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2013/10/24

あすなろ歯科の院内コミュニケーション 第2回コラム 開業から2年目まで苦悩

はじめに

 群馬県前橋市に開業しております、あすなろ歯科の野村と申します。おかげさまで今年の1月で開業から4年目を迎えることができました。開業してわずか3年しか経っておりませんが、数々の失敗と教訓をこの3年間で学ぶことができました。
開業後2年間は本当にダメな院長で、スタッフにとって仕事がしにくい環境を、私自身が作っていました。自分の周りの状況は、すべて自分自身が作り出したもの。そのことに気が付かなかった私は、イライラして、スタッフや患者様にあたり散らしていました。今にしてみれば、本当に恥ずかしい限りです。

 開業当初、私は歯周病の治療とカリエス予防を目指していました。開業前に勤めていたのが、予防において成功し、そのノウハウを活かしている群馬県内でも有名な歯科医院でしたので、自分の医院でも予防を実現し、成果をあげることができるだろうと、自信というか、過信した状態で開業しました。「すべての患者様に歯周治療を受けていただきたい」、「サリバテストを行いカリエスフリーを目指す!」、「メンテナンスによって快適な口腔内の提供を!」、「リコール患者様でユニット増設」などと考えておりました。
ところが、開業してすぐに、そうした自分自身の思いと、地域の患者様の歯科治療に対する要望とのギャップに直面することになりました。そのため、日々イライラが募っていったように思います。お越しいただく患者様の中には、「予約制の歯医者なんて歯医者じゃない!」と言って帰ってしまう方や、診療開始の1時間前にやってきて「早く診てくれ」とチャイムを鳴らす方、予約の30分後にやってきて「予約していたんだから何とか診ろ!」とか、昼休みにやってきて「応急処置でいいから何とか診てくれ!」と言われる方もいました。 
私の理想とはかけ離れた状態で、まずは予約制であることを皆さんに知っていただく必要性がありました。

 治療方針に関しても、なかなか理解が得られませんでした。
「歯ぐきの状態が悪いし、しっかりと残っている歯を治療してから・・・」と言っても「歯周病の治療なんていいからサッサと入れ歯を入れてくれ!」と言われてしまう。衛生士が歯周治療をすると「今日は治療はしてくれないの?」と言われたり、サリバテストの予約を入れると来なくなってしまったり。

 残根だらけの口腔内。きちんと治療をすればまだまだブリッジで治せる口腔内に「入れ歯をすぐ作ってくれ!歯の治療はしなくていい!」と言われてしまう事も多々ありました。臼歯に入れ歯を入れていただけない、前歯しかない患者様。前装冠を入れたら壊れてしまい、「お宅には2度と行かない!!」、とクレームの電話。かなりショックでした。

すべての患者様がこうだったわけではありませんが・・・・理想とのあまりのギャップに、私のイライラは募っていきました・・・・。イライラして、自分の思いどおりにならないことを周囲のせいにして、患者様に、そしてスタッフに、その気持ちをぶつけてしまうこともありました。

 スタッフが、「皮膚科でいぼを取るから休む」、「有給を使って連休を取る」、「病気で出てこられない」と連絡してきたり、有給明けに出勤してきて、「昨日大丈夫だった?」「大丈夫だったよ」などと話をしたりしていると、またイライラしていました。開業2年目頃まで、スタッフに対して考えていたことと言えば、「仕事に責任感はあるのか!」、「担当制の意味は分かっているのか!」、「スタッフが少ないときは、そのように予約少なくしているのに、休んだことで患者様や他のスタッフ、そして医院に迷惑をかけていることを分かっているのか!」、「医院のお金でセミナーにでているのに、きちんと報告もないし、これでは意味がない!」などなどでした。

 こんな私を、当時のスタッフがどんな風に見ていたか、少し紹介しますと、
ベテラン衛生士は、「歯医者なんてこんなものだし、我慢、我慢。でも他のスタッフがかわいそう。先生は何を考えているか分からない。」

 他のスタッフも、「何をするにも楽しくない。胃が痛い。食欲もないし、やせてきてしまった。先生と会話もしたくない。先生がなぜ怒っているのか分からないから、やつ当たりをされているように感じる。ビクビクおびえてしまう。先生に気を遣って、患者様への心配りがおろそかになる。気疲れで1日が終わってしまう。」

「3年経ったら辞めよう。みんなの前では泣けないから、車の中で泣きながら帰ったり、診療中に泣きそうなときはトイレに行って泣いたりしていました。」

スタッフがこんな気持ちで働いている医院が、どうして成功できるでしょう? 患者様よりも院長に気を遣っている人が、通院してきてくれる患者様とコミュニケーションを取ることができるでしょうか? できるはずがないのに、そんなことにも気づかず、私はただ腹を立てて、当たり散らしていたのです。

 それから1年半が過ぎ、現在(18年2月)のスタッフの感想です。
「私たちはうまく行っている。あすなろ歯科にいれば夢が見られ、実現できる予感がある。」
「何か問題があった時、その原因を明確にすることができるようになった。医院を向上させるために何が必要か、分かってきた。夢がつかめそうで、それが実感できるから、力がわいてくる。」
「働くのが楽しくなった。とにかくやるしかない。仕事が充実していると毎日が楽しい。」
 
仕事は厳しいもので、責任が伴う。そんな自覚をスタッフに求める姿勢は、今も変わりはありません。ただ、どのように求めるべきか、そして求めたこと、また与えられた仕事にどんな意味があるのか伝え、そして私自信のビジョンを持ち、それも伝えることで大きく変わることができましたように思います。

次回以降、何を変えて、どのように取り組んでいったのか、具体的な内容についてお伝えできればと思っています。

あすなろ歯科 野村 英孝

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