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TBIを何度行なっても改善されない患者への対応法「患者を理解するための問診」

TBIを何度行なっても改善されない患者への対応法「患者を理解するための問診」

「TBIを何度行っても改善されない患者」に頭を悩ませた経験はありますか?歯科治療はブラッシングに始まりブラッシングに終わるとも言われますが、TBIを嫌がる患者や日々のブラッシングをおざなりにしている患者は少なくありません。また毎日ブラッシングをしていても、正しく磨けていない患者も多くみられます。今回はTBIを何度行なっても改善されない患者への対応法として、患者側に原因がある場合について解説します。

ブラッシング習慣が定着しない理由

患者にブラッシング習慣が定着しない場合、理由として下記のようなものがあげられます。

✔ブラッシングをしなくても痛くならないから
✔ブラッシングをしなくてもう蝕ができていないから
✔親にブラッシング習慣がなく、子供の頃からブラッシング習慣がないから
✔ブラッシング自体が面倒だから
✔キシリトールガムを噛んでいれば問題ないと思っているから
✔食事を抜いたときはブラッシングの必要がないと思っているから
✔ブラッシングをすると歯肉から出血するから
✔精神的、身体的理由で自身でブラッシングすることができないから

患者を理解するための問診

ブラッシング習慣を定着させるには、まず患者のことを理解していなければいけません。患者のことをより多く理解しようという「聴く姿勢」で下記の項目を問診し、効果的な指導につなげましょう。

📌1.現在のブラッシング習慣・使用している歯ブラシの確認
1日のブラッシングの回数や1回のブラッシングにかける時間を聞くことでブラッシングへの意欲がわかります。 普段使用している歯ブラシや歯磨剤が適切なものかどうかもしっかり確認しておきましょう。なお歯ブラシの特徴を明確に伝えられる方は少ないため、実際に使用している歯ブラシを持参してもらい確認するのも良い方法です。歯ブラシの状態からその方のブラッシングの癖や歯ブラシの交換頻度なども推測できます。

📌2.TBIを受けた経験の有無の確認
過去にTBIを受けた経験の有無を確認しましょう。受けた経験がある場合は下記の内容を併せて確認します。
・いつ頃受けたのか
・その内容を覚えているか
・そのブラッシング方法を実践しているか
過去の指導内容に修正が必要な場合はその理由を説明し、新たな内容でTBIを行いましょう。

📌3.患者の生活背景の把握
ブラッシング習慣だけでなく、生活全般についてどんな1日を送っているかを確認することも重要です。仕事や育児、介護など多忙なために磨けていない環境にあるかもしれません。また、喫煙・間食の習慣や健康のためにお酢を飲むなどの食習慣がないかどうかも確認しましょう。趣味や嗜好のことなども、患者指導のヒントになることがあります。

📌4.患者の気になることの把握
TBIの際に「他に何か気になることはありませんか?」と聞いてみましょう。「先生には聞きにくいけれど…」や「実は歯の色が気になる」というような隠れた主訴が見つかることがあります。患者の「気になること」にいち早く気付き情報を提供できると、患者の満足度が上がりTBIも聞き入れてもらいやすくなります。患者との信頼関係を築いていく上で、常に患者の要望を聞きそれに対応することは大切です。

次回は、「TBIを行う際のポイント」について解説いたします。

プロフィール
執筆 高山 由衣

日本大学松戸歯学部附属歯科衛生専門学校卒業。歯科衛生士免許取得後、一般歯科、予防歯科、訪問歯科を主軸に勤務。現在、臨床業務を行いながら、医院の仕組みづくりやスタッフ育成、チームマネジメントに携わる。2021年7月歯科衛生士のオンラインサロン「99.99〜フォーナイン〜」を立ち上げる。
Instagram @yui_takayama/

校正・編集者 浜崎実穂

東京医科歯科大学卒業後、都内歯科大学病院に勤務。退職後はフリーランスの「歯科衛生士ライター」として活動し、ライターの指導や教育、ディレクションも行う。自身で制作・運営を行なっていた歯科メディアは販売を達成。大学の卒業研究では日本歯科衛生学会の学生研究賞(ライオン歯科衛生研究所賞)を受賞。現在はDentalMonitoringJapanに勤務し、2児の母でもある。
Instagram:@toothteethtokyo

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