第40回日本歯内療法学会学術大会

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▲第40回日本歯内療法学会学術大会 総会の様子
第40回日本歯内療法学会学術大会 概要
2019年6月15日(土)・16日(日)の両日、江戸川区のタワーホール船堀において、「第40回日本歯内療法学会学術大会(併催:第17回日韓合同歯内療法学会学術大会)」が開催された。
第40回日本歯内療法学会学術大会の大会長は、横瀬 敏志氏 (明海大学歯学部機能保存回復学講座 教授) である。超高齢社会である日本の健康寿命を延ばすため、歯内療法の貢献が大いに期待されることから、「超高齢者社会での歯内療法の役割」が本大会のメインテーマとなっている。
第40回日本歯内療法学会学術大会のテーマは、歯髄疾患や根尖性歯周炎が全身へ及ぼす影響や、樋状根のような複雑な根管形態への対応方法など、多岐に渡っていた。
▲第40回日本歯内療法学会学術大会 KAE招待講演の様子

自身が聴講したプログラム概要(一部抜粋)


【特別講演】

植田耕一郎 先生(日本大学歯学部摂食機能療法学講座)
「リハビリテーションの理念を応用した要介護高齢者に対する歯科保存治療の考察」

下川公一 先生(福岡県開業・下川歯科医院)
「エンド・ペリオ治療に於ける臨床概念とその病理組織学的考察」


【倫理講習会】

田代志門 先生(東北大学大学院文学研究科社会学研究室)
「研究倫理はなぜ必要か~臨床研究と日常診療の違いから考える」


【海外招待講演】

Prof. Martin Trope (Clinical Professor, Department of Endodontics, University of Pennsylvania.)
“The Expanding Role of Vital Pulp Therapy: Pulp Capping, Pulpotomy, Revitalization of Previously Necrotic Pulps”


【KAE招待講演】

Prof. SungEun Yang, DDS, PhD (Professor, Department of Conservative Dentistry, Seoul St. Mary’s Hospital, College of Medicine, The Catholic University of Korea, Seoul, Republic of Korea)
“Effective treatment protocol in C-shaped canals”

本記事では、第40回日本歯内療法学会学術大会のテーブルクリニックの中で取り上げられた「デンタルX線写真による樋状根の見分け方」を紹介する。
デンタルX線写真による樋状根の見分け方
▲7┓の樋状根の特徴 左:デンタルX線写真、右:CT画像 (咬合面観)
樋状根(C-shaped canals)は下顎大臼歯に最もみられる解剖学的形態である(頻度は下顎7番において4割以上)。咬合面から観察すると近遠心の根管が髄床底を介して頬側で繋がっているケースが多く、その見た目が“C”の形態に似ていることが大きな特徴的である(上右図)。
テーブルクリニックでは、デンタルX線写真で樋状根を診断するコツが紹介された。
1. 二つの歯根が癒合、もしくは非常に近接している(上左図, 両側矢印)。
2. 近心根管が細く、遠心根管の方が太い(上左図, 矢印)。
3. 二つの歯根の間に、第三の根管が認められることがある(非常に発見しにくい)。

毎回CTを撮影すれば樋状根を見つけることは容易であるが、必ずしも全ての歯科医院にCTがあるわけではなく、患者によってはCT撮影に同意しない場合もある。上記の3つのポイントが、読者のデンタルX線写真による樋状根の診断の一助になれば、幸いである。
第40回日本歯内療法学会学術大会参加を通じて
▲第40回日本歯内療法学会学術大会 海外招待講演の様子
本年度の第40回日本歯内療法学会学術大会に参加したことで、歯髄疾患や根尖性歯周炎が与える全身への過大なる影響を再認識する機会となった。
本大会のテーマが「超高齢社会での歯内療法の役割」であり、介護現場における歯内療法の役割など、非常に興味深いテーマの講演が多かった。歯内療法にひたむきに取り組んでいる参加者にとって、今回の学術大会への参加は学びの深いものとなったに違いない。
第41回日本歯内療法学会学術大会は、2020年6月27日-28日、山形テルサで行われる。座長は五十嵐 勝氏 (日本歯科大学生命歯学部 歯科保存学第1講座 教授) で、テーマは「昭和から平成、そして令和に共開く究極の歯内療法」の予定である。来年の学術大会の講演も見所満載だろう。
高齢化が増々進行している昨今、歯内療法の発展は、国民の歯を生涯残していくために重要であることは言うまでもない。
古川 雄亮(ふるかわ ゆうすけ)
  • 日本矯正歯科学会 所属

東北大学歯学部卒業後、九州大学大学院歯学府博士課程歯科矯正学分野および博士課程リーディングプログラム九州大学決断科学大学院プログラム修了。歯科医師(歯学博士)。バングラデシュやカンボジアにおいて国際歯科研究に従事。2018年より、ボリビアのコチャバンバで外来・訪問歯科診療に携わり、7月から株式会社メディカルネットに所属。主に、DentWaveやDentalTribuneなどのポータルサイトにおける記事製作に携わり、現在に至る。


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