「第15回 Nagoya Invisalign Meeting」(名古屋インビザライン・ミーティング)に参加して

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Nagoya Invisalign Meeting
▲第15回 Nagoya Invisalign Meeting(名古屋インビザライン・ミーティング)の様子
12月19日(木)、名古屋駅のとある貸し会議室にて、標記スタディグループの講演会が37名の参加者のもとに午後6時半より8時半まで開催された。
この会は、年に3回ほど開催されており、主催者は尾崎桂三先生である。
今回で15回となった。
 尾崎先生によると、同会の趣旨は、インビザラインの臨床応用を日々頑張っている先生同士で情報交換を前向きに行っていくための会。
参加は自由でオープンな会となっている。尾崎先生は、発足の経緯について『インビザラインの治療はまだまだ情報や学ぶ場が少なく、治療が予定通りいかず苦慮するケースも少なくはありません。そのような情報を前向きにシェアすることで、お互い臨床の糧にできるような場を作りたいという気持ちから発足致しました。 理念はずばり「シェア」です。』と説明してくれた。

さて、今回の講師は3名の矯正医の先生。ご自身で治療された症例を以下のテーマで発表があった。
最初は、福田先生による「インビザラインあるある」。インビザライン・アライナーを用いた日々の臨床のなかでちょっとした、またよくあるミスやトラブルなどについてのお話。なかでも初診相談では、最初に患者さんの気にしていることや要望などをしっかりと把握して、治療計画の立案に結び付けないと再治療の危険性があり、非抜歯治療から抜歯治療に変更したという症例の発表があった。その他、矯正治療に伴う『歯髄充血による歯の変色』などのリスクについて報告があった。
続いて、郷家秀昭先生から『Invisalign LiteによるⅡ期治療―Invisalign First以降について考えるー』のお話しがあった。早期の混合歯列期を対象にしたⅠ期治療において、リンガルアーチや拡大装置、機能的矯正装置などの使用により、多くの場合、Ⅱ期治療時に永久歯非抜歯かつ軽度な症例になる。 従って、通常の数十枚を要するフルのインビザラインではなく、14ステージで完結するInvisalign Liteを適用することが可能であり、 治療期間の軽減だけでなくコストも軽減できるというメリットを症例を交えて紹介した。一方で、ワイヤー治療では比較的簡単に治せると思っていても、アライナー矯正のメカニズムでは苦労する症例や、成長が残っている 骨格的Ⅲ級ケースについては、Invisalign Lite を適応することを慎重に判断すべき症例があることも述べていた。2年前より小児を対象にしたInvisalign Firstは、従来のⅠ期治療に代ろうとするものであるが、その後のⅡ期治療についてはまだ 未知数である。今回のInvisalign LiteによるⅡ期治療のお話は、それを示唆するものと思われる。
最後の講師は、牧野正志先生で、タイトルは『アライナー治療におけるアンカースクリューの必要性』についてであった。矯正治療において後方臼歯部のアンカースクリューの植立は、歯の遠心移動や圧下などに利用されるが、その植立部位と牽引力の位置関係から、必ず“圧下”の効果がある。したがって、もともと臼歯部の圧下を得意とするアライナー治療において真の効果を発揮するのは、過蓋咬合などの上顎前歯の圧下を目的として側切歯部に植立する場合であるとしている。
アライナー治療におけるアンカースクリューの必要性
アライナー治療におけるアンカースクリューの必要性
最後に、質疑応答や追加発言などがあり会場は大いに盛り上がった。実際に終了したのは夜9時近くであった。そのあとは、忘年会。
次回は、来年の3月26日(木)、夜6時半開始となっている。

筆者:大塚 純正 先生

略歴

昭和46年4月 福岡県立九州歯科大学入学
昭和52年6月 歯科医師免許取得
昭和大学歯学部歯科矯正学教室入局(前期助手)
昭和54年4月 同 助手
米国矯正歯科学会入会(American Orthodontic)
米国口蓋裂学会入会(American Cleft Palate Association)
昭和59年 4月 同 講師・昭和医療技術専門学校非常勤講師
平成 1年 6月 歯学博士
平成 5年 8月 日本矯正歯科学会 認定医・指導医取得
平成 6年 4月 育成医療指定医
(唇顎口蓋裂後遺症によるそしゃく機能に障害 のある者の意見書を作成する歯科医師)
平成10年 1月 日本頭蓋顎顔面外科学会
平成14年 1月 日本口蓋裂学会評議員(同IT委員会委員長)
日本頭蓋顎顔面外科学会理事
平成15年 3月 昭和大学退職
同年 4月 大塚矯正歯科クリニック開設
平成30年 5月 日本口蓋裂学会名誉会員現在に至る

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