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小児の治療 完遂するためのトレーニングとは|Tell show doの重要性

著:nishiyama /

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1.TSD法とは

TSD法の最初のステップ「Tell」では、これから行う治療の内容を子どもにわかりやすく説明します。子どもに対して専門用語を使わず、簡単な言葉で治療の流れや目的を伝えることがポイントです。例えば、「これから歯をきれいにするために、少しだけお口を開いてもらうね」といった具合に、親しみやすい言葉で説明します。

1-1.Tell: 説明する

TSD法の最初のステップ「Tell」では、これから行う治療の内容を子どもにわかりやすく説明します。子どもに対して専門用語を使わず、簡単な言葉で治療の流れや目的を伝えることがポイントです。例えば、「これから歯をきれいにするために、少しだけお口を開いてもらうね」といった具合に、親しみやすい言葉で説明します。

1-2.Show: 見せる

次に、「Show」のステップで、実際に使用する器具を見せることで子どもが治療に対して抱く不安を軽減します。器具を見せる際は、子どもが怖がらないように優しく、そして時にはユーモアに溢れた表現で話すことが効果的です。

例えば、「このブラシは歯をくすぐるためのものだよ」といった説明を添えることで、子どもの不安を和らげます。

1-3.Do: 実際に行う

最後に、「Do」のステップで、子どもに説明した通りの手順で治療を開始します。ここでは、事前に伝えた情報通りに進行することで、子どもに安心感を与えます。また、治療中には子どもの反応を注意深く観察し、必要に応じて声をかけたり、励ましの言葉をかけたりすることで、子どもがリラックスできる環境を作ります。

2.TSD法の効果

TSD法を用いることで、子どもは治療に対する理解を深め、自ら進んで治療を受け入れることができます。これにより、治療の成功率が向上し、子どもたちの歯科医療に対する抵抗感を減少させることができます。また、保護者も安心して子どもの治療を任せることができるため、全体的な診療の効率も向上します。

3.実践のためのポイント

3-1.環境の整備

子どもがリラックスできる環境を整えることが重要です。明るく親しみやすい診療室の雰囲気づくりや、診療スタッフが笑顔で対応することが、子どもの安心感を高めます。

3-2.継続的なコミュニケーション

治療中だけでなく、治療前後にも子どもとのコミュニケーションを大切にすることで、信頼関係を構築します。子どもが気になることや不安に感じていることを積極的に聞き出し、適切に対応することが重要です。

3-3.保護者へのアドバイス

保護者に対しても、治療の内容や進行について詳細に説明することで、子どもの心のケアに協力してもらいます。また、家庭での口腔ケアについてのアドバイスを行い、子どもの健康を総合的に支援します。

4.TSD法を使った実際の診療

多くの子どもは「do」ステップに進むことに不安を感じることがあります。この場合、歯科衛生士は「Show」の時間を長くし、子どもが器具に慣れるようにします。器具に触れることができそうな場合は、子ども自身に触れてもらうことも効果的です。

さらに、保護者の口の中で実際に器具を使ってみせることや、ぬいぐるみを使ってデモンストレーションを行うことも有益です。これらの方法は、子どもが実際の治療を想像しやすくなり、恐怖心を軽減する助けとなります。

傾向としては、女児の方が普段からおままごと遊びなどをしているため、「Tell Show Do」の手法を受け入れやすいことが多いです。このような遊びを通じて、彼女たちは物事のプロセスを模倣することに慣れており、歯科治療においても同様に理解し、受け入れることができるのです。

男児の場合は、興味のないことには見向きもしない傾向が高いです。

興味を持ってくれない時は、無理に器具を見せても逆効果の場合もあります。

男児が別のおもちゃなどで遊びたがってる場合は、邪魔をせずに見守り、歯科医院で同年代の子どもがどのように治療を受けているのか徐々に教えていきましょう。

5.TSD法が適切でない場合

TSD法がそもそも向いていない子どももいます。

そのような子どもには、系統的脱感作法を用いることも1つです。

系統的脱感作法とは、心理療法の一つで、

特に不安や恐怖症の治療に用いられる技法です。この方法は、恐怖や不安を引き起こす刺激に対して徐々に慣れていくことで、その感情を軽減することを目的としています。

例えば、

①チェアに座って1人で歯磨きをする

①ができたら、②チェアを45度に倒して1人で歯磨きをする

など少しずつ行うことの難易度を上げていく方法です。

おわりに

TSD法は、小児歯科治療において非常に効果的な方法であり、子どもの治療への不安や恐怖を軽減するための重要なツールです。歯科衛生士として、この方法を活用し、子どもたちが安心して治療を受けられる環境を提供することが求められます。

今後も様々な行動変容法を活用し、子どもと保護者の心のケアに努めていくことが、歯科医療の発展につながります。

Introduction

著者紹介

nishiyama

歯科大学歯科衛生士学科卒業後、小児患者や障害者の歯科診療体制や、歯科恐怖症患者について学ぶため歯科大学付属の専攻科へ進学し口腔保健学学士を取得。その後は小児歯科専門歯科医院にて勤務。歯科衛生士ライターは「歯科に苦手意識を持っている人が媒体を通して理解し、歯科を身近に感じることで歯医者に行ってみよう」という気持ちになることを後押ししたいという思いから学生時代に始めた。