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これは、歯科医院を含むすべての医療機関に影響する重要な変更点です。
【12月2日:原則廃止】マイナ保険証「利用率3割未満」で迎える保険証の終焉と現場の混乱
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制度移行の現状と期限
1. 従来の健康保険証の終了
最大の変更点は、従来の紙やカード型の健康保険証が、昨日(2025年12月2日)以降、原則として利用できなくなったことです。
政府は、2024年12月1日までに発行された従来の保険証について、最長で昨日(2025年12月2日)までを有効期限とする経過措置を設けていました。これにより、すべての国民は本日以降、以下のいずれかの方法で受診することが基本となります。
2. 今後の受診方法
昨日以降、医療機関や薬局を受診する際に提示が求められるのは、次の2つのうちいずれかです。
①マイナ保険証:健康保険証として利用登録を済ませたマイナンバーカードです。
②資格確認書:マイナンバーカードを持っていない、または利用登録をしていない方に対して、保険者(健康保険組合など)から申請不要で無償で交付される紙またはカードです。
この資格確認書があるため、マイナンバーカードを持たない方も、保険診療を受けられなくなるという事態は避けられる仕組みとなっています。
3.従来の健康保険証に関する暫定的な取り扱い
従来の健康保険証の有効期限は昨日(2025年12月2日)まででしたが、現場の混乱を避けるため、特に移行期間中の柔軟な対応が示されています。
厚生労働省は、制度移行の混乱を避けるための暫定的な対応として、2026年3月31日までの間、期限切れとなった従来の健康保険証でも、医療機関の窓口で提示された場合に、保険資格の情報が確認できれば、通常の1~3割の自己負担で保険診療を行うことを認める通達を出しています。
この特例措置は、患者さんの資格情報がまだオンラインで確認できていない場合や、マイナ保険証の利用手続きに時間がかかっている場合など、移行期特有のトラブルを避けるためのものです。
医療機関側の協力 医療機関に対しては、この暫定措置を適用しつつも、患者さんに対し「次回以降はマイナ保険証または資格確認書を持参するよう」働きかけることが求められています。
マイナ保険証の利用方法とメリット
マイナ保険証を利用することには、大きく分けて三つのメリットがあります。
1.医療の質の向上
過去の特定健診の結果や、これまで処方されたお薬の情報を、ご本人の同意の上で、医師や歯科医師、薬剤師とスムーズに共有できます。これにより、重複した投薬や飲み合わせの悪い薬の処方を避けられるほか、患者さんの体質や既往歴に基づいた、より総合的で安全性の高い医療サービスを受けやすくなります。
2.医療費負担の軽減
窓口での自己負担額が、従来の保険証を利用した場合と比較して安くなります。従来の保険証で受診する際に加算されていた費用が、マイナ保険証を利用することで軽減されるため、結果として患者さんの経済的な負担が少なくなります。
3.各種手続きの簡素化
引っ越しや転職などで保険証が変わった際も、マイナンバーと保険資格の情報が自動で連携・更新されるため、医療機関の窓口で新しい保険証の提示を待つ必要がなくなります。さらに、高額な医療費がかかる場合、役所に限度額適用認定証を事前に申請する手続きが不要になり、窓口での支払いが最初から自己負担限度額までで済みます。また、確定申告(医療費控除)の手続きも、マイナポータルから医療費の記録を簡単に取得できるため、大幅に簡略化されます。
移行の進捗状況
移行には、国民の利用と医療機関のシステム導入の2つの側面があります。
1.国民の利用率(実際に使われている割合)
利用率は伸び悩みの傾向:
2025年2月時点の公表データによると、マイナ保険証の利用率は約26.62%と、依然として低い水準になります。
特定の健康保険組合では利用率が49.5%に達する例もありますが、全体としては全受診者の約4分の3は、従来の保険証や資格確認書、またはマイナ保険証以外の方法で受診している状況です。
特に現役世代や若年層は受診機会が少ないため、マイナ保険証の利用率が低い傾向にあり、今後の促進が課題とされています。
「資格確認書」がカギ:
昨日以降、従来の保険証が使えなくなったことで、マイナ保険証を持っていない方には保険者から資格確認書が交付されます。この資格確認書がどの程度普及・利用されるかが、今後の窓口対応に大きく影響します。
2.医療機関のシステム導入率
オンライン資格確認の導入は義務化:
医療機関(病院、診療所、歯科医院など)には「オンライン資格確認」システムの導入が原則として義務付けられています。
導入率は最終的に高い水準に達していますが、一部の施設では依然として機器の不具合や導入の遅れが見られ、「患者がマイナ保険証を持参しても利用できない」ケースが発生する原因の一つとなっています。
医療従事者に対する負担と課題
医療現場では、システム導入や移行によって、新たな業務負担や窓口での混乱が生じているという声が多くあります。
1. 窓口業務の増加と混乱
資格エラーへの対応:
顔認証付きカードリーダーで「無効」と表示される、顔認証ができない、電子証明書の期限切れといったシステム上のエラーが日常的に発生しています。
これらのエラーが発生した場合、職員は患者から状況を聴取し、保険者に電話で確認するなどの手作業が発生し、窓口業務が煩雑化します。
保険資格が確認できない場合、患者に一時的に10割負担をお願いする必要があり、患者とのトラブルや対応負荷につながっています。
操作サポートの必要性:
特に高齢の患者さんなど、カードリーダーの操作(顔認証や暗証番号入力)に慣れていない方への操作説明や補助に、多くの時間が割かれています。
2. システム・機器の課題
機器の不具合や操作性の問題:
カードリーダーの読み取りエラー(例:カードが袋に入っている、逆光、近づき過ぎ)や、機器の起動不良などのトラブル報告があります。
次期型カードリーダーでは改善が検討されていますが、現在の機器仕様が窓口業務の混乱の一因となっています。
3. 信頼回復への対応
情報紐付けの誤り問題:
過去に発生したマイナンバーと保険資格情報の紐付け誤りの報道により、患者側のマイナ保険証への不信感が根強く残っています。
医療従事者は、この不安を解消しながら、制度のメリットを説明し、利用を促すという心理的な負担も抱えています。
総じて、医療従事者は「より良い医療」のメリットを理解しつつも、現状ではシステムや手続きの不安定さによって、受付業務の負担が著しく増大しているのが現状です。
まとめ
従来の保険証が原則として利用できなくなった今、マイナ保険証への移行は待ったなしの状況です。
一方で、現行の利用率の伸び悩みや、医療現場での資格エラー対応による業務負担の増大という課題も浮き彫りになっています。
私たちは、このデジタル化の流れを単なる義務ではなく、より正確で、より低負担な医療を実現する機会として捉えるべきです。政府、医療機関、そして国民一人ひとりが協力し、課題を一つずつ解消していくことが、未来の医療体制を築く鍵となります。



