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2013/10/24

第6回 しっかりしてよ! 歯科衛生士会さん!

歯科衛生士コラム 第6回

しっかりしてよ! 歯科衛生士会さん!
精田紀代美 衛生士

 さてさて、全国の各都道府県に歯科衛生士会という職能団体が存在していることはご存知ですね。会員として、日頃より活躍している人、業界で存在感があり、いわゆる有名人もたくさんいらっしゃいますね。臨床の場で、地域の場で、介護の現場で、産業の場でも・・・。皆それぞれ努力された結果として、歯科衛生士の理念を覆すことなく社会貢献に値する人と私は尊敬しております。各都道府県には、歯科衛生士の人格・品格・品性を伸ばしていくフロンティアとも言えるカリスマ的な人がいます。このような存在が、後輩を元気づけ、仕事を続けていく大切な要因になっているのです。

 昭和23年に歯科衛生士法制定、昭和30年に一部改正、平成元年に教育年限延長に伴う改正と歯科保健指導が加わり、全国的に喜びに沸き立ったことも記憶に新しいことと思います。このような法改正の流れを振り返りつつ歯科衛生士の現状を見つめてみると、3年制・4年制への移行によって、やっと医療職や介護職と肩を並べられるようになるのだと言えるでしょう。ところが、全国どこの歯科衛生士会からも歯科衛生士の法改正の声が出てこないことは、不思議な現象としか思えません。2年制が全国3年制になるにもかかわらず、教育内容がどう変わるのかも見えて来ていない現状もあります。どこの学校の教務に聞いてもはっきりした回答がないのも事実です。個々の学校の特徴が生かされるカリキュラムになると言われても、私の知る限りではそもそも“特徴”ある学校があるとも思えないし・・・。4年制の大学を卒業しても、昭和20年〜30年代に資格を取得した1年制卒業の大先輩も同じ資格であり、資格が変わらないなんて変だと思いませんか。

 高校生を持つ親に尋ねてみました。4年制の教育を受けても単なる歯科衛生士なら、歯科医院にしか勤務することができないのなら、大学を卒業する意味がないね!とのこと。どうも今のところこれが現実のようです。既に職に就いている人にとっても、ワンステップ上を目指す新しい業務があるのなら大学卒業の意味もあり、現在の仕事のワンランク上を目指すことに希望も持てるはず。

 先日、ある業界新聞にこんなことが書いてあり、改めて世界各国の歯科衛生士の現状に驚かされました。日本では、今後歯科衛生士の活躍の場が増えることは、多くの国民も望み、厚生労働省もその重要性を認識しています。日本歯科医学会の「歯科衛生士業務に関する検討会」でも、歯科衛生士業務範囲について前向きな検討が行われています。日本の歯科衛生士は、受付業務から器具清掃、院内清掃など歯科助手と同等の業務から歯周初期治療までと余りにも広範囲にわたっている国家資格です。一方で、世界の歯科衛生士を見ると、ニュージーランドで、2003年に歯科医の監督を離れて独自に診療することが認められたそうです。スウェーデンは、歯科衛生士制度が始まった1964年から独自にできるし、オランダは1978年から。フィンランドは1994年。デンマークは1996年。スイスは1997年、ノルウェーは2001年にとヨーロッパ諸国は、それぞれ歯科衛生士の独立した診療を認めています。後進国と言われたドイツでも、教育が始まった5年目の1999年に独立した診療を認めています。日本も政策判断が迫っていると提起した新聞記事でした。

 歯科医師にとって有益か否かを考えてきた日本と、国民の歯科保健にとって有益か否かを考えてきたこれらの国とを比べると、歯科衛生士の業務範囲について、とても大きな差が出来てしまったものだと思います。日本で、論点が教育年限の延長からスタートしたのは良かったのですが、教育内容に特徴を持たせるというものの、1996時間の養成時間は2年制と変わらず、論点がここで終止してしまって、業務範囲にまで歯科衛生士自身も専門職団体でも議論が発展していないように思われます。

 このことについて意見を交わし、真剣に考えるのは他の職種の方々ではありません。歯科医師が考えるべきものでもなく、保健師でもなく、看護師でもなく、議員でも、国でも、地方自治体でもなく、私達自身であります。それを取りまとめ積極的な態度を社会に訴えるのが職能団体であると私は思っています。各都道府県の歯科衛生士会47団体と日本歯科衛生士会が、日本の歯科衛生士の未来を決めていくべきです。

 日本の歯科衛生士は、アメリカの産みの落とし子だといわれて半世紀が過ぎ、アジア諸国の中では最も古い歴史を持っています。しかし、後進国と言われていた近隣国が4年制の歯科衛生士をスタートさせています。数の上では日本は20万人と多く、力となりうるはずですが、今の歯科衛生士会の存在感は、全国の働く歯科衛生士の中では、充分とは言えず、いざという時の戦力には乏しい気がします。

 例えば、言語聴覚士さん、数は1万人であっても、今回の介護予防施策において、専門的口腔ケアと口腔機能向上にしっかり位置付けられましたね。このことは、何よりもただ単に数ではないことを物語っています。

 職能団体の役割が充分発揮されているかいないか、その責務をそれぞれ個人が持つか持たないかにあると思います。そして、組織率です。歯科衛生士の場合は、余りにも低いということです。たまたま、私が行政に席を置いていた頃に、よく他の職種から言われていたことです。その低い理由は、自覚の欠如。自覚を促すプロが身近にいないからだと・・・。

 ところが、一方、時が流れてもこの精神をずっと受け継いでいる職業があります。それが美容の世界です。この職業に学ぶものが多いと私は思います。将来の自立をただただ目標に、古い慣習を今もなお受け継ぎ、まず修行するというしくみです。美容学校を卒業し、国家資格を有しながらも、まず修行して腕を磨く。美容師さんは、必ず、良き先輩のお店で数年修行を積むのです。美の技術を盗んで修行を何年も続けて自立するという過程が、この近代社会に、今もなお生きているのです。

 歯科衛生士にはこのように直接先輩から技術を教えてもらうという修行が欠如しているのです。診療所で先輩にいじめられた人はいても、厳しい先輩から修行を受けたからこそ今の自分があると答える人は少ないようです。

 美容の世界では、完全な自立・独立です。厳しい修行があり、基本的に素晴らしい技術を持っていないとお客さんは来ません。全て自己責任がついてきます。この点は、診療所勤務者とは大きく違っていると思います。

 このような違いはあるものの、日本の現状を今のままで良しと考えていない歯科衛生士さんもたくさんいるはずです。私は、それぞれが知恵を出して、将来に輝ける歯科衛生士像を後輩に受け継いでいけないものかと考えているひとりです。そんな意味でも、日本歯科衛生士会に頑張って頂きたいのです。

 最後に、私からの大きな課題で締め括りましたが、どしどし皆様のご意見をお待ちしております。

 おわり

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