加藤先生スライド

 加藤と申します。今日私は「歯科領域の遠隔医療&オンライン診療」の基本についてお話させていただこうと思っております。
 私の紹介をさせていただくと、遠隔医療やAI、デジタルヘルスの領域を専門の医師をしております。現在デジタルハリウッド大学大学院というところで客員教授をしながら、アイリスという会社ではAI医療機器を作っており、歯科領域ですとメディカルネットの社外取締役をしております。
スライド P2
 医師、経営者の他に、現在5つの大学教員として今は5つの大学で教員をしております。そして、厚労省に出向していた経験があり、最近ではYouTubeで「Dr加藤のデジタルヘルスChannel」としてセミナー配信をしています。遠隔医療は自分の専門の一つで、元々2013年頃から眼科医で眼科と非眼科医を繋げるDtoD(Doctor to Doctor)の遠隔医療サービス「メミルちゃん」を行っていました。現在は遠隔医療学会の運営委員や分科会長もしています。
 今日は様々な方がセミナーを受講されていると思いますので、歯科領域のオンライン診療に関してしっかりと基本からお話ししていこうと思っております。

スライド P3
 まず、遠隔医療についてお話しさせて頂きます。遠隔医療は大きく2つに分かれます。上にあります「DtoP遠隔医療」と下にあります「DtoD遠隔医療」になります。簡単に言いますと、DtoP遠隔医療とは通常患者さんと歯科医ではブースに来ていただき対面して診察を行いますが、対面ではなく通信機器を通してテレビ電話など、オンラインを通して診察を行うものになります。処置などは出来ませんがオンラインで患者さんとお話しをしたり患者さんの状態を伺ったりするやり方を「オンライン診療」、「遠隔診療」と言います。
 そして下の「DtoD遠隔医療」と言われるものは、患者さんの診察をしている医師が「分からない」、「難しい」などという場合に、実際の臨床で行われていることも多いかと思われますが、自分の先輩の先生や、自分より他領域に詳しい先生に話を聞き、所見を教えてもらい、そしてその教えてもらった所見で患者さんの診察をしていくということを言います。医師の間で助言を受け、そして診察をしていくやり方を「DtoD」Doctor to Doctorで、上述の「DtoP」がDoctor to Patient、つまり医師から患者さんへという形の診療形態になっていきます。
 このように遠隔医療は大きく分けて医師と医師とが繋がるもの(DtoP)、医師と患者さんが繋がるもの(DtoD)がありますが、今日はどちらかというと医師と患者さんが繋がっていくオンライン診療(DtoP)というところを中心にお話しをさせていただきます。

スライド P4
 そしてオンライン診療、制度の整理といっておりますが、今日ご説明するのは大きく3つになります。
 まず右側は医療相談といわれるものですが、これは医療行為ではないものになります。患者さんと話をしたときに医療行為ではなく、歯科医師法で医療行為かどうかというところが歯科医師法20条で決まっておりますが、医療行為ではないものが医療相談となっていきます。
 診療のところ、診察や治療の医療行為が左側になりますが、医療行為の中でも保険で保険診療のものと自由診療のもの自費診療のもので大きく健康保険法で分かれております。オンライン診療と言いますと、診療である医療行為で保険診療でのオンライン診療、そして自由診療でのオンライン診療、そしてもうひとつ一番右の医療行為でない遠隔健康医療相談という3つに分かれていくということを理解してもらえればと思います。
 今日は制度の領域を中心に歯科のオンライン診療、遠隔医療の領域というのは皆さんご存知の通り厚生労働省が担当しておりますが、その中でもどういう部局が担当しているのかというところがとても理解に役立ちます。

