第31回 International Association for Dental Researchイグアスにて開催

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ブラジル側からのイグアスの滝への入り口 写真1: ブラジル側からのイグアスの滝への入り口

2013年6月19日の朝11時に自宅を出発し、現地時間、火曜日の午後4時にイグアスのMABUホテルに到着。時差はイグアスが12時間遅い。フライト時間は、成田—ワシントンが12時間、ワシントンーサウパウロが8時間、サウパウロ—イグアスが2時間であるが、待ち時間が長く、約40時間の長旅となっている。生まれて初めてのブラジルへの入国。ビザの取得と空港からホテルまでの送迎があることから今回はツアー会社に予約を頼みました。

今年の国際歯科大会(International association of dental research、IADR)は。当初、リオデジャネイロで開催予定であったが、イグアスに変更されている。イグアスには大きな滝があることはご存知の方も多いでしょう。私の研究グループから今回2演題を申請し両演題とも口演で採択された。一つは Dentin regenerationに 二つ目は Bone、Periodontal ligament,and stem cellsのセッションである。

Dentin regeneration のセッションにて発表した研究内容を解説したい。我々の研究内容は象牙質の塊を作ることを目標としたものであり、古典的な組織工学的手法を用いている。古典的な組織工学的手法とは、細胞と担体を用いて、組織を再生させる手法である。一方、象牙質塊とは、歯髄の結合組織を含まない歯冠や歯根に見られる象牙質のことと考えてください。では、どうして、象牙質塊を再生するのでしょうか?

今までの私の研究は、留学中から始まったことであるが、ブタ下顎骨から第3大臼歯を抜いて、その臼歯から歯髄と上皮と歯小嚢から細胞を分取して、歯を再生させるために、移植することで、完全な歯が再生できる手法を探索したが、なかなか困難であり、本当にその方法が見つかるのかが疑問になってきた。そこで、デンタルインプラントに変わる人工歯根を細胞から作ることができれば、現在、使われているチタン製インプラントに変わるものになると考えた。現在は、このような歯根を再生させるということを課題に複数の研究室から実験的な研究が報告されている。

我々は、まずは、その基礎となる象牙質塊を作製する技術を確立しようと考えたのです。次に、その方法を紹介しましょう。細胞の準備について説明したい。矯正治療のために抜歯が必要となった歯から歯髄組織を無菌的に取り出します。その後、取り出した組織をコラゲナーゼというコラーゲンを切断する酵素を用いて、細胞外マトリックスと細胞をばらばらにします。これで、歯髄組織から容易に間葉系細胞を得ることができます。しかし、幹細胞だけを回収するときは、抗体と大型の機械を用いています。

次の操作は、歯髄から取り出した細胞を担体に接着させることです。担体は市販されている生分解吸収性材料で作られたブロックを使いました。

必要な数だけ歯髄間葉細胞を培養液の中で増殖させます。1つの培養皿では数の確保に限界がありますので、植え継ぎという操作を行い10枚の培養皿に分けて、培養することで、多くの細胞を得ることができます。しかし、ヒトの細胞には増殖の限界があります。これを、細胞老化と言っています。大きな枠で言えば、寿命とよく似ている現象です。数多くの細胞を増やすことができたら、培養皿から細胞をはがします。これも、市販の試薬を使うことで簡単に細胞を壊すことなく、はがせます。はがした細胞を回収して、担体にしみこませます。培養液中に2時間ほど静置すると、生きている細胞は担体に接着します。死んでいる細胞が接着しません。培養液の中では細胞は硬組織を形成しません、そこで、体内に移植します。今回は免疫不全マウスの背中に担体を移植しました。免疫不全マウスはヒトの細胞を移植しても、免疫反応が起きないからです。今回使用した担体は、生分解性材料にハイドロキシアパタイトを混入させています。ハイドロキシアパタイトを混入していない担体も市販されているので、そちらに使用しましたが、硬組織は形成されませんでした。硬組織を形成する研究のほとんどが、担体の成分として、ハイドロキシアパタイトなどのリン酸系材料が用いられています。このことから、リン酸は間葉系細胞から象牙芽細胞への分化に必須な因子と考えられます。今回の実験では、移植後、動物専用のマイクロCTを用いて、担体内の硬組織形成を確認することができました。しかし、硬組織ができただけではなく、結合組織も担体内にできたことから、象牙質の塊だけを作ることもなかなか困難なのかなと感じています。歯の中の象牙質は歯髄と接合していることから、通常は歯髄ー象牙質複合体として一つの組織として見ていますので、象牙質だけを作るということは、生物学的に、実は難しいのかもしれません。まだ、顎の中に移植した経験はありませんので、担体内に再生した結合組織が、どのように影響するかは未知ですので、今後の課題となるでしょう。

6月21日木曜日に開かれたポスター発表の中で、象牙質に関連する発表の中で、気になる広島大学歯学部の発表がありました。マウスの細胞で前骨芽細胞が株価された細胞(MC3T3-E1)があります。株化した細胞とは、そのもともとの細胞の形質を変えずに増殖し続ける細胞のことです。つまり、いつも同じ状態の細胞を使うことができることから、実験はしやすい。反対にヒトの細胞などは、ヒトによって、細胞の特性が異なります。この前骨芽細胞に象牙芽細胞に特異的に発言しているデンチンシアロプロテインを培養液中に添加すると、なんと、象牙芽細胞に分化するようなのです。これは驚きです。この細胞で象牙質を作ることが可能となれば、歯の歯髄組織を使う必要がなくなります。ということは、歯を抜かなくてもよくなります。つまり、歯が無くても象牙質ができることになります。これは朗報なのです。

