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※本記事は、株式会社 Oh my teethからの調査データ・研究成果の提供をもとに構成しています。

マウスピース矯正ブランド「Oh my teeth」を展開する株式会社 Oh my teeth は、矯正治療経験者457 名を対象に、費用や意識に関する実態調査を実施しました。調査結果からは、当初は「見た目」を重視していた層が、ライフステージを経て「噛み合わせ」や将来の健康維持といった機能面を重視する傾向へと移行していく実態が示唆されています。

本調査は特定企業によるアンケートではあるものの、矯正患者の意思決定や費用感の変化を示す資料として一定の示唆を与えるものといえるでしょう。

矯正費用は二極化へ?457名調査が示す「部分矯正志向」と意思決定の実態

著:Dentwave /

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「矯正」が医学的ニーズ(Need)のゲートウェイになる理由

厚生労働省の調査では、義務教育下での学校健診が終了した後の20代前半において、歯科受診率が大きく低下する「受診行動の断絶」が指摘されています。この世代は、就職や転居といったライフイベントの影響で受診の優先順位が下がり、口腔管理が生活習慣から脱落する「受診の空白地帯」となりやすい時期です。

自覚症状がないまま歯周病リスクが進行する「サイレント・ディジーズ(静かなる病気)」が深刻化しやすい層でもあり、実際に15~24歳の歯周ポケット保有率は2011年からの約13年で約3倍に急増しています。

こうした状況下で、近年、歯科矯正は若年層が歯科医療と再び接点を持つための「ゲートウェイ(入り口)」としての役割を担う可能性が考えられます。

歯科矯正利用者の約36%が既存の歯科医療網から漏れていた未受診層であるというデータもあり、個人の「見た目を整えたい」という審美的な欲求(Want)が、結果として検査や通院を通じた医学的ニーズ(Need)へと変換される仕組みが注目されています。


引用:令和6年 歯科疾患実態調査結果の概要

調査から見えた「いまの歯科矯正」4 つのポイント

1. 費用帯の分散が進んでいる可能性が示唆

実際にかかった治療総額は、「100万円以上(23.4%)」が最多となる一方で、約 4 割が「40 万円未満」で完了しているという実態があります。この差は主に治療範囲に起因しており、部分矯正を選んだ層の約7割は40万円未満で治療を終えています。

デジタル技術の進歩により、事前にシミュレーションで「どこまで治るか」を確認できるようになったことで、自身の予算に合わせて「気になるところだけを直す」、つまり、“部分矯正”を選択する患者が一定数存在することがうかがえます。

2. 年齢とともに変化する、「見た目」から「機能」への意識

どの世代でも共通して約4割が「噛み合わせ」に悩みを抱えていますが、歯並びの悩みは世代によって異なり、若年層ほど「ガタガタ」などの審美面を気にする傾向にあります。対して40代以降になると、見た目の変化を健康リスクとして捉え、噛み合わせなどの「機能面」を重視する声が突出します。

矯正の目的がライフステージに応じて「印象の向上」から、将来の健康寿命を見据えた「口腔環境の維持・管理」へとシフトしていく様子がうかがえます。

3. 「前歯だけ」という理想と、医学的判断による「全体矯正」のギャップ

検討初期には3人に1人が「前歯だけの部分矯正」を希望していますが、実際には過半数が「全体矯正」を選択しています。これは、コスパを重視したいという消費者のニーズに対し、噛み合わせや将来の健康を考慮した「医学的な必要性」が交差するためです。

自分に何が必要か判断に迷う層も4人に1人存在しており、歯科医師による透明性の高い診断と、それに基づく納得感のある選択が、治療開始の重要な鍵となっています。

全体のまとめ

歯科医療への「再接続」を健康維持の契機に

今回の調査から、歯科矯正が「受診の空白地帯」にいる若年層などを歯科医療現場へ呼び戻す、重要なゲートウェイ(入り口)として機能している実態が明らかになりました。利用者の約 36%が既存の歯科医療網から漏れていた未受診層であり、矯正への関心が口腔ケアを再開する大きなきっかけとなっています。

その目的はライフステージに応じて変化し、若年層では将来への投資、40代以降では健康維持を見据えた機能重視へとシフトしていく傾向が顕著です。一方で、消費者の希望と医学的判断の間に存在する「認識のギャップ」を埋め、納得感のある選択肢を提示することが、今後の重要なテーマとなります。

歯科矯正を入り口として再開された受診行動を、いかに定期的な口腔管理や予防へとつなげていくか。これは今後の歯科医療全体にとっての課題とも言えるでしょう。自身の理想と医学的視点を照らし合わせ、生活者が柔軟に、かつ納得感を持って医療を選び取る時代が始まっています。

考察

部分矯正ニーズの高まりは、デジタル技術の進展や価格の透明化といった市場構造の変化とも無関係ではないと考えられます。

なお、本調査は矯正経験者を対象としており、対象者の属性や調査設計によって結果が影響を受ける可能性があります。業界全体の動向を判断する際には、他の統計資料とあわせて多角的に捉える視点が求められるでしょう。

株式会社 Oh my teeth について

2019年10月に設立したオーラルテックベンチャーです。テクノロジーに精通したメンバーと歯科矯正の専門家が協力し、新しい歯科体験の実現に取り組んでいます。日頃ご支援いただいている皆さまのおかげで、2026年1月には累計卒業生が1.6万人※を突破しました。
※2026年1月現在で実際に矯正を完了された数の合計

この1.8万人を超える膨大な臨床データや、受診に至るまでの消費者の心理的動向などを常に分析し、知見を蓄積しているのが大きな特徴です。これらのデータ分析に基づく客観的・専門的な情報を積極的に世の中へ発信することで、歯科矯正業界のさらなる健全化を推進し、誰もが納得感を持って正しい情報にアクセスできる環境づくりに貢献してまいります。

今後も、歯科矯正に関する最新の動向や興味深い調査結果などをまとめたニュースレターを、毎月1回発信してまいります。

会社概要

会社名:株式会社 Oh my teeth
代表者:代表取締役 CEO 西野 誠
本社所在地:東京都新宿区築地町 19-4 オーナーズビル神楽坂
設立日:2019年10月18日
資本金:5,902,100 円
事業内容:マウスピース矯正ブランド「Oh my teeth」の企画・開発・運営
URL:https://www.oh-my-teeth.com/
提携クリニック:表参道・新宿・有楽町・池袋・大阪心斎橋・大阪梅田・名古屋名駅・福岡博多・北海道札幌・広島

情報提供

本記事は、株式会社 Oh my teethから提供された調査データおよび研究成果をもとにDentwave編集部が構成しました。

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著者紹介

Dentwave

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