるかでした。物の見方、捉え方を変える方法を認知療法、環境(刺激)を変える方法を行動療法と言います。今回からは行動療法に重点を置き、今月のテーマは「行動と学習」、「行動療法」についてです。 「行動と学習」 I行動の種類 1:生得的行動:生まれながらに持っている行動 2:後天的行動:学習して身につけていく行動 1)人間のほとんどすべての行動は学習されたもの、もともと持っている行動が少ない。 II学習を考える視点 1:どのような条件の影響を受けるのか 2:結果としてどのような変化が現れるのか III学習の定義 1:どのような条件の影響を受けるのか 2:結果としてどのような変化が現れるのか 3:行動の変化 1)行動パターンが変化すること 2)新しい行動パターンが生まれてくること(人は学習して行動パターンを作っている) 3)反応回数が変化すること 4:学習の除外 1)未熟なものが成熟に伴って、ある行動が可能となる場合 2)疲労で行動が変化する場合 「行動療法」とは? 行動療法(behavior therapy)とは人間の行動や思考を変化させることを援助する行動指向化されたさまざまな方法群の総称である 例:恐怖心や不安感から行動が制限される(高所恐怖、対人恐怖) 本人はやめたいと思っているのにやめられない習慣(タバコ) などに対して、それらの行動を望ましい行動へと変容することを目標とする IV学習の種類 学習のパターンは3つあります 1:レスポンデント学習(行動・条件付け):受動反応 1)反射運動:生得的な運動で先行するある刺激により必ず触発される反応 2)無関刺激直後に無条件刺激を与えることで、無関刺激が条件刺激となり、無条件刺激によって誘発された受動的反応が条件刺激によっても誘発されるようになる条件付け 2:オペラント学習(行動・条件付け):能動反応 1)人が環境に能動的に働きかけ、自発する行動をオペラント行動という 2)この行動の学習の結果によらず、人が生まれながらに持つ行動がある 3:観察学習 1)条件付けの手続きをしていないのに、あるサンプルを提示するとそのまま条件付けが完了するような学習 2)観察学習はモデリングとも呼ばれている この3つの学習については次回以降、詳しく説明します。次回は「レスポンデント行動」について説明します。 *行動療法のまとめ* 行動療法は動物実験をもとに、推測ではなく、事実の基づき、科学的に捉えようとします。人間の感情は後天的な学習によると考えます。(ただし、怒り、恐怖、愛情を除く)私たちは学習をして行動パターンをつくっています。問題行動は学習不足または誤った学習の結果と考えます。行動療法は目で見える問題行動をよいと思われるような行動に変えるのが目的です。 「今日のコラム+お勧めの本」 リッツ・カールトンが大切にするサービスを超える瞬間*かんき出版*著者:高野登 最近、臨床で自分が改善しなければならない点は患者様への対応だと思っています。忙しいとその日の仕事をこなす動作になってしまい、自分でもいけない点と感じています。そんな時、目に留まった本がこの本でした。リッツカールトンホテルは高く評価されています。その理由は何でしょうか?「ホスピタリティ」とは思いやりや親切心、心からのおもてなしという意味があるそうです。私たち、歯科衛生士のポスピタリティ=心からのおもてなしとはどういうことかを考えさせられた一冊でありました。 知識や技術を与えることでしょうか?患者様の気持ちを置き去りにした指導や自分だけの一方通行ではなく、気付き、行動の変容へと関わるのが理想ですが、行動を変えるのは難しいです。予防や健康は大きな意味を持ち、それ故に、歯科衛生士は柔軟な対応を求められるであろう。 EBM(Evidence Based Medicine) に基づき、医療従事者と患者様が相互理解し、治療方針を決定すればトラブルも少ないでしょう。また患者様との対話を通じて、患者様自身の語る物語、NBM(Narrative Based Medicine) から病の背景を理解し、抱えているも問題を把握する手法も必要であろう。また、EBMとNBMは対立するものではなく、補い合うものといわれています。 私も歯科衛生士としての「ホスピタリティ」を大切にしたと思いました。 今回は私の無理のお願いを快く引き受けていただきました、リッツカールトンホテルの高野社長をはじめ、スタッフの方々にお礼を申し上げます。有り難うございました。 歯科衛生士 心理カウンセラー 青木五月
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