軽いタバコ

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 喫煙者の中には身体の事を考えて「軽い」と表現される「ライト」「マイルド」と表現されているタバコを吸われる方も少なくない。これらはニコチン含有量が少ないと表記されることが多いが、果たして通常のタバコを吸う方がこれらのタバコを吸う事で身体へのダメージはどのくらい減らすことが出来るのだろうか?  そもそも、ニコチン量はどのように計算されるのであろうか?これは実は国際基準により定められた人口喫煙装置を使用して以下の条件で測定された数値である。  ・吸煙容量:1服について35ml  ・吸煙時間:1服について2秒間  ・吸煙頻度:1分間に1服  ・吸殻の長さ:フィルターの有無にかかわらず30mm    このようにして、一分間に2秒しか吸わない通常の喫煙習慣とは異なる方法で吸引されたニコチン量を計測してもほとんど意味はない。   では、「軽いタバコ」とはどのようにして区分されているのであろうか?タバコを指で挟む部分をよく観察してみると、細かい穴が沢山開いている。この穴の数を増やすことで、ニコチン量、タール量を調整している。吸引する口元に近い所に穴が多ければ、外気が流れ込みニコチン量を減らした状態で測定ができる仕組みである。   写真は同じメーカーでニコチン量が違うと表示されている物を拡大してみたが、穴の数と位置が違うことが良く分かる。実際に含まれるニコチン量を計測してみると、メーカー公表値との差は歴然としてい。  

タバコの銘柄 ニコチンの表示値(mg) ニコチンの実際量(mg) マイルドセブン・スーパーライト 0.5 11.7 マイルドセブン 0.9 12.5 セブンスター 1.3 12.4 キャスター・マイルド 0.4 12.9 ラークマイルド 0.7 11.5 ケント 1 0.1 11.2 ダンヒルアルティマライト 0.1 15.0 フロンティア・ライト 0.1 6.9 パーラメント 0.8 12.5 ハイライト 1.4 14.5 ピース 2.4 23.9 フィリップモリス 0.1 9.5 ネクスト 0.1 12.7

  「How to 健康管理」誌2001年 2月号 北里大学薬学部福本眞理子 より引用    又、喫煙の主な害は「ニコチン」と「タール」が上げられる事が多いが、実際には低温で燃焼される事により発生する「一酸化炭素」の方が身体に与える影響はとても大きい。なんせ、火事などで亡くなる方はほとんどが一酸化炭素中毒である。そのような猛毒である一酸化炭素は低温で不完全燃焼させれば必ず発生するから、タバコのニコチン含有量を減らしたとしても一向に身体への影響は変わることはない。  これは、タバコ同様の形状をしているもの(ネオシーダ等)で火をつけてその煙を吸っている場合にはほぼ同じことが起きている。ニコチンは、喫煙習慣の「依存」に大きく関わる物質で、喫煙者はニコチン切れを防止する為に喫煙習慣を続けていると言っても過言ではない。ニコチン摂取量を減らしていくと、ニコチンを絶つことが出来るかというと、そんな簡単なものではない。  ニコチン量の少ないタバコを吸えば、それだけ体がニコチンを欲することになり、深く吸ったり、本数が増えることになる。これは節煙、減煙も同じことである。また、軽いタバコには、通常のタバコより、メンソールなどの化学物質が多く配合されていることが多く、燃焼時に発癌物質の種類が増えていることが指摘されている。それを裏付けるように、これらのタバコを吸う習慣の人は、扁平上皮癌でなく腺癌とよばれる、発見しにくく、生存率が低い癌に罹患している人が多い事が指摘されている。    軽いタバコは身体へのダメージが少なそうなイメージを受けるが、実際にはそんな事はなさそうである。実際、このような「マイルド」「ライト」「スーパーライト」などの表現は健康に関連した誤解を招く可能性があるのでEUなどでは表記が禁止されている。   以前、「健康のため吸いすぎに注意しましょう」や「あなたの健康をそこなうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう」と記載されていたタバコ。今ではそのようなあいまいな表記は禁止され、より的確な表現にするようになってきている。しかし、自動販売機などではその「害」を訴える部分が意図的に隠されているとしか思えない物が散見される。このようなJTの戦略に騙されて、健康被害の情報が喫煙者には不十分にしか伝わっていない。私達医療従事者は専門家として、これらの事実を喫煙者に伝えて、「タバコによる呪縛」から解放されるよう協力していきたい。      

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