スライド P6
 厚生労働省の部局はこのくらいあります。厚生労働省はもともと厚生省と労働省が統合されたものです。右側の方が労働系で、左側の方が厚生系で、病院や医療系のところになります。私自身、左上の医政局の研究開発振興課というところに居た経験があります。ざっくりと言うとこの厚生労働省の部局の中で歯科の遠隔医療、オンライン診療に関係してくるのは、医政局と保険局の2つになってきます。この医政局というのは何を行っているかというと、漢字を見てもらえれば分かるかもしれませんが、医療の政策などを考える医療政策の部局になります。下の保険局とは保険診療に関わる部局なっていきます。
 医政局の中でも特に私は医師なので、医師の場合は医師法となりますので医事課というところが行っておりますが、歯科の場合は歯科医師法または歯科衛生士の方だと歯科衛生士法に関しては医政局の中の歯科保険課というところが担当しております。
 また、保険診療に関しては保険局の医療課が診療報酬を担当しています。オンライン診療、遠隔医療について巷の噂や新聞を見ると医科では結構話を聞くかもしれませんが、それら全部を医師法に紐づいているので医事課が行っております。歯科のオンライン診療は歯科医師法や歯科衛生士法を扱っている歯科保健課が担当しています。ここまで出来るけれどここは出来ないなど、医師や医科の領域と歯科の領域で行えること行えないことに分かれていると理解してもらえればと思っております。

スライド P9
 こちらがオンライン診療の制度の比較になります。医科と歯科でどのような違いがあるかという点と法律の部分がポイントになります。
 また、厚生労働省の担当と平成9年局長通知、あとはルールや保険診療をする時の注意点などで比較をしていきます。
 医科も歯科も医師法や歯科医師法の法律の20条というところは、このオンライン診療をするかどうかというところに関係していきます。平成9年局長通知に「無診察診療の違反とならない」と記載されておりますが、元々医師法や歯科医師法とは目の前に患者さんが居て診察をするということを基本に作られている法律になります。
 ですから、例えばオンラインで画面の向こう側の患者さんに対して診察をするとなると直接会っていない=診察していない、と1997年(平成9年)まで言われておりました。しかし、1997年(平成9年)前後からインターネットが少しずつ使われるようになり、そういった画面の向こうの患者さんと話すということも行われてきました。そのような中で、1997年(平成9年)の局長通知にて遠隔診療は無診察診療に当たらないということが明確化されました。つまり患者さんと直接会ってなくてもオンライン診療、遠隔診療はOKとなりました。このようなことが医科にも歯科にも共通して言われてきたということが歴史背景としてあります。その後、医科の領域ではオンライン診療の適切な実施に関する指針というものが2018年に出来ました。医科の方では先程お話ししたように医政局の医事課が中心となってそのルールを作りましたが、まだ歯科の方では歯科保健課が中心となったり医事課といっしょにという形であったりで、歯科のオンライン診療のルールを作っておりません。
 今のところは無診察診療の違反とはならない為、疾患もある程度診療出来るという形になっております。歯科領域では疾患についての縛りがなく行えるように法律上なってしまっているのが現状です。スライドの上の部分が制度について、下の部分が保険診療でオンライン診療するときはどうなっているのかという説明になります。医科の下のところを見てもらうと医科の場合は今オンライン診療料という点数が2018年4月から出来ており、オンライン診療をするときは基本的にその点数になります。しかし、それは使いづらく、制限がある点数でしたので、現在のコロナの時限的措置として患者さんに出来るだけクリニックに来なくても済むような形で電話等再診といった、患者さんと電話やテレビ電話を使って診察をすることが行えるようになっており、2020年7月までまず時限的に使えるようにしているのが今の医科の現状になります。
 では一旦また歯科ではどうなっているかをご説明しますと、歯科ではこの医科のオンライン診療料に対応するような診療報酬というのが出来上がっておりません。医科では2018年4月に出来ましたが、その時の診療報酬改定では歯科にはありませんでした。そして、医科では電話等再診でオンライン診療をしてはいけません。と明確に出ており、歯科ではその文書が出ていないため、確実に大丈夫ということは言いにくいのですが、△~○という形で電話等再診においてオンライン診療が今のところ行えるのではないかという制度になっています。
 今お話しした所が、次のスライドになっていくのですが、スライドP10の赤線の部分を見て頂けるといいと思います。