二つ目の私の研究発表については、機会を変えてお話しさせていただきます。

今回のIADRのビジネスミーティングで、Journal of dental researchのベストペパーの一つに大阪大学歯学部歯周病学講座の村上教授のグループが選ばれました。さらには、優秀若手研究者には、大阪大学歯学部補綴学教室の江草先生が選ばれています、日本人の活躍が目立っていました。

国際学会のもう一つの楽しみは観光です。イグアスとは「大いなる水」を意味する。ブラジルとアルゼンチンとの国境にある世界最大級の滝がイグアス川にある。幅約4000メートル、高さ約70メートルで、どちら側の滝もナイアガラよりも大きいようです。周辺の森林はすでに国立公園に認定され、アルゼンチン側は1984年に、ブラジル側は1986年に世界遺産(自然遺産)にも登録されています。今回は良い機会ですし、次に来る機会が無いかもしれませんので、、ブラジル側とアルゼンチン側の両側から見比べてみました。入園料は、ブラジル側が41レアルで、アルゼンチン側が130ペソでした。アルゼンチン側から見るときに、気をつけることとして、ブラジルに滞在していますから、アルゼンチンに行くには、パスポートが必要です。 さらに、公園の入場料の支払いはペソのみが有効なので、事前に130ペソを用意する必要があります。これらの諸事情を考えると、アルゼンチン側のイグアスの滝には、ツアーに参加した方が良いでしょう。ツアー料が50米ドルで、これに入園料が必要です。

初めにブラジル側のイグアス公園に行きました(写真1)。チケットを購入して中に入り園内のバスにて、5分ぐらい乗ると次の停留所が滝の観察地点であります。バス停から、滝のふもとまで、30分ぐらい滝を見ながらの散歩コースが作られています。途中、水しぶきが飛んでくるので傘もしくはレインコートを持参したほうが良いでしょう。最も、印象的な地点は、滝つぼに設置された橋から見上げる滝です。滝つぼの下に橋がありますので、レインコートは必須。カメラが壊れてしまわないかと心配しながらの写真撮影となります。2日前に豪雨があったので水量が多く迫力はありました。

イグアスの気候に少しふれましょう。南米と聞くと暑いというイメージを持たれるでしょうが、現在、6月は、こちらは冬です。空港からホテルまでの車中で、ガイドさんから、二日前の気温は0度だったこと、雪が降った場所もあったことなどを聞き驚きました。さらに、ここイグアスの標高は170メートル。事前にイグアスの案内を見ると標高170メートルと書いてありましたが、世界最大級の滝があることから、私はてっきり、山岳地帯、アマゾンをイメージしていたが、まった区の勘違いでした。この標高170メートルの位置から、滝の水は、下方に落下します。宿泊先のマブホテルから入り口までタクシーで15分ぐらい(片道40レアル、2000円)。帰りも数台のタクシーが待機していました。

次の日は、アルゼンチン側からイグアスの滝を拝見。ツアーのお迎えが、定刻よりも遅れてきて、ホテルを出ると、お土産屋に連れて行かれました。そこで、他のツアー客と合流かつ、前述したように、ペソに交換します。これを忘れると大変です。その後、お迎えの大きなバスが来て、アルゼンチンに向かいました。国境の手続きはガイドが行い、私がやることはパスポートを預けるだけです。それだけで、国境を越えれます。やはりツアーは楽です。公園の入り口に到着後チケットを購入し、園内の汽車に乗って15分ぐらい進みます。そこから約30分ぐらい歩くと滝に到着です。こちらは、滝つぼの上からの観察できます。水が下に落ちていくのを上から観察できるように橋が作られています。ブラジル側は滝が一つしか観察ポイントがありませんでしたが、アルゼンチン側は数か所の見るポイントがあり、園内に3時間ぐらい滞在します。かなり近くまでも行けるので、なかなか、ここまで来るのは大変だが、近くまできたら、足を運んでみる価値はあると思います。

次の日は、アルゼンチン側からイグアスの滝を拝見。ツアーのお迎えが、定刻よりも遅れてきて、ホテルを出ると、お土産屋に連れて行かれました。そこで、他のツアー客と合流かつ、前述したように、ペソに交換します。これを忘れると大変です。その後、お迎えの大きなバスが来て、アルゼンチンに向かいました。国境の手続きはガイドが行い、私がやることはパスポートを預けるだけです。それだけで、国境を越えれます。やはりツアーは楽です。公園の入り口に到着後チケットを購入し、園内の汽車に乗って15分ぐらい進みます。そこから約30分ぐらい歩くと滝に到着です。こちらは、滝つぼの上からの観察できます。水が下に落ちていくのを上から観察できるように橋が作られています。ブラジル側は滝が一つしか観察ポイントがありませんでしたが、アルゼンチン側は数か所の見るポイントがあり、園内に3時間ぐらい滞在します。かなり近くまでも行けるので、なかなか、ここまで来るのは大変だが、近くまできたら、足を運んでみる価値はあると思います。

次回のIADRは2013年3月20−23日米国シアトルで開かれる予定です。

ブラジル側から見るイグアスの滝

写真2: ブラジル側から見るイグアスの滝

滝の下に船でも行ける。

写真3:滝の下に船でも行ける。

フォーサイス研究所のオフィス棟のフロアーには,iPadがきれいに陳列されていた。

写真4: フォーサイス研究所のオフィス棟のフロアーには,iPadがきれいに陳列されていた。

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