▶新規会員登録

記事

2013/10/24

第1回 歯科衛生士が勧める食育

歯科衛生士コラム 第1回

歯科衛生士が勧める食育
宮坂乙美  歯科衛生士

あちらこちらで耳にする“食育”。“食”って言葉がつくぐらいですから歯科衛生士としては当然、無関心ではいられません。なんといっても食べ物が入ってくる一番の器官は、口腔ですから!

そもそも “食育”とは一体なんでしょう?

2005年に内閣府が中心となり、食育基本法が成立されました。各省のねらいは、厚生労働省が健康つくりの運動推進、文部科学省が食に関する学校教育の充実、農林水産省が食の流通・安全です。

食育基本法の中での「食育」は、

(1) 生きる上での基本であって知育、徳育、体育の基礎となるべきもの
(2) 様々な経験を通じて「食」に関する知識を学び、「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践できる人間を育て、さらにそれを人に伝えられる人間を育てること …

とされています。

にわかに“食育”“食育”とクローズアップされてきましたが、この言葉、一番はじめに使われたのは明治のこと。明治29年、石塚左玄が「化学的食養長寿論」を出版していますがその中で「学童を有する民は、体育、智育、才育はすなわち食育なり観念せざるべけんや」、つまり「子どもにとって食育がすべての基本で教育の中で最も重要である」と説いています。その100年前に説かれた石塚左玄の言葉が、今また見直され、食育基本法の前文に取り入れられているのです。

なぜ、今“食育”なのでしょう?食育基本法成立の根底には、

(1)“食べること”を大切にするこころの欠如
(2)豊食(=飽食)の国ニッポンなのに過不足があり、また不規則な食事(崩食・呆食)
(3)肥満や生活習慣病の増加またその低年齢化
(4)過度の“やせ”志向
(5)“食の安全性”の問題
(6)“食”の海外への依存
(7)伝統食文化の喪失

以上の事を危惧し対策を考える上で、個人の問題というだけでなく、社会全体の問題として捉えて食育を強力に推進していく、という精神が流れています。ですから食育基本法成立後、多職種の方々、たとえば管理栄養士であったり、学校栄養教諭であったり、また料理研究家の方々が、いろいろな場面で食育に関して指導あるいは講演をされるようになりました。

さて、歯科衛生士ができるというより、していく必要のある食育とはどんなものでしょう?

私は考えました。従来、臨床の場あるいは公衆衛生の場で歯科衛生士が指導してきたのは、虫歯予防や歯周病予防に関してでした。もちろんそれらは歯科衛生士の王道とも言える、重要な指導ではあります。歯や歯肉が健康でなかったら食も健全ではなくなるのですから、食育の一端を担っています。ですが、現代の食、それにつながる健康を考えた場合、歯科医院から発信できることは何でしょう?

それは口腔機能の重要性を、食育と結び付けて伝えること! 食、それにつながる健康を考えた場合、歯科医院から発信できることは何でしょう?

冒頭にも述べましたが、口は食べ物が最初に入る器官。捕食→咀嚼→嚥下を担うのは口腔です。口腔機能を、私はハード面と捉えました。いくら食べ物に気を遣っても口腔機能が正しく使えていなければ、食育も片手落ちです。

口腔機能を語るには、やはり歯科衛生士が最適任者でしょう。そしてもう一つは多職種の方々が既に行っている食べ物についての指導。これを私はソフト面と捉えました。

歯科衛生士の食育
(1)口腔機能はハード面
(2)お口に入るものはソフト面

この2本柱を背負って“歯科衛生士が発信する食育”まっしぐら!となった私です。では、実際にどのように食育を取り入れているかをお話ししましょう。

先のDentWave.comさんの「衛生士インタビュー」でもお答えしているのですが、一番食育を身近に伝える事ができるのは、勤務先の中村歯科での臨床の場においてです。もともと中村歯科では、5年ほど前から小学生のMFTを行っておりましたが、当初は口腔機能を診査する際、その場で診る診査だけを行っていました。

しかし家庭での生活習慣を知る必要があると言う事を痛感し、生活習慣問診表を作成。普段の様子もこちらが把握できると、指導する事も具体的になってきました。そうなると、MFTで診療に訪れる子どもたち以外の患児や、その養育者にも漏らさず伝えていきたい!と思うようになり、院内で“食育”用のパンフレットや新聞を作成したり、養育者の方々とのお話しの中で食育について指導できることを、他のDHとも共用できるようにDHミーティングなどでも資料を準備したりしました。

そうなると、もっと多くの人に歯科衛生士の食育を伝えたい!という気持ちになり、地域のコミュニティセンターなどで、ボランティアですが食育活動をはじめました。

やはりお口の健康を考えてもらうには乳児から…と思い0歳児親子を対象に“赤ちゃんの時からお口の健康を考える集い”という活動を行っています。この活動を知った方が、講演を依頼してくださることもあり、育児サークルや生協などでもお話しする機会に恵まれたのです。

そして更に考えたのが、私一人で食育!食育!と言っていても、なかなか広がっていかないと考え、歯科衛生士のスタディーグループ「みんとの会」にある「みんとセミナー」で講師となり、歯科医師や歯科衛生士向けに、歯科保健指導に食育と口腔機能の話しをしています。

この活動がどんどん広がっていき、歯科衛生士が行う指導のスタンダードのひとつになるといいな、と思います。

では、実際の歯科医院からすすめる食育とは? それはまたつづきのお話しで…。

新着ピックアップ


第112回歯科医師国家試験の総評と今後の展望

難易度高過ぎ!?現役歯科医師らが歯科医師国家試験に物申す

医療広告ガイドライン対策