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2020/01/07

[離島歯科医療第一弾] 離島歯科医療の現状に迫る!

マウスピース矯正スタディグループ様主催
▲ 離島での海沿いの朝日

離島歯科医療に携わる歯科医師・歯科衛生士

数ヶ月前、東京から飛行機を乗り継いで約3時間、九州の離島に降り立った。理由は、離島医療に従事している歯科医師や歯科衛生士の事情を知りたかったからである。
歯科医師過剰問題が世間で揶揄されているが、離島では歯科医師の高齢化に伴う歯科医師不足が問題となっている。歯科衛生士の雇用も非常に難しく、歯科助手を雇用せざるを得ない歯科医院が多いのが実情だ。
加えて、離島という土地柄、高齢化の進んでいる所が多く、全身疾患を有するために訪問歯科診療を必要とする患者も少なくはない。歯科医院も無ければ、歯科医院に行くこともできない。それが、私の目で直接みた離島での歯科医療の現実である。
本記事では、自身が離島医療を実際に体験して感じたことなども含め、離島での歯科医療について紹介したい。

離島の綺麗な景色や暖かい人情による癒し


▲ 至近距離で馬を見ることもできる

取材中、離島の様々な観光スポットにも脚を運んだ。都会に住んでいた期間が長いため、最初の滞在時は綺麗な海や空に感動したものである。道路を車で運転していると、イノシシや鹿が横切ることもある。馬や豚を飼っている小屋を見る機会も多い。島に来れば、都会では経験できない非日常を1日で沢山体験することができるだろう。
また、コミュニティも小さく集中しているため、人と人とのつながりも深い。患者と買い物で遭遇するなども日常茶飯事であり、患者の家族が経営しているレストランに行くこともある程だ。
もし、都会に住むことに疲れを感じていて離島に住んでみたいと感じているのであれば、まずは観光などで数日間離島に赴き、心を癒す機会を作ることをお勧めする。自然に毎日触れるのは飽きてしまうからだ。島に住むと、交通の便の悪さ、家屋の古さ、害虫などの問題もあり、すぐにドロップアウトして島を出ていく人も多い。観光(もしくは、プチ移住)を通じて、離島での生活に自分が合っているか否かを確認するのが良いと私は考えている。

離島歯科医療に従事する歯科衛生士


▲ 離島の海はいつ見ても、青くて綺麗
ある晩、島で離島歯科医療に従事する若い歯科衛生士数人に話を聞いてみた。歯科衛生士の求人倍率を考えればわざわざ島で就職しなくても良いはずだが、なぜ離島で歯科医療に従事することを決めたのだろうか?
取材の結果、婚約者の仕事の都合などで離島に引っ越して来た歯科衛生士も幾人かいるようだが、今回話を聞いたのはそのような事情を持たない若い歯科衛生士達だ。彼女達と食事を交えながら、内情を聞くことにした。
彼女達に島に来た動機で共通するのが「やりがい」である。島でゆっくりと、のどかに暮らしたかった訳では無さそうだ。いずれにせよ、骨を埋めるつもりで島に引っ越し歯科衛生士として働くというよりも、離島医療に興味があり、長い人生の中で一度経験してみたいという想いがあるのかもしれない。

離島歯科医療に従事することは人間として成長できる

離島歯科医療の現場を体験して必要になる能力が、「対応力」である。
例えば、クラウンや義歯などの技工物を発注しても2週間かかる。義歯の印象を採得し、バイトを採り、試適し、最終義歯を装着するまで、2ヶ月近くかかることもある。
歯周・保存治療などを補綴前に行うことを考慮すると、患者には義歯が完成するまで長期間辛抱してもらわなくてはならない。そのため、自身で咬合床や個人トレーを作成して、義歯装着までの期間を短縮し、できるだけ早く患者に義歯を装着してもらうような対応も求められる。
旧義歯を患者が持っているのであれば、新しい義歯ができるまでなんとか使ってもらう。真二つに割れた義歯や、上手く適合しない義歯は修理して使えるようにする。さらに、島という環境のため、在庫が無くなれば新しく仕入れるまで時間がかかる。海を渡る必要があるからだ。下顎の総義歯の難症例において軟質性裏層剤(ソフトリライナー)を使用することも多いが、在庫が切れていれば、粘膜調整剤(T.cond)で一定期間しのぐようなこともある。
実際、離島医療に従事してみて、現場での対応力が身についている実感もある。離島医療に従事することは自身を人間として、医療人として成長させる環境に身をおくこと、そのように実感している。
離島の多くの住民が歯科医療を必要としている。歯科衛生士はもちろんのこと、歯科医師も足りない。この記事により、離島医療に従事する歯科医療従事者が増えるきっかけとなれば、嬉しい限りである。
*諸事情により、本記事で紹介した離島の場所に関しては公表致しません。記事内の写真から、ぜひ推測してみて下さい。
古川 雄亮(ふるかわ ゆうすけ)
  • 日本矯正歯科学会 所属

東北大学歯学部卒業後、九州大学大学院歯学府博士課程歯科矯正学分野および博士課程リーディングプログラム九州大学決断科学大学院プログラム修了。歯科医師(歯学博士)。バングラデシュやカンボジアにおいて国際歯科研究に従事。2018年より、ボリビアのコチャバンバで外来・訪問歯科診療に携わり、7月から株式会社メディカルネットに所属。主に、DentWaveやDentalTribuneなどのポータルサイトにおける記事製作に携わり、2019年7月よりメディカルネットの顧問となり、現在は歯科臨床で活躍している。

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