第1回 再生医学とは

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 再生医学は、元の体に戻りたいという人間の欲望から生まれてきたものかもしれません。現在、組織や臓器が自己で修復できない大きさの損傷を受けたときには、組織や臓器の移植を行うことになりますが、提供者の不足を解決することはできていません。一方で、生体材料(人工材料)も組織が欠損した部位や臓器の機能が失った場合に用いられていますが、長期間体内に存在することは感染する危険性などの課題が残っています。今考えられる理想的な組織や臓器の修復方法が再生医学と考えられています。    再生医学とは細胞を積極的に利用して、組織や臓器の機能を改善しようとする研究です。つまり、必要な細胞、組織や臓器を体外の実験室や工場で増殖させて生産することができれば、出発点となる細胞や組織をどこから入手するかという問題点は残るにしても、失った組織をもう一度取り戻すことができます。これは、一つの理想的な治療方法といえるのではないでしょうか。    ヒトは加齢にともない運動機能、感覚機能、内蔵機能や記憶力などが低下し、さらに悪化すると寝たきりとなります。超高齢化社会を迎える日本にとっては、これらの生理機能の低下を回復するための新しい治療法の開発は、国民の健康と福祉の向上という観点から緊急の課題です。再生医学はそれらの治療技術を開発するための学問としても大きな期待を集め、この再生医学によって開発された治療方法を再生医療と呼んでいます。再生医学の発展は高齢者の疾患だけでなく、けがや遺伝子の異常による疾患の治療にも応用が期待されています。第2回は、再生医療ではよく使われているティッシュエンジニアリングの概念について解説します。

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