スライド P10
 詳しく説明すると、今年(令和2年)の診療報酬改定で記載されていたところになっていきますが、医科の場合は電話による再診というところで「なお、定期的な医学管理を前提として行われる場合は算定できない」というところになります。例えば「1カ月後にまた診察しましょう」、「1週間後に診察しましょう」というように、定期的な医学的な管理をしようという形の場合は、この電話等再診を使ってはいけません、ということが明確に書かれております。これは2018年(平成30年)の診療報酬改定から医科の場合は記載がありますが、歯科はそのタイミングでも記載がありません。今回の2020年(令和2年)度でも記載がなく、それまでは電話等再診という点数を使いながらオンライン診療をしていただくということが歯科の場合は出来るのではないかということが、今このような制度をしっかり紐解いてみるとわかります。


スライド P11
 今整理させていただいたのが、こちら(スライドP11)左側の部分になっています。
保険でのオンライン診療、また全体としてのオンライン診療、そして保険診療だったらどのようなオンライン診療の点数が取れるかという話をさせていただきました。
 もうひとつ、遠隔健康医療相談について最後少しお話をさせていただきます。

スライド P12
 遠隔健康医療相談というのは健康相談に対してマニュアル的な対応を行う方法になっていきます。
 医療行為とは法律の文章で患者さんの心身の状態と書かれておりますが、例えば患者さんが3年前に胃がんの手術をした場合、家族歴として何か遺伝病を持っているというような患者さん個人の状態を出来るだけ掘り下げてしまうと、診療になっていきます。
 健康医療相談というのは診断という医師や歯科医師が出来るもの以外になります。例えば健康本などを見ながらマニュアル的対応で、例えば「ずっと歯が痛い」、「ズキズキ痛む」場合、こういう病気ではないかと出て来てそれをチャットや会話、テレビ電話といった形で相談に載っていくということが遠隔健康医療相談、健康医療相談というものになります。
遠隔健康医療相談というのは具体的にどのようなことが行われているのかというと、チャットでの相談や、ビデオ電話での相談に対し、何分でいくらという形のサービスを企業主体で行われていたりします。
 医科の領域で事例紹介になりますが、小児科や産婦人科などに特化したようなものや、メンタルヘルスに特化した分野特化型のものもありますし、全般的な診療科が集まったようなものもあります。また医療行為は先程少しお話ししたように医師や歯科医師でないと出来ませんし、医療行為というのはどうしても医療機関に所属して行う必要があります。ですが、健康医療相談は非医療行為なので、例えば企業主体でも出来ます。企業ではなくても、医師個人として患者さんに無料で提供しても構いませんし、少々報酬をもらっても構わないということが、この健康医療相談になっていきます。

スライド P13
 昨今新型コロナウイルスの対応として経済産業省が行っているのが、MediPlatとLINEヘルスケアの2つです。新型コロナウイルスに関して健康医療相談に使用したい時、病院になかなか行けないときに対応するサービスというものが、国の予算としてこの2つの企業に国がお金を支払うことで、患者さんが無償で受けられる対応をしているのが現状です。

スライド P14
 今日のサマリーとしては歯科のオンライン診療というのはオンライン診療、医療行為になりますので歯科医師法で決められているということを知ってもらえれば良いと思います。
 そして、医科と違って現状で電話等再診での定期診察をオンラインでするのは「可能かも」と考えております。制度に関して本日は結構最先端の話をしておりますが、このような話が歯科領域ではここ3年も4年も行われておりません。
 現状で歯科領域ではオンライン診療がどのような疾患に対しても出来るのではないかと思われます。しかし、オンライン診療は患者さんにとって何でもかんでもやればいいというものではなく、適切に患者さんが求めていたり、患者さんにメリットがあるから行うもので、適切なオンライン診療を推進するということが求められています。ということを理解頂いて行ってもらえるといいのではないかと思っています。

スライド P15
 以上になります。ご静聴頂きありがとうございます。
 YouTubeなどでも引き続きこのような話をセミナー形式で公開していこうと思っていますので、ぜひそちらもお時間あるときには見て頂けるとありがたいです。本日はありがとうございました。


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