第2回 医療法人が変わる?

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こんにちは、税理士の若林理恵です。今回は皆さんに関係の深い医療法人制度の改革について少しお話をさせていただこうと思います。 医療法人が変わる? 今年の2月10日に国会に「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案」が提出され、先の通常国会で原案通り可決成立しました。既存の医療法人については、改正法に盛り込まれた経過措置によって今のままの医療法人制度が維持されますが、改正法が施行される平成19年4月1以降は、出資限度額法人しか新規には設立できなくなります(社会医療法人はここでは議論から除きます)。 昨年7月にとりまとめられた「医療法人制度改革の考え方」で医療法人の非営利性及び公益性が示され、それに基づいた改正医療法のもとでは出資額限度法人、つまり解散時の残余財産は出資者には帰属しない、当初出資した出資額までしか払い戻しがなされない法人の形態が基本となります。 この改正法の適用は施行日である平成19年4月1日以降に定款の許可申請をする医療法人から適用されますので、東京都の場合ですと年2回、医療法人設立許可申請の受付が行われていること鑑みれば、医療法人の設立を旧法で考えられている方は時間が限られていますので急いだ方がいいですね。 今後は以下の4つの医療法人に当面集約されます。 (1) 特定医療法人(旧制度) (2) 社会医療法人 (新制度) (3) 出資額限度法人 (新制度) (4) 出資持分のある社団医療法人(旧制度)

既存医療法人の立場は?

現在設立されている既存医療法人については、当面は出資持分に応じた払い戻しができる現行の制度のままの存続が取扱が認められますので、持分のある社団医療法人として存続することができます。 しかし改正法では医療法54条の規定、つまり医療法人の剰余金の配当制限規定を斟酌し、解散時に残余財産の帰属者を一定の者とすることに改正されました。ここで一定の者とは、国・地方公共団体又は医療法人等の医療提供者で厚生労働省令で定めるものを指し、その中から選定しなければならなくなります。 すると解散時又は余剰が生じている医療法人にあっては、剰余金は出資者の手許に戻らないことになります。今後は事業継承等の問題が生じた際に、出資額限度法人への移行を検討しなければならないという状況も既存の医療法人において発生する可能性もありますので、移行する場合に伴う課税関係について今後は十分に注意してスキームを考える必要があります。

今後の流れに注視!

今後逐次、改正医療法に基づく政省令や都道府県の指導基準等が明らかになっていくことになりますが、前掲の「医療法人制度改革の考え方」では法人の設立者、役員及び社員又はこれらの者の親族等に対し金銭の貸付や給与の支給等の特別の利益を与えないこと及び 医療法人の運営に著しく支障をきたす経費の負担を禁じていますので、こういった考え方がベースになっていくものと思われます。 さらに出資額限度法人においては、移行時や出資者の脱退時の課税関係などについての原則的な考え方が国税庁から明らかにされていますが、関係諸法令との絡みから整備が行われていくものと考えられます。

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