第14回 歯の再生‐マウス歯胚組織と細胞を組み合わせた歯の再生‐その2‐

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 シャープ教授らが考案した歯の再生方法は、胎生期の自然に起きる歯の初期発生をヒントにしています。マウスにおいて、胎生期10日目の初期歯胚は、上皮組織が歯の誘導能を持っています。この上皮組織を使って歯の再生への可能性を示しました。

 初期の歯胚上皮組織は胎生10日目の胎児の下顎から第1臼歯を取り出します。この初期歯胚から間葉組織をはずして間葉組織をはずして破棄することで上皮組織だけにします。破棄した歯胚の間葉組織の代わりにES細胞、成体の骨髄間葉系幹細胞、そして、神経幹細胞をそれぞれ必要な細胞数を集めて、高回転で細胞群を遠心させて、小さな細胞塊にします。これで、ES細胞塊、骨間葉系幹細胞塊と神経幹細胞塊ができます。これらの細胞塊をそれぞれ、先ほど残した歯胚上皮組織と組み合わせて、擬似歯胚を作ります (図1)。この擬似歯胚を数日間培養皿上で培養すると、歯の発生初期に発現する遺伝子が発現してきました。この結果は、ES細胞、骨髄間葉系幹細胞そして神経幹細胞が初期歯胚の上皮組織からの信号によって、歯胚中に存在するような間葉系細胞に分化したことが推測されます。

(図1)

 この推測から、初期歯胚上皮組織と細胞塊を組み合わせた擬似歯胚から歯が再生すると考えて、この擬似歯胚を免疫不全マウスの腎臓の皮膜下に移植しました。移植後12日に取り出すと、予想通り、この組織と細胞を組み合わせた擬似歯胚から歯牙が再生しました。この再生歯の歯冠の形態は天然歯と類似していました[1]。この結果から、歯胚上皮組織に相対する間葉細胞は歯胚の細胞でなくても、歯が再生することがわかりました。つまり、胎生期の初期歯胚の上皮組織には、歯胚を形成するための必要な多くの信号が含まれ、初期の歯胚上皮組織さえ手に入れることが可能となれば、歯胚の間葉細胞は必要ないことがわかりました。これは、新しい細胞源を見つけたことになり、歯の再生の可能性の幅が増えたといえますが、どのようにして、胎児から初期歯胚を得るかは、今後の課題と思われます。

 さらに、シャープ教授らはこの擬似歯胚を成体のマウスの口腔に移植しました。マウスには、通常、歯の無い部位が切歯と臼歯の間にあり、この部位をディアステーマと呼んでいます。このディアステーマにこの擬似歯胚を移植すると、移植後3週にて、歯が再生していましたが、再生歯の形態は天然の歯の形態と少し異なっていました [2]。ヒトの歯は、部位によって形が異なります。再生歯の形態をどのように決定するかについては、まだ、わかっていません。

参考文献

(1) Ohazama A, Modino SA, Miletich I, Sharpe PT. Stem-cell-based tissue  engineering of murine teeth. J Dent Res l2004;83: 518-22. (2) Sharpe PT, Young CS. Test-tube teeth. Sci Am l2005;293: 34-41.

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