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2013/10/24

第2回 Nd:YAGレーザーの臨床応用

 今回は、比較的よく使われているNd:YAGレーザーについてお話しようと思う。私自身レーザー機器を触ったのはNd:YAGレーザーが最初であり、その後はCO2レーザーも使うようになった。

 Nd:YAGレーザーの媒体はイットリウム(Yttrium)、アルミニウム(Aluminium)、ガーネット(Garnet)の合金(Y3Al5O12)の素性を示す結晶体に、少量の希土類金属の1種であるネオジウム(Nd)元素が均一に添加されたものである。結晶成長が遅い割りに連続波や繰り返しパルス発振が効果的に行えるなど、安定したレーザーといえる。

 1961年に活性物質としてのネオジウムに注目し、ガラス結晶をレーザー媒質としてSnitzerらが行ったが、高出力を安定的に発振することはできなかった。しかし1965年にはNd:YAGレーザーをGeusicらが発表し、高出力を得られることに加え繰り返しのパルスも可能となり、実用化に向けて活用されてきた。

 Nd:YAGレーザーの特徴としては、ヘモグロビン、たんぱく質、メラニンを比較的よく吸収するが、水に対する吸収力はあまりないということで、組織歯壊を抑制する治療に応用されている。そのため、湿潤や浸潤下領域では少量のエネルギーで効果が期待できる。歯周ポケット内の照射、歯周膿瘍などに焼灼や蒸散を効率よく行えるが、内部吸収性を考えないとエネルギーが組織深部まで到達する。このため連続波で使用する際は、たんぱく変性層が厚くなり3〜4mmに達する場合もあって、おもに凝固、止血を目的とした使用には適しているといえる。また、パルス波での使用では、連続波と比較し同じ総照射エネルギー量で、周囲組織への熱的変性範囲が減少できる。

 次に、Nd:YAGレーザーをどう使うか、という点について述べる。ユーザーの意向によりいろいろ使えるが、代表的なものを紹介しよう。


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まず、確立された効用として、歯質の耐酸性を向上させることがわかっている。 つまり、歯に直接照射することでう蝕になりにくくするのである。Nd:YAGレーザーが実用化された4〜5年後には、こうした研究が始まっていたのである。これはレーザー機器の進歩との関連性が高いと思われる。私が尊敬する森岡俊夫先生や山本肇先生などが、色々な研究をかなりされ、九州大学歯学部の予防研究室では保険治療に入っているぐらい、研究としてはかなりできあがっているといえよう。

臨床的にも、レーザー照射したものとしていないものの比較、特に小児における比較をすると、レーザー照射した歯の耐酸性のほうがはるかに良く、う蝕の予防と進行の抑制に効果があると報告されている。


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歯内療法にNd:YAGレーザーを応用する場合。 根管拡大にレーザー照射をした場合、先端がフレキシブルな石英ファイバーなので湾曲根管にも比較的到達が可能である。
具体的には、20度以下の湾曲根管になら充分可能であると報告されており、歯根破折を誘発する可能性が低いなど、臨床への応用が進んできていると考えられる。

このように根管治療にも適しており、照射による殺菌がしやすいという特長がある。さらに、最近ではNd:YAGレーザーの殺菌性を期待するだけでなく、根管内異物・破折器具・根管充填材などの除去にもNd:YAGレーザーで行えるようになっている。


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 その他の応用として技工部門では、熟練を要するろう着においてもNd:YAGレーザーによる溶接は簡単で、精度の高い補綴物に応用できる。技工用のNd:YAGレーザー溶接装置も市販され、歯科技工への応用が試みられる。
また、メラニン色素の除去にもよいが、最近の傾向としてはあまり深達性の高いものではなく、違うレーザーを使うことが多いようである。
軟組織にレーザー照射を行うと鎮痛、消炎効果が現れることが報告されているが、臨床的に痛みのある部位にレーザー照射を行うと、疼痛が減少することがわかり、知覚過敏症口内炎、義歯による潰瘍のほかに、最近注目されている使い方として顎関節症への応用がある。特に変形性顎関節症患者にレーザー照射を行うと、疼痛の軽減がみられる報告がある。

 先日の学会で吉田憲司先生(愛知学院大学口腔外科学第1講座特殊診療科)も発表していたが、生体あるいは病変部へ微弱、低出力のレーザー照射を行い、創傷の治癒促進や血流の改善、疼痛の緩和や神経の賦活などの目的で治療を行うことを低反応レーザー治療(LLT;low-reactive level laser treatment)という。これはレーザー照射を行った場合、細胞破壊を伴わずに非熱的な光化学作用などによる生体組織反応から治療効果を得ようと意図するものである。生体に負担の少ない、いわゆる最小限の侵襲(minimal intervention)による治療が提唱されている現在、そのようなアプローチも可能である。

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