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TBIを何度行なっても改善されない患者への対応法「TBIを行う際のポイント」

TBIを何度行なっても改善されない患者への対応法「TBIを行う際のポイント」

前回は、TBIを何度行なっても改善されない患者への対応法「患者を理解するための問診」について解説させていただきました。
今回は、「TBIを行う際のポイント」について解説させていただきます。

TBIを行う際のポイント

指導するときはこれまでのブラッシング習慣について否定することなく、できるだけ日常生活に負担の少ない方法で効果的にプラークコントロールできるようなプランを立てる必要があります。

まずは褒める

口腔内を見て「絶対ブラッシングしてきていない」と思うことがあるかもしれません。しかし「汚れている」「磨けていない」などの否定的な言葉は患者の心を傷つけ、モチベーションを下げてしまうため避けるようにしましょう。「頑張ってブラッシングしていますね」「前歯の汚れがきれいに取れていますね」など、まずはできているところを見つけて褒めましょう。それから「右の奥だけは磨きにくいみたいですね」など、磨き残しのある所を指摘すれば耳を傾けてもらいやすくなります。明らかにブラッシングしていない患者は、その場でブラッシングしてもらってブラッシング方法をチェックしたり、染め出しを行って可視化するのも良い方法です。

ブラッシングは気持ちが良いものだと理解してもらう

普段のセルフケアで汚れが十分に取れていない場合、術者磨きを行い「ブラッシングすると気持ちが良い」という感覚を覚えてもらうのも効果的です。

わかりやすく伝える

最初から一度にたくさんの内容を指導すると患者のモチベーションが下がる原因になる可能性があります。1回1部位だけや1回5分以内などワンポイントアドバイスのように簡潔にわかりやすく伝えることを心がけましょう。

できるようになるまで伝え続ける

正しいブラッシング習慣を定着させるのは簡単なことではありません。褒める→指導するの順で根気よく繰り返しTBIを行い、患者のモチベーションを維持しましょう。

患者の生活背景を重視する

私たち歯科衛生士は「毎食後必ず磨かなくてはいけない」 と完璧を求めてしまいがちです。しかし患者にはライフステージや生活リズム、環境などによりさまざまな事情があります。普段の生活や体調などを聞き取りながら、1日の中でブラッシングができる時間を一緒に探してみましょう。

最後に

患者によって口腔内への関心度やブラッシングが定着しない理由はさまざまです。患者によってモチベーションが上がるまでの差があるので、根気よく繰り返し指導を続けていくようにしましょう。

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プロフィール
執筆 高山 由衣

日本大学松戸歯学部附属歯科衛生専門学校卒業。歯科衛生士免許取得後、一般歯科、予防歯科、訪問歯科を主軸に勤務。現在、臨床業務を行いながら、医院の仕組みづくりやスタッフ育成、チームマネジメントに携わる。2021年7月歯科衛生士のオンラインサロン「99.99〜フォーナイン〜」を立ち上げる。
Instagram @yui_takayama/

校正・編集者 浜崎実穂

東京医科歯科大学卒業後、都内歯科大学病院に勤務。退職後はフリーランスの「歯科衛生士ライター」として活動し、ライターの指導や教育、ディレクションも行う。自身で制作・運営を行なっていた歯科メディアは販売を達成。大学の卒業研究では日本歯科衛生学会の学生研究賞(ライオン歯科衛生研究所賞)を受賞。現在はDentalMonitoringJapanに勤務し、2児の母でもある。
Instagram:@toothteethtokyo

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